(三)-11
そして、何回かのデートの後、彼女は福山の家に泊まる日が増えていった。
その頃、母の病状も悪化し、日中のほとんどを寝て暮らすようになっていた。子どもの世話もそんな母親に押し付けていた。病気の母とも口論が絶えなくなっていた。
母親も、自身の生い立ちが良くなかったせいか、彼女が男を見つけてきたことに激しく嫉妬していたのかもしれない。「あんただけ幸せになるなんて許せない」と大声で何度も彼女のことを呪うようになった。
そんなこともあり、彼女は逃れるように自宅から出て福山の家で暮らすようになった。荷物をまとめて家を出る時、彼女は俺を抱えて、口グセの「絶対に幸せになる」を繰り返し呟いていた。
(続く)
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