第4話「魔女と魔女狩り」

【1】


「よう、旅人の兄ちゃん」


 広場を歩いていた名ばかりの公国憲兵であるバルドは、そこで偶然見つけた青年に近付いてきさくに話しかける。


 毎日毎日村中を歩いて挨拶や世間話をして回っているのは、いつか敵国が来た時真っ先に発見・報告をするためだというが、村の八割の人間はバルドのことを村のもめ事を解決してくれる警備のお仕事の人間だと認識していた。

 残りの二割の人間は趣味の散歩を毎日やっているのだと思い込んでいる。


 村人達はアレシオのことを”探し物の人”や”旅人”という呼び方をする。

 小さな村だから、アレシオのことは今や皆が知っていた。

 噂は簡単に広まるし、アレシオ自身も村人に多くのことを尋ねているからだ。

 

 仕事をするために、この村のことを少しでも知っておく必要がある。

 もっとも、具体的に何を探しているのか、という部分についてはあの姉妹でさえも知らないのだが。


「こんにちは、バルドさん」

「おお、名前憶えててくれたのか、嬉しいね」


 バルドはたちまち笑顔になり、上機嫌なまま会話を続ける。

 一回り程度世代が違うし、そもそも口数の多くないアレシオと話が合うとも思えないのだが、それなのに彼は青年を見つけるたびに嬉しそうに近付いていく。

 そのたびにアレシオは、まだ自分はなんとか『外から来た人間』として飽きられていないのだな、という感想を浮かべる。

 嬉しくも悲しくもない、フラットな感情でそう思う。

 

 そしてアレシオは彼の世間話に延々と付き合わされることになるのだが、けして嫌がる素振りは見せない。

 そのため彼はますます機嫌が良くなり、気付けば井戸端会議のごとく長い時間を費やしてしまう。

 こういうことがよくある。

 そのくせ時たま「主婦は話が長くて困っちゃうねえ」なんてことを言ってしまう。

 彼女達とは世代も話の長さもさして変わらないのだから、あとは性別を取り換えるだけで一員になることはできるだろうに。


「そういえば、さっきソレラちゃんが走って行ってるのを見たぜ。

 たぶん役所の方に行ったんだと思うけど」


 会話の途中、バルドがふと思い出してそう言った。


「何か用があるのでしょうか」

「きっとアレだろ。お金を貰いに行ったんだよ」

「役所でお金、ですか」

「ああ。この村では一人では生活できないような人間のために、最低限の支援を行ってるんだ。

 歳よりや、身体の不自由な人のためにな」

「なるほど」アレシオは納得のいった表情をする。

「だからクラウさんの分を受け取る権利がある、ということですね」

「そういうこった。

 貧しい村なのに、そういうところはやけに優しいんだよな」

 決して裕福とは言えない村なのに、そのような余裕はあるのだろうか。

 それは少し疑問だが、なんにせよ彼女のような人が楽に生きられる手段があるのは良いことだ。


「けど、クラウちゃんってとんでもない美人だよな。

 色は真っ白だし、身体の線もすげえ細いし。

 加えてあんな若いのにお淑やかで聡明ときた。

 いったいどれだけ徳を積んで生まれてきたんだよ、って話だ」

「そうですね。よくできた、素敵な女性だと思います」


 少し唐突な話だなと思いつつ、アレシオは返事をする。


「ソレラちゃんも、姉とタイプは違うけど将来がすげえ楽しみだし。

 あんな二人と何日も過ごしていて変な気が起きたりしねえのか、アンタ?」

「今のところはありませんね、今後もないと思います。

 それは泊めてくれている彼女達に不誠実だ」

「あーやだやだ、真面目だね。

 あの子たちにとっては健全で良いんだろうけれど」


 アレシオがはっきりと否定したのを見て、バルドはつまらなさそうな表情をする。

 彼女達に害が及ばないのなら、それでいいのではないか。

 アレシオは心の中で疑問に思う。

 時に、人間は噂の種として少しばかり波風が立っている方が喜ぶのだということを、彼はまだ理解していない。


「全員があんたみたいな善人じゃないだろうし、そういった危険な客が泊りに来た時なんかはどうするんだろな。

 女二人だけしかいないし、クラウちゃんは脚が動かないし、言い方を悪くすれば恰好の餌食そのものだ」


 自分が知らないだけで、これまでにそんなことがあったのかもしれない。

 そうじゃなくても、ただでさえ大変なのに。


「ああいう身体の子って、俺達の想像している以上に苦労してることがあるんだろうよ」

「僕も、そう思います」

「つくづくあの子にソレラちゃんっていう妹がいて良かったと思うぜ。

 あの幼さであんなによくできた子も珍しい」


 ソレラはよく働くし、とても芯が強い。

 病弱な姉を支えて生きるのは、一人で生きるよりも容易ではなかったのかもしれない。

 にも関わらず、姉に対して何一つ不満を抱くこともなく生きている。


「けど、だからこそ心配だよな」とバルドは続ける。


 そんな彼女の事だ。おそらく生まれ持った寿命はそれほど長くはないだろう。

 この世界の普通の人間の寿命は35〜40年程度である。

 そしてクラウの寿命は彼女の言葉によると60年ほど。

