第6話 有能な元執事は無自覚にフラグを回収する
クレイヴ・フローリーがスウィフト家に連れてこられたのは、わずかに七歳のことだった。大して裕福でもない子爵家の三男として産まれた彼は、生家にいたころもさして家族に大事にされたわけではない。だから、七歳という幼さで伯爵家に行儀見習いとして出されたのだろう。
身分の低い貴族の娘が行儀見習いとして位の高い貴族の屋敷で働くことはあるが、子息がこのように他家に出されるのは体のいい厄介払いであることが多い。
つまり、クレイヴは捨てられたのである。
そんな状況のクレイヴが、スウィフト家に連れられて、お嬢様に挨拶をしなさいと言われても体裁をとりつくろうことなど当然できなかった。
家令に連れられてお嬢様に会いに出たのは、雨上がりの後の花壇である。彼の心の中には未だやまない雨が降っているというのに、空は晴れていた。庭に出るために歩くと煉瓦で舗装された道は綺麗だったが、彼の足元は外を歩いてきたときにぬかるみで汚れてしまっている。たどり着いた花壇にいたのは頭のてっぺんからつま先まで高い服に身を包んだ汚れ一つないお嬢様の姿で、その前に立つ薄汚れた自分が更にみじめになった。
高位の貴族の一人娘なんて、ろくでもないに決まっている。
それは生家の横暴な兄たちを思い返せばわかりきったことだ。
「誰?」
淡いオレンジの髪を揺らしながら振り返ったお嬢様の顔を、クレイヴはまっすぐに見つめ返すことができなかったから、そのままお辞儀をした。
「クレイヴです。今日から、ポーラお嬢様の執事見習いとして、こちらでお世話になります」
「そうなの?」
決められた挨拶をすると、驚いたような声が上がる。まだ幼い声だった。
「ずっとお嬢様のお傍に仕えさせます」
家令の「ずっと」という言葉に、クレイヴの胸が痛む。自分で判っていても、生家に戻ることはないのだと改めてつきつけられたようで辛かった。いい思い出のある家でなくとも、まだ幼いクレイヴにとっては、家といえばフローリー家だ。
「まあ! ならずっと、ずっと一緒なのね。嬉しいわ! 仲良くしてくれるかしら。よろしくね、クレイヴ!」
弾んだ声が嬉しそうにそう言ったのに驚いて、クレイヴは震える。
高位の貴族の一人娘なんて、ろくでもないと思っていたのに、心の底から、彼女はクレイヴを歓迎しているようだ。おそるおそる顔をあげれば、クレイヴの顔をまっすぐに見つめるブラウンの瞳と合う。その目は嬉しそうにきらきらと輝いていたのに、クレイヴの視線とかちあうと、驚いたように揺れて、次に照れたように頬を染めてはにかんだ。クレイヴの言葉を待って首を傾げた彼女の肩に、下ろした淡いオレンジの髪が揺れる。その仕草がやけに目に焼き付いて、クレイヴの心臓が跳ねた。
まるで、クレイヴの中に差し込む暖かい陽光のようだった。
「……精一杯、務めさせていただきますお嬢様」
やっとそれだけを言って、クレイヴがもういちど頭を下げると、嬉しそうな笑い声が聞こえて、クレイヴの心臓がまた騒いだが、あげた顔は自然と笑んでいる。
これが、クレイヴがスウィフト家に来て、初めてポーラと出会った瞬間だった。きっと、この初めて出会った瞬間に、クレイヴは『ポーラお嬢様』に心を奪われていたのだろう。
***
それから長い月日を、クレイヴはポーラの側で暮らした。
ポーラはとても優しい娘だった。執事見習いとしてやってきたクレイヴだけでなく、使用人全てに優しく、愛されている。彼女は使用人に物腰柔らかに接することを当たり前だと思っているようで、クレイヴだけでなくポーラのことを憎からず思っている使用人は少なくなかったためクレイヴははらはらしたものだ。
優しいだけでなく、ポーラは驚くような場面で博識だった。
「品種改良、ですか?」
クレイヴがポーラつきになる前から、ポーラはたびたび花壇に足を運んでいた。それは単純に花が好きだからではなく、花の『品種改良』をポーラ自らがしているのだということだった。花びらの形や色味を、複数のものを掛け合わせて狙って新しい花を作り出すというような試みは、この世界では馴染みのないものだ。二歳上のクレイヴは、はじめ説明されても一度で理解することができなかった。それをわずか五歳の少女がしているのに驚く。
「このお花はね、もともと毒があったのよ」
「毒!?」
「うん。でも花が綺麗でしょう? だから、毒が抜けるように改良してみたの」
笑って言って、ポーラは手元の花を摘んでクレイヴに差し出す。
