幕間1 プロポーズ

かけるの実妹で和臣の義妹麻衣は、愛しい義兄がどうやら『親友』美幸にプロポーズするらしいと聞いてイライラしていたが、義兄にはそんな素振りは見せない。


「お兄ちゃん、美幸の誕生日にほんとにプロポーズするの?』

「するよ!応援してな」


和臣は麻衣を愛おしそうに見て頭を撫でる。下を向いた麻衣は般若の様相をしていたが、和臣は気付かない。


「どこでプロポーズするの?」

「どこだっていいじゃん」

「参考にしたいの。教えて」

「結婚考えてる奴がいるのか?!父さん達に紹介する前に俺と駆に紹介しろよ!」

「紹介するならパパ達も一緒に一度で済ませるよ。お兄ちゃんはプロポーズのためにレストランを予約したの?」

「うん、アムールを予約した」

「あんな高いフレンチ、払えるの?!」

「兄ちゃんをバカにするなよ。そのぐらい稼いでるよ」

「何時?一緒に行くの?」

「何?今日はなんだか詮索するね」

「親友の誕生日だからね。私もその前にサプライズプレゼントしたいの」

「7時に約束してるよ。美幸は職場から直接行くって言ってたから、6時過ぎに行けばまだ職場にいるんじゃないか?俺もサプライズでプロポーズするんだから、ばらすなよ」

「お兄ちゃんは迎えに行かないの?」

「ほんとは行くつもりだったんだけど、夕方、横浜支社で会議が入っちゃったんだよ。だから別々に行くよ」

「そっか。仕方ないね」


自室へ戻る兄の背中を見ながら、麻衣はニヤニヤしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る