(三)-4

 このことがあって以来、俺は彼女とずっと一緒だった。

 寝るときはいつもベッドの上で彼女と一緒であったし、小学校の頃にはいつもランドセルの中に入っていた。中学高校でもいつも同様で鞄の中にいつも俺を入れて連れ回していた。

 それは彼女の心の中に隙間があったからなのだろう。彼女は、つらい思いをしたときに泣きながら俺に話しかけてきた。それに対し、俺は何も言ってやることはできなかった。

 元々彼女の家は母子家庭で裕福では全くなかった。彼女の父親も誰なのか不明だった。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る