「ほら、クレイヴの瞳みたいに綺麗な青。だいすきなの」
えへへ、と笑って見せたクレイヴはどきりとする。まるで自分に告白されたかのようで頬が熱くなった。
「ぼくも……好きです。その、花」
そっと応えて、クレイヴはポーラの差し出した花を受け取る。
こうした花の品種改良のようなことを含め、ポーラはクレイヴに様々な驚きを与え、その度にクレイヴはポーラに強く惹かれていった。
けれど、執事が伯爵令嬢と結ばれるような未来はない。だから、都度ごとにポーラが「だいすき」だと言ってくれるのに、「お慕いしております」と答えても、彼女を抱き寄せることは絶対になかった。いつしかそれも彼女は理解したのだろう、ポーラが想いを告げなくなったが、クレイヴの中から彼女に対する想いが消えることはなかった。
転機のきっかけは、彼の魔力の目覚めである。
ポーラの目の前で魔力を開花させたクレイヴの胸に浮かんだのは『これでお嬢様の品種改良をお手伝いできる』ということだけである。しかし、ポーラはそう思わなかったらしい。
「クレイヴはわたくしとずっと一緒に居てくれるわよね? ずっと、離れないわよね?」
不安にかられたようなそんな声にクレイヴは驚く。
「魔力に目覚めたからそんな心配をしているんですか?」
当たり前に側にいることを信じてもらえていないことへのほんのちょっぴりの呆れと、離れて欲しくないというポーラの我儘に対する気持ちの高揚で、クレイヴは笑み崩れる。
「私がお嬢様の傍を離れるわけないじゃないですか。一生、お傍に居ますよ」
そう答えたクレイヴは、その直後に魔力の目覚めをスウィフト家当主に報告した。そうして穏やかな五年を過ごしたが、あの報告が元で日常に変化が訪れたのは突然だった。
「クレイヴ、君のお父上が戻ってきて欲しいと言っている。荷物をまとめて生家に戻りなさい」
「……そ、れは……どういうことですか?」
執務室に呼び出されたクレイヴは、スウィフト伯爵に言われた言葉を、理解できなかった。フローリー家へは、七歳のあの時出てから一度も帰っていない。
「魔力のある君に爵位を譲りたいそうだ。他のご子息は魔力に目覚めなかったそうでね」
「だからって、今さら……」
「僕は、これは君にとってチャンスだと思うよ?」
拳を握りしめたクレイヴに、伯爵は静かに声をかける。
「どういうことですか?」
「クレイヴはポーラのことが好きだろう?」
「っなんのことだか」
「そういう茶番はいいんだよ」
ため息交じりに伯爵に遮られて、クレイヴは黙り込む。チャンス。その言葉にはっとした。
「……私が爵位を継げば、お嬢様に求婚しても良いのですか!?」
「いや、だめだよ」
言下の否定に、じゃあなぜ、と言おうとして、クレイヴは留まる。反対される理由について、すぐに察しがついた。
「フローリー家が子爵だからですか?」
「そう。さすがクレイヴは賢いね。僕はポーラには、伯爵家以上の家にしか嫁がせる気はないよ。……この意味が君にはわかるだろう?」
対面した伯爵は、目を細めて髭をいじる。笑顔を絶やさないのが胡散臭い。
つまりは子爵位を継いだ上で、爵位を上げることができならポーラを嫁にやると無茶ぶりをしているのだ。けれど、どのみちクレイヴには頷くしかない。このままスウィフト家にいつづければ、執事としてポーラの側にいることはできても、いつか彼女が別の男に嫁ぐのを見届けねばならない。それが嫌なら、自分がどうにかするしかないのだ。
「判りました。必ず、求婚状を送りますから、待っていてください」
「期待しているよ」
その言葉に応えるようにクレイヴは会釈すると、執務室から出ていこうと背を向けた。その背中に、伯爵の声がかけられる。
「そうそう、ポーラは今でも充分適齢期だけれど、結婚に乗り気じゃなくてね。仕方なく猶予を与えてあげているんだよ。けれど、僕もあの子が心配だからね。ポーラは二十歳までには結婚させようと思っているんだ」
「伯爵様」
驚いて振り返ったクレイヴに、伯爵は笑ってみせる。
「大丈夫だよ、君を含め男爵以下からの求婚なんて全て断るから。好意があるなんてことも伝えさせるつもりもないから、安心して生家に帰るといい」
ポーラはこのこの時十七歳だった。つまり、クレイヴに対して三年以内に伯爵位にのぼり、求婚をしてみせろ、さもなくば別の男に嫁がせる、と脅しているのだ。加えて、クレイヴがポーラに想いを告げることをも禁じている。
