(三)-3
おもちゃ屋の店主は警察を呼んだ。やってきた若い二人の制服の警察官は、彼女を交番へ連れて行こうとしたが、彼女は俺の前をテコでも動こうとしなかった。
涙が涸れてもなお、まだ店の前を動こうとしなかったが、おもちゃ屋の閉店時間少し前になって、母親の幸子が戻ってきた。そして意地でも動かない彼女に、俺を買い与えた。
「もう二度とこんなことしないからね」
幸子は彼女にそう言って。
そうしてようやく彼女は立ち上がり、彼女は母親の手に引かれ、俺を抱えて家に帰ったのだった。
結局、これ以後、母親の幸子が自分の娘の美幸に何かを買い与えることは一切なかった。これが最初で最後であった。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます