対対
【対対】ひとそろえ
生まれながらにして半身はあちら側へ連れていかれる。それから逃れられたのが双子である。もはや老人さえほとんど信じていなかった言い伝えだったのに、慣習にのっとって祭りは盛大に執り行われた。祖父がいうには二二年ぶりの双子だった。市が立ち、お神酒がふるまわれ、夜通し火が焚かれた。集まった人々は列をなし、連れていかれなかった子どもたちへ祝いの言葉を送った。彼らの母親は私にとって無二の親友だったので、ばかげた迷信だと思いながら、でもなんだか誇らしかったのを七年たったいまでも覚えている。ふたりは特別だからね。かつて彼女は口癖のようにいっていたのに、もうぜんぜん聞かない。
ねえ、ようちゃんようちゃん。私を呼んでくれるのはいつだって弟の碧だった。「こら学校では先生って呼びなさい」溌剌で愛嬌のある兄と連れていくのをやめられた弟。職員室で聞こえた同僚の言葉に腹が立って掴みかかってしまい、厳重注意を受けたばかりだ。「なあに?」よんでみただけ。碧は目を伏せて笑う。
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