第3話 つくし、26万以下給与者、主婦にも、ニートにも金14万あげる。
高梨さんにへろへろ頼った。高梨さん、助けてぇええええ。
私、打たれ弱い。自分がない。
なにやったって、顔だけの女なの。だって、ほんとは陰キャだもん。
ああ。VMMO世界のおっさん少年盗賊の成り上がり読みたい。
ギルティスティーーーーール! か弱い女の子を救うぜーーーーーー!!!
うぅ。おっさん少年盗賊私を攫って。人に頼らないと、なにもできないよおっ。
高梨さんは、きらきら笑いながら、私に応えてくれた。
「大丈夫だよ。つくしくん。ふむ。確かに金利を上のお金持ちから通すより、下の普通の人から通した方が最終的にはお金も上に上がることだし、貨幣循環効率がよさそうだ。素晴らしい案だよ。つくしくん。君は素敵だ。私の理想の女性だよ」
「……あ、ありがとうございます」
「ただ、手取り26万以下に紙幣の量的にも不足。お金を上げては暴れ出す人間もいるだろう。主婦にもお金を渡すとして、全体への資金給付と、暴れる人間への対処は他で補うとして、発行した金利では紙幣量が足りなくなりそうだね」
「……えっ? ……そうなんですか?」
「貨幣量は流通調整の側面があるからね。100年見据えて考えなければ。そこで、今は暫定的に26万円給与以下、抽選制度という形にして、市役所ネットで普通の人に、14万円の抽選くじ給付としようじゃないか。確率10分の1くらいで、給与や給付が14万上がる形で、それでいいかな? つくしくん」
「……は、はい」
わ、わっかんないよお。
正しいのかな?
ただ、高梨さん素敵だから、どうでもいっか?
他にも働きたくない人にお金あげる方法考えるみたいだし。
今はこれでいっか!
私が誤魔化せればいいし。
また、高梨さん、ババババって、一瞬で党内まとめて、一気に国会動かしちゃった。
イケオジ高梨国会劇場どーーーーーーーーーーーん!
私は国会ではおとなしく、高梨さんの隣に座ってるだけ。
ああ。高梨さんカッコイイ。テレビ映えするイケオジっ。
「正義の全議員よ聞けっ。私に反対するものは抵抗勢力で悪だっ。経済は上から循環すれば上だけ紙幣が循環するようになるっ。貧しい主婦にも渡るように、下からお金を通せば、上までお金が行き渡りっ、景気もよくなるのだっ。つくし首相が発案したこの案は現実性のある政策でありっ、停滞した日本を好景気にする確かなシステムだっ。議員という正義の誇りを持っているならば従えっっ」
国会のハンマーが叩かれる。
元プロレスラーの大二木厚がすごい目でこっち睨んでる。
「………同じ党の政策だから従うが、危険分子をやたらに増やす危険な政策じゃい。いつかお前死なすっっ」
ひぇええええええ。
私知らないよっ。視聴者が考えた法案だし。ヤバいの?
そのとき、銀行家や、資産家が恐ろしい勢いで私を憎み始めていた。
「おのれ。我が銀行の地域の支配体制が崩れるじゃないか。くそ。つくし首相め」「なぜ、今月から私の資産が増えなくなった」「どういうことだっ」「高梨めっ。誰か高梨を殺せ。つくしも暗殺しろっ」「我々富裕の2000年続く権利を侵したヤツラだ。絶対にゆるさんぞおおおお」
ひぇえええええ。こわいよお。
一方、一般市民は大喜び。
「今月から、14万円給付が入るみたい法案作ってるみたい」「へえ。10分の1くらいで、毎月14万円入るのか?」「つくしすごくない?」「ひぃいい。これで暮らして行けるっ」「つくしって絶対名首相だよっ」「高梨さーーーん。素敵ぃいいいい」「つくし首相。さいこぉーーーっ」
なにか知らないうちに、私ってヤバい立場にされてる。
こ、こわいよお。高梨さん守ってくださいね?
カンカン!!!
そして、議決っ。
賛成 92. 反対 7 棄権 1
す、すごいよ。高梨さん。すごいできる人。結婚してください。
私を攫ってっ。
はぁ。
なんとかなった。視聴者に報告だけあげよ………。
その前におっさん少年盗賊の成り上がり読んで元気出してっ。
ギルティスティーーーーーール!!! お前の剣はおいらが盗んだぜーーーー!!
はーーーー!! スッキリ。本の世界で生きてたいよお。
が、がんばらなきゃっ。
「ははははっ。諸君みたかっ。私がお前ら愚民の政策を見事、立法させてみせたっっ。これで、愚鈍な日本銀行が動いて、お前ら貧しいコッパニート、主婦、愚民どもに、14万円のお金が毎月入る状態になるというわけだっ。すべて、私一人の力でやったことだっ。ははっははは。愚民ども。私の力をみたまえぇええええ」
視聴者がドッと湧いた。
> おおおおおおお。なんつーーー、早業。
> すげえよ……つくし……お前……天才かも。
> ここまでできるとは思わなかった。
> 感動しました。つくしちゃん。
> 暮らせない人のことを考えるつくしちゃん、すごいです。
> 俺らの法案も通したよな? 暴力違法行為、給付停止法。
> とにかく働けない人間を保護する法が大切なんだよ。
> 金持ちに金利給付しても生きられる人の居場所奪うだけだろ?
