招礼川

【招礼川】しょうれいがわ


 兎々乃が川で拾ったシーグラスを見せびらかしてたけど、あの小島でさがしたに決まってる。登下校のときずっと足元を見て歩いてるんだから、あんなに青くてぴかぴか光るガラス見落とすわけない。あすこは神さまがいらっしゃるから絶対ひとりでいっちゃだめよ。先生やママから何度言われてたって、目立ってる兎々乃がうらやましかった。バレたらおこられそうだし、わたしは土曜日の、太陽がのぼる前に家を出る。橋をわたって小島へおりたら、ちゃんと石の家にお願いもした。思ったとおりで、水の近くでしゃがんだら赤や黄色や青の丸いガラスがたくさんちらばってる。わたしは大きなものをいくつかポケットにいれる。パパとママが起きる前に帰ってきたからバレてないみたいで、ふたりは朝ごはんを食べてすぐ出かけてしまった。

 部屋でガラスを見てたらチャイムが鳴る。あけてえ。ママの声だった。お仕事が早く終わったのかもしれない。よばれたからあ。意味わかんないけど、わたしはスキップでむかえにいく。

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