第3話 もしかしなくてもイケメンだった

そうと決まればすぐ行動だ。


…よいしょ。


——ふらっ。

どて。


え。


あ、そういえば俺赤ちゃんだったわ。

完全に忘れてた。


そりゃあ、立つのも歩くのもできなくて当然よな。


鏡まではいはいしかないね。


——ガチャ。


「ノエルちゃ〜ん♪パパだよ〜。いい子にしてるかな〜?」


え?


「って、えぇ〜〜〜?!」


あ、まって、もしかしてやらかしちゃいましたか?


「ノエルちゃんがはいはいしてる〜!!!」


あ、うん、そうだよね。

こんな生まれてすぐ簡単にはいはいとかしないよね。


って、え?!?!


「わぁ〜!かわいい〜♪まだ、2週間しかたってないのにすごいね!ノエルちゃん!!」


ちょ、ちょっと、お、お父さん?!


ここで親バカは出さなくていいんだよ?!

抱きついてないで、なにかしら疑問に思うところだろ?!


——ん、ちょっとまて?今2週間って言ったか?


俺、もっとたってると思ってたんだけど。


あれか?

寝過ぎて感覚が狂ったとかか?


まあ、食べるか寝るかしかしてないもんな。


「どうかしたの?クレール?…って、え?!」


Oh…お母さんもきちゃった。


「すごいわ!もうはいはいできるなんて!この子はすごい才能があるかも知れないわね!」


その反応になるよね。


だってまだ2週間しかたってないもんね。

赤ちゃんが2週間ではいはいできるなんて、あきらかおかしいよね。


でも、そんなことないんだよな。

…中身は25歳だから、なんて死んでも言えない。


って違う!

俺は鏡のところに行きたいんだよ。


成功するかどうかわからないけど、いっちょ試してみるか。


「あうあー、あー」


とりあえずそれっぽい言葉喋れば大丈夫だろう。


「指差してどうしたの?ノエルちゃん?鏡が気になるの?」


お、すげ!

伝わったじゃん。


「あう!」


そうだよ!

はいはいできる赤ちゃんは鏡のところに行きたいんだよ!


「ノエルは好奇心旺盛だな!ガハハ」


お前その顔でその笑い方はないよ。

俺お前の息子なんだが?

将来あれにならないよな?

ちょっと不安なんだけど。


「ほら、鏡だよ。」


「あう!」


——おぉ。

すげえ、白髪のイケメンだ!

目は濃いめの青できれいだな。

美少年にもイケメンにもなれそう。


でも2週間にしてはでかい気がするのは気のせいか…?


「ノエルちゃんはすごいかわいくて、お母さんとっても嬉しいのよ♪」


「将来モテモテだな!ガハハ」


なんとも返しにくい言葉が来たな…。


ひとまず、大事にならなくてよかった。

俺だったら生まれて2週間の赤ちゃんがはいはいしだしたら、まじで怖いけどな。


なんなんだ、この両親。


親バカ極めてんだろうか?

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