> 俺らの方が正しい。大二木は個人ブログで文句言いまくってるけど。
> 恵まれた議員のヤツにはわからんちゅーーの。
> つくし最高っっ。
> ほんとに、下の人間の暮らしまで考えてるよ!
か、考えてないよお。私は、ただ、自分が生きるためだもん。
ネットで居場所なくなったら、私首相クビになったら生きていけないモン。
居場所なんてどこにもないもんっ。本の世界なんてどこにもないもん。
はあ。神崎さん、ホット梅のエキスにコーラを入れてくれた。
あんまり、モブっぽいけど、なんか、優しくて素敵な人。
「……お嬢さん。梅コーラを入れました……日本梅ですが。静岡の零問園から取り寄せています……」
しゅわしゅわ しゅわ
あっ、弱炭酸のコーラに、梅美味しい……。あっ、心、やすらぐ静岡梅。
> おっ、つくしに男の気配。
> 今のおっさん誰やねん!!!
> つくし、俺以外の男を好きになることはゆるさん。
あっ、神崎さんが、カメラに映ったら、配信の雰囲気が荒れて来ちゃった。
さっき神崎さんがお茶入れてくれたとき、ティーカップ渡すとき、手触れたからかなぁ。
えっ、どうしよ。
「ははははは。私が誰といようと関係ないだろ? 私は日本で逆ハーを作るんだ!!!! 日本のイケメンはすべて私のものだ!! イケメン寄越せ! イケメン寄越せ! そして、お前ら愚民どもは、私に政治に関する具体案だけをしてればいいんだっ。それがお前ら愚民の愚民としての役割だろうっ。身の程をわきまえろ。愚民どもっ。はははははは」
ひぃ。なんか、煽りで誤魔化したけど。
これでいいよね?
なんか配信って大変。いろいろ気を使わなきゃならないし。
あっ、視聴者からコメント。
> おーおー。言ってくれんじゃねえか。つくし。だったら政策上げてやんよ。
> おらおら。政策じゃ。ダンジョン政策作るためにダンジョン行け。お前。
> そうだ! この国はダンジョンがある危険な世界なんだっ。それを首相が安全なところでいいのか?
> そうだ。そこで政策作れ。俺たちが案いれてやるっつーーよ!
な、なに言ってるの。この人たち。
私は、ただの18歳のニートだよ。
ダンジョンなんて無理だよおお。その上ダンジョン行って政策なんて。
私、ゲームとファンタジー小説が好きなだけの女の子だもん。
だが!!!!!!
> つくしちゃん。ダンジョンに行ってください。
> ダンジョンで超絶活躍するつくしちゃんが見たい。
> 俺、Eクラス冒険者。俺の生活見てほしい。
> ダンジョン楽しいよ。絶対盛り上がる。
> つくしちゃんがダンジョン行ってくれたら、俺、これからも生きられる。
> つくしちゃん。
> つくしちゃん。
> つくしちゃーーーーーーーーーん。
うぅ。なんか、ダンジョン行かないといけない雰囲気。
うぅ。助けて神崎さん。
「……大丈夫です。お嬢さん。私が守りますから………」
あれ? モブ顔の眼鏡の細身の神崎さん。白のソルドケースから刀取り出した。
ソルドケースって、冒険者が持ち歩く武器入れだよね?
なんで神崎さん持ってるの?
でも、すごいキレイな刀。
あっ、神崎さん。無表情なのにちょっと笑ってる。
神崎さん、刀似合うなぁ。強そう。かっこいいかも。
ま、守ってくれるかなあ。大丈夫だよね?
「ははははは。よかろう。諸君。私のダンジョン視察と行こうじゃないかっ。次はEクラス冒険者の生活を見ようではないか。私の勇気だけで、ダンジョンを攻略してやろうじゃないか。私はサイキョーSSSクラスの首相となるっ。どの人間にも負けんっ。このつくしが、ダンジョンでどう華麗に戦うか、見ててもらおうじゃないかっ。愚民ども。首相のダンジョンでの生き様、みさらせええぇええええええええ!!!!!!」
ひ、ひい。
い、言っちゃった。
か、神崎さん、ま、守ってくださるよね?
「……任せてください……お嬢さん……私が必ず守ります……」
あっ、神崎さん、モブ顔で細身だけど、意外と筋肉質。
ああ。頼りになりそう。私を攫ってっっ。私、ゲームと本の世界だけで生きたいのっ。
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