(二)-8

 もう一つ、赤ん坊の遺体は、ベビーベッドの上にあった。こちらも事件性がなさそうであったという。

 ただ、彼女への取り調べは殺人ではなく、死体遺棄容疑であった。二人が死亡した際に死亡届を出さなかったとこと火葬しなかったことが戸籍法八六条、八七条に違反していると問題視されたようだった。

 彼女は前回同様、テーブルの上に視線を落としたままだった。

「あなたは母親の幸子さんと、産まれて間もない赤ん坊の三人でお住まいでしたよね」

「お母さんはご病気だったんでしょうか。お部屋に病院から処方された薬がありましたが」

(続く)

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