彼女たち1
第5話 ギャル(岩田 渚)
岩田渚、15歳。
朝日奈正のクラスメイトである。
若葉高校1年3組。
ギャルに憧れ、突然金髪で登校してきた強者。やり手の現生徒会が頑張ったお陰で金髪を咎められる事がなかった幸運者でもある。漫画に出て来るギャルのように制服を着崩しているが胸は漫画のヒロインのように大きくはない。突然ギャルになったことから二つ名は『突発ギャル』。
* * * *
岩田渚はギャルである。
あの日までずっと良い子でいようと頑張ってきた。それが偶然テレビで見かけた歯に衣着せぬ物言いをするギャルを見て衝撃を受ける。
何て羨ましい!
お父さんの偏見に満ちた物言い。
お母さんの親切の押し売り。
私の事をわかってないくせに勝手に代弁してくる姉。
我慢の限界であった。
プツ
渚の中で何かがキレる。
何でも買い与えてくれるのでお小遣いをもらってなかったが、隠れて貯めていたへそくりを握って美容院を目指す。
母親といつも一緒に行く高級美容院ではなく、駅前にある一般的な美容院に飛び込む。
そして、ドキドキしながら美容師さんに願いを伝える。
「金髪にして下さい。」
* * * *
チョキッ
チョキッ
チョキッ
小気味良いハサミの音が聞こえてくる。
母親の好きな腰まで伸ばした黒髪が切られていく。
もう後戻り出来ない。
カットの次はカラーである。
美容院に入ってからずっとドキドキがおさまらない。
そして、全てが終わると鏡の前には別人の自分がいた。
その後、帰宅すると母親は気絶。
父親は絶句すると姿を消す。
姉は目を合わせようとしなかった。
* * * *
皆んなの反応が楽しみでドキドキしながら登校する。
全ての人が私を見るとギョッとして、目線を髪に向ける。何か言ってくれると期待するが何も言ってくれない。
あわよくば『似合ってる』など言われたかったが、まさかの無視である。
あ〜あ〜、無視は辛いなぁ。
一気に自信を無くす私に彼が一声掛けてくれる。
「おっ、渚か?
金髪似合ってるな!
ファイナルモンスタークエストのアリスみたいだ。」
ファイナルモンスタークエストのアリスを知らないが褒めてくれて嬉しかった。
彼が私を肯定してくれると他のクラスメイトも同調してくれるようになる。
この時、恩人である彼に恋をした。
女性に全く興味を示さないのでかなりハードルが高い。
でも、私は負けない。
いつか必ず彼を落としてみせる。
かなり恥ずかしいけど毎日カラオケに誘っている。
いつか彼に振り向いて欲しいと思いながら。
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