実録史劇③ 尾張一国献上って、おみゃー、正気か。
信長ちゃんは、秀吉のサル知恵を聞き、悲痛な叫びをあげた。
「えっ、わしが三好長慶さんの家来になれってか?」
蘭丸ちゃんが、それを聞き、怒りで体をぶるぶるふるわしている。
秀吉はマジ顔で返答した。
「それが、テンカふぶ~の最短コースなんよ。分かりゃーすか」
「うっうううーっ、そんなこと、分かるわけ、にゃーだろ!」
「ウォッホン。んなら、説明しやーすが、耳の穴かっぽじって、よーく聞きなされや。三好長慶さんは、今でこそ畿内の覇王じゃけんど、そもそもは織田家よりちょっだけ上位ランクの守護代という家柄。だのに天下を取れたのは、どうしてだあと思いやーすか」
ここでついに信長ちゃんは、マジにブチ切れた。
秀吉の口ぶりが、あまりに偉そうだったからである。
次の瞬間、信長ちゃんは、蘭丸ちゃんに「やれ!」と目くばせした。
刹那、秀吉がトクトクとしゃべていたとき、よいしょ、こらさとストレッチで満を持していた蘭丸ちゃんの回し蹴りが炸裂した。
😱ッ!Σ(゚∀゚ノ)ノキャーッ!!
秀吉は5メートルほど吹っ飛び、座敷の隅におのが矮躯を転がした。
「お蘭ちゃーん、ステキっ!さすが蹴りの達人。この調子で夜もニャンニャン頑張ってね~」
「(´∀`*)ウフフ、信長ちゃんたら~」
二人がイチャイチャ、腰クネクネしていたとき、秀吉が座敷の隅からゆらりと起き上がった。柱にぶつけたのか、猿の額にできた大きなタンコブから血がタラーリと垂れている。その姿はゾンビか、キョンシーのようにおぞましく薄気味が悪い。
二、三歩、後ずさる二人に秀吉がニタッと笑い、次にパチリと指を鳴らした。
それを合図に、突如、天井から大男マッチョがふってきた。
大男は図体の割に身軽で、越後獅子よろしくクルッとトンボを打って、座敷に降り立ち、われ鐘のようなドラ声をあげた。
「蜂須賀小六、見参!アホ猿、いやもとい、ちんちくりん秀吉さまお呼びでござるか」
秀吉が叫ぶように命じる。
「ちんちくりんは余計じゃ!アホ小六、あの邪魔なヘンタイ小姓を縛りあげてチョーよ。なんなら、お主のふっとーいイチモツでお尻をブスッとやってもええがね」
「こっ、これはいかぬ」
蘭丸ちゃんは小六のふっとーいのが大の苦手である。しかも小六はしつこい。思わず逃げの手を打とうと背中を見せた瞬間、小六に跳びかかられ、たちまちグルグル巻きとなった。
その蘭丸ちゃんを肩に担ぎ、お尻をペンペンしながら、小六が(*´σー`)エヘヘと笑いながら、お布団を敷いてある次の間へと運んでいった。
それを唖然と見送る信長ちゃん。
秀吉が顔の血を袖でぬぐって、信長ちゃんにニヤリと笑いかけた。
「さて、本題に入りまするうー。たかが阿波守護代の三好長慶さんが天下を取れたのは、オジイちゃんやパパの時代から畿内に進出し、山城守護代や摂津守護代となって堺という港を押さえていたからでごわす(なぜか薩摩弁)。要するに、畿内に地盤、看板、カバンがあったから。分かりやーすか?」
信長が「う、うん」と首肯し、なぜか大阪弁で言った。
「つまり、五畿内に国を持っていたから、京の都にスムーズに上洛して、天下を取れたということでっしゃろ。便利な地の利、うらやましゅう、おますなあ」
「しかも、貿易港の堺でたんまり軍資金を稼いどったんよ。でね……」
秀吉がいかにも腹にイチモツという感じでニタリと唇を歪めた。
「長慶さんに領国の尾張一国を献上して家来になり、その代わり、五畿内のひとつ和泉の国の片隅をちょっくら拝領するのでござるよ」
信長がまたしてもスットンキョーな声をあげた。
「(´・ω`・)エッ?、わしの尾張をあげるのー!?おみゃー、正気か」
――またまた、つづく(たぶん、あと2話くらい?かな)
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