降目

【降目】うるめ


 メールの件名が抽選結果のご案内だったから覚悟はしていたけど、やっぱり外れていた。「あー居住年数で選別されてるってこれ」彼女は枕に顔をうずめて脚をばたつかせた。かもねえ。「かもじゃないぜったい」一緒に暮らしはじめて四年、宝船来臨見学ツアーへの応募は三回めになる。当選者は宝船が天よりくだってくるさまを見られるらしい。もちろん七福神も。互いの職場からそこそこ近くて閑静な場所だから決めただけで、抽選権なんて興味もなかったのに、いざ住んでみたらせっかくだからという気持ちになってしまったのだ。十月になればふたりで申請へいって、外れては年の瀬からぱかぱか呑んで、来年こそと盛り上がった。来臨を拝めた方は願いが叶うんですよ。役所で言われたけど、これ以上ほしいものなんてもうなかった。

 私たちが当選したのは七年めのことで、そのあとすぐに越したからそれきりだった。本当に船は天からくだってきたし影は七つあったけど、あれと目があったひとはみな連れていかれた。

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