 つまり、クラウとの間にはそれなりに寿命の差があるということになる。


 彼の言う心配とは、そういう話だ。


「残された後、クラウちゃんはどうするんだろうな?」とバルドがぼやく。


 これはきっと、本当に彼女達を心配しての発言なのだろう。

 姉妹のことをそれなりに良く思っていて、それなりに考えているからこその発言だ。

 しかしどこか、無意識のうちに彼女が軽んじられているような気もする。

 そう感じたアレシオは少しだけ気分が悪かった。


「クラウさんだって、強いですよ」

 それだけ言葉を返した。

「ああ……なんか言い方が悪かったかもしれないな、すまねえ」

「あ、いえ……」

 彼の意図を汲み取ったのか、バルドは少しばつの悪そうな顔をする。


 微妙な空気から抜け出すため、彼は意図的に話題を切り替える。

「そもそも、姉妹の心配よりも自分の心配か。

 村の皆、作物が実らないからって悩んでるよ。

 それだけならまだしも、一部の人間はさ……」

「魔女のせいだと言っていますよね」

「ああ……そうさ」

 バルドは頷く。

「俺が小さい頃は、じいさんやばあさんしかそんな話しなかったんだけどな。

 ここ数十年は少しずつ村の状況も悪くなって……

 今じゃ若いやつもしきりにその話をしたがる」


「魔女対策のための会合とやらまで開かれている始末さ。

 この村が本気で実体のない魔女の脅威について話すたび、公国から来た人たちは苦々しい笑みをいつも浮かべているよ」

「公国の人々は、この村の魔女を信じていないのですか。

 魔女の存在は、公国でも認められているというのに」

「んー、なんて説明すりゃいいんだろうな。

 魔女の存在自体は信じていても、この村に魔女が居るとは信じてないのさ」

「どういうことでしょう?」

「まず、魔女が本当に稀少な存在であるということが一つ。

 まだこの村で目撃情報が無いということが一つ。

 そして何より……この村の貧しさの理由が、魔女の存在なんてなくとも説明できることが一つ、だ」


 そもそもニーヴェリタが痩せた土地であるのは事実だ。

 山脈の間に存在する他の村でも同じような寒波や不作が訪れるのは決して珍しい話ではない。

 つまるところ、他に思い当たる要因が多すぎるのだ。


「つまり、公国の人間は、この村の人たちが当たり前の問題を魔女のせいにしている、と考えている」

「察しが早くて助かるなあ」


 対象が魔女でなくとも、そのような超越的な存在による責任転嫁はしばしば行われる。


「あなたはこの村の魔女を信じているんですか」

「……難しい質問だ」

 バルドは顎に手を当てて考える仕草をする。

「俺の仕事は公国と関わることも多いからな。

 この村の考え方が古臭い迷信に過ぎないって考えるのが道理だって、そう考えるのが自然だって言うのは理解している」

「ただ……ガキの頃から親や他の村人にそう信じ込まされてきたからな、中々完全に信じない、というわけにもいかねえ」

 アレシオは静かに頷いた。

「こんなふうに考えているのは俺だけじゃないと思うぜ。

 そして、そんな思考の板挟みの中で、ほとんどが停滞している」

 バルドは話を続ける。

「きっともう、みんなどうでもいいんだろうよ、本当か嘘かなんて。

 ただ、怒りの矛先があることに満足しているのかもしれねえ」

 怒りの矛先が欲しいというのはわからない話でもないな、とアレシオは思う。

「なるほど。だから、自分たちで魔女の存在を確かめに行くわけでもない、と」


 バルドは頷いて、それからため息を吐いた。

「下手に魔女の機嫌を損ねると、村に災いが降りかかるからだ。

 それに、そもそもその場で殺されてしまう可能性だってある。

 魔女は人間嫌いだっていう噂だしな」


 あんな山奥に一人で暮らしているのだから、その噂が事実である可能性は高いだろう。

 火の無いところに煙は立たない。

 だから誰も近付かない。

 もしかしたら良い事があるのかもしれないが、皆を巻き込む災厄の種になってしまう可能性の方がずっと大きい。

 村に災いが及ぶ可能性があることを、自ら進んで行う人間はいない。

 それに、あの広い山の中を探すというのは容易ではないだろう。

 大きなメリットがないから、誰も魔女を探そうとはしない。

 合理的と言えばそれまでだ。


「でも……そろそろ誰かが魔女に謝りに行け、なんて声も聞こえてきてる。

 色々なものが我慢の限界になってきてるんだろうな」

「謝る、ですか」

「あー、変にぼかした言い方をしちまったな。

 つまりそれは生け贄を差し出せって話で、流石にそこまでは俺も大反対なんだが……

 確か、そういう伝統があった時期もあるらしいな」

「はい、僕も他の場所で耳にしました。

 魔女に近い人間……つまり、少女を差し出すと」

「そうそう」

 このような小さな村や町では珍しくもない話だ。

「あるいは……金のある国なら『魔女狩り』を雇ったりすんのかな。

 でもうちにゃあ無理か」

 一人でぼやき、それから一人で納得した様子のバルド。

「まあとにかく、これからもしばらくこの村にいるっていうんなら気をつけろよ。

 村全体の虫の居所がすげぇ悪いことだってあるかもしれないからな」

「はい、ご忠告ありがとうございます、バルドさん」


 そう返事をすると、バルドは満足したように頷いてからアレシオの前から去った。


 仕事に戻る、と言っていたが、今も立派な勤務時間の筈である。

 やはりサボっているという自覚はあったのだろう。


 そして残されたアレシオは、

「村全体の虫の居所、ですか」

 誰に向けてでもなく、そう呟いた。



【2】


 魔女がこの世界に現れてから、長い年月が経った後。

 この世界に『魔女狩り』という人間が現れた。


 彼らの仕事は、文字通り魔女を殺す事。


 魔女を殺すことで、世界に平和をもたらすことである。


【3】


 それから数時間が経過し、ふと茜色の空を見上げると、雲の向こうで日が落ちかかっているのが見えた。

 それぞれの家から食事の匂いがする。そろそろ帰り時か、とアレシオは思う。たった数十日なのに、あの宿はすっかり帰る場所として認識されてしまっていた。


【4】


「お帰りなさい、アレシオさん。今日も夜遅くまでお疲れさまです」

「おかえりー」

 宿に戻ると、少女二人の声がアレシオを出迎える。

 クラウはキッチンの前に座って料理の盛り付けを、ソレラは盛り付けられた皿をテーブルに運んでいる最中だった。

「少しだけ待っていて下さいね、もう準備ができるので」

 いつも通りの微笑みでそう告げるクラウ。

 毎日同じように微笑んでくれるのはとても心が安らぐ。

 アレシオはこの瞬間のたびにそう思う。


【5】


「いただきます」と三人で手を合わせる。

 それからスープに口を付ける。

 冷えていた身体が芯から温まった。

 今日はこの山羊ミルクを使ったスープと、公国から送られてきた野菜のサラダ、それから牛肉の煮込み料理。


 自分が来てからというもの、料理は毎日手の込んだものであるように思える。

 そこまでしてくれなくても良いのに、とクラウに言うと「お客様ですから」とか「最近は潤っているんですよ、毎日泊まってくれる方がいますからね」とか言いながらいつものように微笑んでいた。


「二人とも、もう仕事は終わりですか?」

「そうですね、もう一部屋のお客さんはもう帰ってしまいましたし」

「あとはアレシオさんのお風呂の準備と、それからベッドの準備だけよ。

 だから実質仕事は終わり。

 ……だって、アレシオさんなら自分のベッドの準備くらい、自分でやってくれるからね、ね」

「こーら」クラウがわざとらしく迫力のない口調でソレラを叱る。

「冗談だって」

 笑顔でそんなやり取りをする二人。

 本当に仲が良いのだろうな、と見ているアレシオまで微笑ましい気持ちになる。

 聞けば、村の外の遠くの国から訪れる常連のような人も現れてきているらしい。


「じゃあ、今日も明日もお客さんいないし、わたしも夜更かししちゃおうかな。

 アレシオさん、旅人ってことは色んな面白い話知ってるんでしょ? 聞かせてよ」

 ソレラが目を輝かせてそう言う。

 実際には宿のアテが無い外の人間が訪ねることもあるのだが、最近はそんなこともあまりないのでどこか気が抜けている。

 普段はすぐに寝てしまう彼女だが、別に話したがらないというわけではない。

 単純に二人より早起きして仕事をしている分、眠ってしまうのも早いだけだ。

「そうですね、クラウさんのように上手く話せるわけではありませんが」

「うんうん、期待してるよ」

「あまり期待されても困るのですが……」


 期待に添えるほどの内容は無い、とアレシオ自身は思っている。

 けれど、この村の外のことなどほとんど何も知らないソレラにとっては違う。

 外の世界の話は、輝く宝石箱のようなものだ。


 半年に一回ほど買い物のために訪れる公国の市場でさえ、彼女にとっては至上の楽しみなのだ。

 世の中にはこんなに多くの人がいるものなのか、こんな毎日お祭りのようなことをしていて良いのだろうか、そんな風に喜びを伴った驚きを与えてくれる。


だから彼女は、アレシオが外の世界の話をしてくれることを楽しみにしていた。

楽しみに、していたのだ。


【6】



 意気込んでいたのがまるで嘘のようだった。


 ソレラは食事と後片付けを終えるや否や眠りについてしまう。

 少し揺すったくらいではぴくりともしない。

「まあ、そんな気はしていましたが」

 クラウは苦笑しつつ、ソファーですうすうと息を立てる彼女にブランケットをかけてやる。

「ソレラ、いつも頑張っていますから」

「そうですね」

 今日以外にも同じようなことを言った日はあった。

 そのたびに話を最後まで聞かずに眠ってしまったり、今日のように始まる前から睡魔にやられてしまったりしていた。

 そして次の日の朝に目が覚めると、彼女はいつも後悔に苛まれていた。


 明日になって文句を言われること間違いなしだろうけど、今は寝かせておいた方がいいだろう。

 それに……こんな幸せそうな寝顔を邪魔することもできない。


「どうしましょうか、クラウさん。ソレラさんは眠ってしまいましたが」

「では、二人きりで少しだけお話ししちゃいましょう」

「わかりました。ソレラさんが傍で寝ているので、静かに話さなければいけませんが」

 クラウはそれから食卓の方へと移動する。

 彼女の向かいにアレシオが座る。

 結局、いつもの夜と同じ、二人きりの歓談。


【7】


「あの……アレシオさんは”魔女狩り”って聞いたことありますか?」

 会話の途中で、クラウがふいにそんなことを口にする。

「はい」

 アレシオは頷く。

 世の中には、魔女狩りという人々が存在する。

 彼らの仕事はその名の通り”魔女を狩る”こと。

 人間に危害を加える魔女を駆逐することで、世の中に平和が訪れると考えている人たちのことだ。

 呪術にも似た魔法を使い、不死であるという魔女を殺すことができると言われている。


「魔女狩りが来れば魔女を殺してくれる、そしたらこの村も平和になる。

 そう言ってる村の人も多いみたいです」

「そうなんですか」

「いや、私にはわからないですけどね。

 魔女狩りどころか、魔女も見たことないですし」

 

 自分もそう考えていると思われるのが何となく嫌だったクラウは訂正する。

 魔女の噂が大きくなるにつれて、魔女狩りの話も当然増える。

 そんな村人たちにつられて、自分も頻繁に魔女の話をするようになったな、と少し自戒した。


「クラウさんはどう思ってるんですか。

 村の皆さんが言っている魔女の事や、魔女狩りのことについて」

「そうですね……」

アレシオの質問に対し、彼女は顎に手を当てて考える。

「魔女の呪いとか、私にはよくわかりませんが……

 例えそれが本当のことだとしても、生きていくしかないんだと思います」

 誰も魔女がどんな姿をしているのかさえわかっていないのだから、そんなことを気にしていても仕方がない。

 ……実際にそうできるかと言われると、別の話だが。

「あなたは強いですね」とアレシオは呟く。

「そんなことないですよ」

 やんわりと否定した。

 自分は強くなんてない、本心からそう思っていた。

「口ではこう言いますけど、根本の部分はそんなに前向きでも明るくもないんですよ、私。

 必死に取り繕ってるだけです」

「そうなんですか?」

「はい、そうなんです」


 本当にそうなのだ。

 今の私は仮面を被っているだけ。

 それなのにアレシオさんが優しいから、自分がいい子だと勘違いしてしまいそうになる。

 そう思っているクラウに対し、アレシオはもう一度優しい言葉を伝える。


「そうだとしても、それはきっとクラウさんにしかできないことですよ。

 取り繕うことだって、きっと簡単じゃない」

「ありがとうございます……」

 何の含みもない表情でそんなことを言ってくれる。


 ----ああ、もうわかってくれないな、だから自分はそんないい子じゃないんだって。

 

 今すぐにでもそう返したい気持ちを抑えている。

 しかし同時に、素直に受け止めて照れてしまう自分もいた。

 心の中の浮かれた気持ちをクラウは必死に押しとどめる。


「アレシオさんの言葉は嬉しいですけど、そんなことを軽々しく言ってたら勘違いされちゃいますから、気を付けてくださいね」

「勘違い、と言うと」

「もういいです、嫌いです」

 首を傾げるアレシオを見て、クラウが小さく息を吐いた。


 その後、しばらくは他愛もない話を続けた。

 何気ない会話ばかりのそれはとても愛おしい時間であるように感じられた。

 アレシオもクラウも決して会話が得意なわけでもないのに、どこか波長が合っている。

 だから言葉が続かなくても、どうでもいい内容でも、とても楽しかった。

 彼にも自分にも都合はあるけれど、それでもこんな時間がずっと続いてくれればいい、なんて少女じみたことをぼんやりと考えさえした。


 いつか物語は動き始める。けれどそれは今ではない、クラウはそう思っていた。


 次の日に彼がいなくなるなんてこと、少しも予想していなかった。

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