これは、下手にポーラを期待させて結婚できなかった時に、想いを引きずらせないための措置だろう。
そこまでを悟って、クレイヴは内心で溜め息を吐くと、再度恭しくお辞儀した。
「肝に、銘じます」
そうして、クレイヴはスウィフト家に戻った。ポーラには「ずっと一緒にいるって、言ったじゃない……」と詰られたが、添い遂げる将来のためには仕方がない。別れ際に彼女を抱き寄せて想いを告げてしまいたかったが、それをしてしまえば決心が鈍る気がして、結局クレイヴは伯爵の指示通りにポーラには想いを告げずに、十二年を過ごしたスウィフト家を後にしたのである。
***
フローリー家は、めちゃくちゃだった。
魔力持ちの父は病を得ていて働けず財政難で、長男と次男は魔力がなく父の跡を継げるような状態ではなかった。というのも、フローリー家はもともと領地持ちの家系ではなく、その植物を育成する魔力を認められて爵位を得た家系だ。通常の貴族であれば、魔力持ちでなければ爵位を継げないということはないが、フローリー家に限っては、魔力がなければすなわちそれは家系断絶になってしまうのだ。
そうしてクレイヴは病に倒れた父の代わりに爵位を継ぎ、一心に仕事に打ち込んだ。けれど、父のしていた仕事をこなすだけでは、爵位をあげるなど夢のまた夢だ。
フローリー家で育った七年の間に傷ついた心を、スウィフト家でポーラに癒されたクレイヴは、この爵位の問題についてもポーラに救われた。
品種改良である。
ポーラが教えてくれた品種改良は、あまりにもクレイヴの持つ植物の育成を操る魔力と相性が良かった。冬咲きの花を春に咲かせるよう改良をしたり、新しい色味の花を作り出したりと様々な花を作り、売り出すことでフローリー家の懐は潤った。しかし、単純な花の売り上げが良いだけで爵位が上がるはずもない。
この時ヒントになったのも、ポーラの言葉だった。
『毒が抜けるように改良してみたの』
品種改良は、毒素を強めることも、弱めることもできる。ならば、薬草の薬効を強めることもできるのではないかとクレイヴは思い至ったのだ。
しかし品種改良元となる薬草は、簡単には見つからない。だから、クレイヴは薬草の産出が多い領地を訪ねた。
「あんた運がいいな。薬草や毒草のことなら、兄貴よりも俺の方が詳しいからな」
そう言って薬草園を案内してくれたのは、領主の次男坊だった。嫡男は領主と共に公務に当たっており、代わりにと次男坊が案内役をかって出てくれたのである。
「突然押しかけたのに案内をして頂いて恐縮です」
「子爵家ご当主が俺なんかに敬語使う必要ないよ。俺は爵位も継げないで、そのうち家を追い出される身だ。……まあそのおかげで、あいつと一緒にいられるんだけどさ」
「あいつ……?」
「……でけー独り言だったな、悪い。従妹がうちに住んでるんだよ。身体が弱いから俺が面倒を見てやってるんだけど……」
「ああ、お好きなんですね。その従妹の女性のことを」
「ば……っそっ……!」
ばかやろう、そんなことを言うんじゃねえ、と言いたいところだろうが、顔を真っ赤にした次男は口をパクパクとさせたかと思えば、頭を抱えて黙り込んだ。
「……私も、お慕いしているお嬢様がいるんです。その方に求婚するために、今、爵位をあげようと足掻いているところです」
「……ん? でもあんた、もう子爵だろ? 求婚でもなんでもすればいいじゃないか」
ぱっと顔を上げて、次男は首を傾げた。
「私のお慕いするお嬢様は、伯爵家のお嬢様なのです。伯爵様に、子爵では求婚させないと言われてまして」
「……え、だからあんた、こんな辺境の領地まで来て薬草の研究してるのか?」
「ええ。お嬢様のためですからね」
答えて、クレイヴは足元の薬草を見る。同じ品種だが、オレンジの花と白い花両方を持った薬草に目を奪われて、クレイヴは屈んだ。
「……あんた凄いな。俺なんか、どうせ爵位は継げないからって……自分にも自信がなくて、自分から求婚しようなんて、思ってなかった」
「そうなんですか?」
「ああ。でもそれじゃだめだな。あいつの前で胸張って好きだって言えるように、俺もならなきゃだめだよな」
次男はクレイヴの横にしゃがむと、真剣な目で薬草を見る。
「ありがとうな」
「いえ、私は何もしてませんが……」
「俺もあいつに求婚できるよう、何かやってみるよ」
「そうですか。頑張ってください」
微笑んで、クレイヴは頷く。
このときのクレイヴは知らなかったが、クレイヴが薬草を見せてもらった領地は、ロッティ・アーチボルトが身を寄せていた領地であり、案内をしてくれた次男というのは、ロッティの従兄の『おにいさま』である。
クレイヴは無意識の内に、『告白できないでいた従兄』の設定を改変していたのだった。
そうしてそこで次男に教えてもらった薬草の苗を持ち帰り、クレイヴは薬草の品種改良に務め、薬草の改良に成功したフローリー家の懐は、ますます潤った。
***
一年が過ぎ、フローリー家は豊かになったが、未だ子爵家のままだった。金を積めば準伯爵の位までは得られるだろうが、それでは意味がない。
薬草の改良に励むクレイヴだったが、爵位をあげる糸口を見つけられず悩んでいた時に、とある人物からの招待状がきた。
リタ・ヒギンズ伯爵令嬢である。
案内されて通されたのは、令嬢の寝室である。彼女の髪は銀色で、肌も透き通るくらいに白い。それもその筈で、彼女は病を得ており、ベッドに横になっていた。
原作の時間軸で言えば、ちょうど彼女が突然死する頃に重なる。
「……貴方のおかげで、わたくしは、一命をとりとめたの」
彼女の病は、毒の中毒症状だった。気付いた時にはかなりの毒に身体が侵されていて、もう手の施しようがないと思われたころ、クレイヴが改良した薬草のおかげで命を繋いだのだという。
リタは伯爵令嬢ではあるが、現王妃の姪であり、王太子の従妹である。その縁から幼い頃より交流を深めており、婚約まで秒読みだと言われていた。それをよく思わない派閥によって毒が盛られたのだ。既に犯人は捕まっているが、リタの身体は起き上がれないほどに衰弱してしまっていた。
「私の薬草が、少しでもお役にたてて、良かったです……」
回復しきっていない彼女に対して、やりきれない想いがクレイヴにこみ上げる。ベッドの側でリタの手を握り、付き添っていた男性が立ち上がった。
「クレイヴ・フローリー。どうか君に、彼女を癒す薬草を作って欲しい。この通りだ」
頭を下げた男性の正体を、クレイヴは判っていなかった。けれど、その願いに対する答えは、クレイヴの中でもう決まっている。
「もちろんです。出来る限りのことをさせてください」
そう請け負って、クレイヴはリタの身体を癒すための薬草の改良に尽力した。その甲斐あって、淡いオレンジの花をつける薬草の開発に成功し、リタは健康を取り戻したのである。
その時頭を下げていたのが王太子であり、この功績を元にして、クレイヴは伯爵位を授かったのだった。
リタの体調が復帰してから、しばらく経った後に、婚約の発表をするのだと王太子じきじきにクレイヴには伝えられていたから、花まつりの日、唐突に始まった王太子の婚約発表にも、クレイヴは驚かなかったのであった。
ポーラの意図しない方向に影響を受けた元執事は、無意識のうちの原作の各種のフラグを折りまくり、彼の望む未来をつかみ取っていたのである。
***
離れていた間につもりすぎた話を、クレイヴはポーラの家で行うお茶会の度に、少しずつ話して聞かせる。その一つ一つに、目をみはって驚くポーラが、可愛かった。
「クレイヴがそんな日々を送ってたなんて、知らなかった……」
「お知らせしませんでしたからね」
「……手紙くらいくれたってよかったのに」
むぅっと口をとがらせたポーラが可愛くて、クレイヴの顔には笑みがこぼれてしまう。
「貴女に手紙を書けば、きっと会うのを我慢できませんでしたから」
「……それにしたって……お父様も、教えてくれたらよかったのに」
「伯爵様は、もし僕が間に合わなければ、ポーラを別の方に嫁がせるとおっしゃってましたからね」
「それも許せないのよ」
つん、とそっぽを向いてポーラがむくれる。
自分だけ蚊帳の外だったのが、面白くないのだろう。
「……私だって、クレイヴが頑張ってるの手伝いたかった」
「お嬢様……」
「またお嬢様って言った」
「ああ、すみません」
クレイヴは、彼女の手を取ってその甲に口づける。
「もう、秘密は作りませんから、許してくださいますか?」
唇が手に触れたのを、ポーラは顔を真っ赤にして叫びだしそうな顔をしている。けれど、別のことを思い付いたようで笑う。
「……その敬語を、やめてくれたら許すわ」
可愛いおねだりに、クレイヴは口元が緩む。
「それは……難しいですね」
相変わらずの敬語で答えてしまい、彼女の許しを得られなかった有能な元執事は、白旗をあげるのだった。
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