08『アリサの友人と高級デザート』

 アリサの友人3人と出会った一行は、東圏側B区内の公園に居る。

噴水近くのテラス席で、テーブルを囲み雑談をしている…


「アリサ、首都機関勤めとはめでたいな!その記念として、もう1つアイスクリームを奢ってくれても良いぞ!」

残り僅かになった1つ目のアイスクリームのコーンをサクサクと、頬張り…

無意識にボケをかます少女【秋山コマチ】の髪は、緩いパーマが掛かっている。


「まったく…コマチ、口元にアイスが付いてるよ。」

コマチのいつものボケの方ではなく、口元の汚れを指摘する

【春川サクラ】は長い三つ編みと丸眼鏡が特徴的な少女である。


「えっ…普通は、お祝いとして奢るものでしょ…しかも、アイスクリームは贅沢品なのに…」

アリサ達が座るテラス席から少し離れた所で、先ほどの少年と共に野良猫と戯れている

【御夏アオイ】は、サクラやコマチよりも年下で背丈も小柄で、短髪が似合う少女である。


「それでアリサ、私達への用件って何かな?」

二つ目のアイスクリームを頬張るコマチを横目に、サクラが本題について問いかける。

「それはね、私達が技術開発局に所属したことと関係しているの…」

大幅に減った財布の中を、悲しい目で見るアリサが応える。


「なるほど…その神獣の討伐任務に、射撃経験があり友人でもある、私達に参加して欲しいって訳か…」

親友からの重大な頼みを聞いたサクラは、考える素振りを見せる。

「私は良いぞ、アイスクリームを奢ってくれたアリサからの頼みだしなぁ…」

食欲を満たしたコマチは、また眠気に襲われ始める。


「えっと少し良いかな?なんで、サクラさん達は射撃経験が豊富なんですか?」

南花は、サクラ・コマチ・アオイ、そして少年が身に付けている共通のチョーカーに視線をやりながら、問いかける。


「あぁ、このチョーカーはね…私達が地下道化師トネリコである証なの。」

サクラは首に纏わりつく蛇を手で押さえながら応える。

地下道化師トネリコ?」

聞き慣れない単語を、おうむ返しする南花。


私達トネリコはね、地下遊演地にて色んな曲芸をこなしているのだけれど…その中には化物と対峙する演目があるからなの。」

重たい事実を少しでも緩和したいのか、微笑みながら告げるサクラ。


「そうなんですね…そのチョーカーは、どういう意味があるんですか?」

恐る恐る、質問を重ねる南花。

「それはですね…私達に、このチョーカーを付けた術者への従者である証拠なんです。」

野良猫を放し、南花達の元へ来たアオイが続ける。


「私達にチョーカーを付けたのは、地下遊演地のオーナーなんです…そのオーナーの意思によっては爆散させることも可能なんです。」

目を伏せるサクラとアオイを見た、南花の口が本能的に開く。

「なんで…そんな、危険な目と隣り合わせなのに地下道化師トネリコを続けてるの?」


「それはね…あの頃の私達3人には、この道を選ぶしかなかったの…」

南花へ視線を戻した、サクラが神妙な面持ちで過去について語り出す。

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