降目
【降目】うるめ
メールの件名が抽選結果のご案内だったから覚悟はしていたけど、やっぱり外れていた。「あー居住年数で選別されてるってこれ」彼女は枕に顔をうずめて脚をばたつかせた。かもねえ。「かもじゃないぜったい」一緒に暮らしはじめて四年、宝船来臨見学ツアーへの応募は三回めになる。当選者は宝船が天よりくだってくるさまを見られるらしい。もちろん七福神も。互いの職場からそこそこ近くて閑静な場所だから決めただけで、抽選権なんて興味もなかったのに、いざ住んでみたらせっかくだからという気持ちになってしまったのだ。十月になればふたりで申請へいって、外れては年の瀬からぱかぱか呑んで、来年こそと盛り上がった。来臨を拝めた方は願いが叶うんですよ。役所で言われたけど、これ以上ほしいものなんてもうなかった。
私たちが当選したのは七年めのことで、そのあとすぐに越したからそれきりだった。本当に船は天からくだってきたし影は七つあったけど、あれと目があったひとはみな連れていかれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます