第6話 ギクシャクパート練 

 入部してすぐフルートパートのパート練が始まった。初めは仲がいいのかとを思っていた。あんなことになるなんて誰も想像できなかっただろう。


 入部して二週間経ったある日、その日は三年の先輩が休みだった。私は入部してからずっと二年の先輩達とは自分から話すことはなかった。気まずいと思いつつ楽器を出していると、ゆいな先輩が

「ぜん、今日一年生にどっちが教えるの?」

するとぜん先輩が

「ゆいなが教えろよ。」

と、一言。

始まった。始まってしまった。先輩二人は喧嘩しやすい人たちなのだ。

「じゃあ、じゃんけんで決めようよ。」

とぜん先輩が言った。

『じゃんけんぽん!』

『あいこでしょ!』

すると

「ねぇ、どっちが何出してた?」

と言われ

「へ?」

と私は答えてしまった。なぜ、じゃんけんの結果を後輩である私に聞くのだ。めちゃめちゃ緊張している人間に対して聞くことではない。

「ゆいな先輩がチョキでぜん先輩がグーだったと思います。」

と私は答えたのだった。

 じゃんけんの後、パート練が始まった。結局、私を教えるのはぜん先輩になった。それからは、淡々と練習時間だけが過ぎていった。

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