第6話 ヤンキー1(風間 慈愛那「じゅあな」)

風間慈愛那、15歳。

朝日奈正のクラスメイトである。


若葉高校1年3組。


目つきの悪い茶髪ロン毛のヤンキー。基本的にいつも一人で行動している。クラスメイトに怖がられているのが地味にショックで、これ以上嫌われないように喋らないようにしている。正とは訳あって仲が良く、二人で話す時だけ笑顔を見せている。二つ名は『孤高のツンデレ』


*    *    *    *


オレがアイツに恋した日。


喧嘩をうってきた奴に廃工場に呼び出されると仲間を連れてきていた。しかも男までいる。


「泣きながら土下座したら許してやんよ。」


地面に転がりながらムカつく事を言ってくる女を睨みつける。


「誰がするかよ!」


悪態を返すが、男にお腹を踏みつけられる。


こいつ絶対に殺す!!


「そろそろ許してやれよ。」


ヘラヘラする男がお腹を踏みながらクソ女に話しかける。


「え?

普通に嫌だけど。

コイツに五人もやられてるんだよ。

落とし前つけないと気がおさまらない!」


女は地団駄踏んで怒りを露わにする。


「だってよ。

俺の女になるなら助けるけど、どうする?」


クソ男がおぞましい事を言ってくる。


「うっさい、はげ!」


オレの言葉に男は無言で踏みつける足にさらに力を込める。


コイツ、気にしてるって事はマジで禿げてるとか?


「死ねよ、お前!」


クソッ、本格的なヤバいかも。

クソ男の足を引き剥がそうとするが、びくともしない。


そんなピンチの時にアイツはやってきた。


「あっ、慈愛那さん!」


廃工場に聞こえるはずのない声がする。


いよいよヤバくなって幻聴かと思ったが、さらに声が聞こえる。


「何してるの?」


先程の声とは違い、どこか冷たい感じの声であった。


アイツはオレに近づいてくると踏みつける男を突き飛ばすし、倒れたオレを抱き抱える。


「大丈夫?」


アイツは心配そうな顔でオレを覗き込んでくるのであった。

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