第11話 『サッカーの試合』
夏祭りも満喫した後はひたすらサッカーの練習をしていた。目指すのは優勝だ。
それ以外は狙ってなどいない。ただ、勝ちたいだけだ。それだけだった。
そしてそれは他の奴らも一緒だろう。
だから俺達は練習をサボらないし、誰一人として弱音を吐かない。
ただひたすらにボールを追いかけて走り回る。
そしてそれは――。
「頑張れよー!洋介ー?」
「この私が練習を手伝ったのだから一回戦で負けるなんて許さないわよ」
「頑張ってね!洋介くん!」
『頑張ってください…!中村くん』
四人の声援を受けたしな。
絶対に勝つさ。
俺はそう心の中で呟いてから、ボールを蹴った。
△▼△▼
一回戦は勝った。強豪と呼ばれているところじゃなかったからだ。
だが二回戦は違った。今回の大会では二回戦から優勝候補と言われているチームが出てくるらしいのだ。
そのチームは去年の優勝校で、全国ベスト4のチームでもあるらしい。
そんなチームと早々に当たってしまった。二回戦で。
「せめて決勝戦で当たって欲しかったぜ……」
「わかります……一回戦は勝ったのに敗退とか嫌ですよね……」
「……一回戦は何とか勝てたけど次は……」
一回戦は勝てたとは言え、明日には二回戦が始まる。今日の高校はお世辞にも強豪とは言えないので圧勝できたが、明日からはそうもいかないはずだ。
考えれば考えるほど不安になってくる。最悪な気分だ。
するとそこで――。
「はいはい!あんたら辛気臭い空気出さない!」
バンバンと手を叩き、そう言った石崎さん。彼女はいつも通りの笑みを浮かべて、
「敵が強いのなら特訓あるのみよ!私達はたくさん練習してきたじゃない!強豪校が何よ!?あんたらは強いんだから自信持ちなさい!」
石崎さんの言葉は全員に響いた。普段、熱心に練習の付き合いをしてくれないマネージャーなら何の言葉も響かなかったかもしれない。
でも、石崎さんはめっちゃくちゃ熱心な人だ。部員のことをよく見てくれているし、自主練も付き合ってくれる。
だからこそ皆の信頼があるわけだし。
「……そうだな。石崎の言うとおりだ!強豪がなんだってんだよ!俺達には信頼出来る仲間がいるじゃないか!!」
部長が大声で叫んだ。それにつられてか、みんなが頷く。そうだ。今までずっと一緒に戦ってきたメンバーがいるじゃないか。
だから、俺は――いや、俺達は遅くまで練習をしていた。
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