第五話 モンスター誕生

 さて、生まれた子です。

 それはもう美のきわみ、生きた芸術ともいうべき美貌を持つお子様が誕生しました。その美しさとは裏腹に、誰かを痛めつけることを無上の喜びとする歪んだ魂を持つ子です。

 気づきました?

 ええ、あなた様を学校でいじめている相手こそ、そのお子様なのです。

 いやあ、申しわけない。ほんと悪いなって思ってるんですよ。私がつい出来心で誕生させてしまったモンスターのせいで、あなたはつらい学校生活を送るはめになってしまったんですもんね。

 あまりの美貌ゆえに、皆があの子の味方をしています。悪いのはあの子ではなく、いじめられているあなたのほう、世間はそう考えているようです。

 そんなのあんまりじゃないですか。さすがに妖怪の私でも気の毒に思いましたよ。それで、ちょっとでも助力できないかなと思いまして、こうして取り憑きにまいったわけです。

 え、どう助力するのかって。まあ、実はたいしたことはできません。私なんかにはあのモンスターを退治できないし、すんげえ能力や金銀財宝を授けたりもできません。特にこれといったことはできない妖怪です。


 ただ、ちょっとだけ、人生を良くしてさしあげることができます。


 具体的にですか? あなた様がラーメンを食べにいくと、チャーシューが多めに入ったりしますよ。お好きでしょ、チャーシュー。もし煮卵のほうが良かったら、煮卵に変更もできますよ。

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