第5話 中学校

 俺は8等分されたピザの内の1つを取って食べた。

とろりと溶けたチーズが口に広がる。

そして、そこにワインを流し込む。

最高に美味い。

やっぱりピザにはワインだよな。


「零夜さんは赤ワインか白ワイン、どっちが好きですか?」


俺が食事を楽しんでいると、女の子がそんな事を聞いてきた。


「俺は赤ワインだな。こっちの方がワインを飲んでるってより実感できる。お前は?」


「私も赤ワインですね。紅白って紅の方が目出度いと思いませんか?」


「そうだな。っと……ご馳走様でした。」


会話をしている内に何時の間にかピザが無くなっていた。


「速くないですか?!」


「美味かったからな。まぁ、ゆっくり食べろよ。」


それにしてもこんなに美味いのに客は来ないんだな……

隠れ名店ってやつだろうか。

よく見つけたな……

こういう店を見つけるにはチャレンジ精神が必要だ。

つまり、この女の子は好奇心旺盛って事かな。

俺は脳内でそんなどうでもいい考察を繰り広げる。


「ご馳走様でした。」


どうやら食べ終わったらしい。


「じゃあ、会計に行くか……」


「そうですね。」


俺達はレジまで移動した。

財布に入っている金は結構少ないが名店を教えてくれたんだ。

奢ってやろう。


「俺が払うよ。」


「そんな……悪いですよ。私が払いますよ。」


「いや……俺が……」


「いや……私が……」


「……割り勘にしようぜ。」


お互い、譲らなそうだったので割り勘する事になった。

2人とも同じものを頼んだから自分の分を払うことになるんだが……


「またのご来店をお待ちしております。」


いろいろあったが俺達は店を出た。


「これから何します?」


女の子がそんな事を聞いてきた。

もう一緒に居ることが確定しているらしい。

まぁ、1人では寂しかったから良いんだが……


「そうだな……町でも周ろうかな……」


「町周り、良いですね!早速行きましょう!」


俺達は歩き出した。

最初は中学校に行くことになった。

そして、その後が山の方にある町を一望できる展望台。

今日は疲れそうだ。


「中学校に行く道ってこんな感じだったっけ?」


「少し道が変わったからね。」


「そうか、こんな田舎でも変化ってものがあるんだな。」


「ちょっとカッコつけた?」


「茶化すなよ。率直な感想だよ。」


「あっ!中学校が見えてきたよ!」


「そうか。以外と近かったんだな。」


俺達は歩くペースを上げた。

目的地が見えると少し早歩きしてしまう現象が起きたみたいだ。

終いには俺達は走り出した。

前にもこんな事があった気がする。

既視感を覚える……まぁたまにあるか。

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