第2話恐怖の幻覚、幻聴

それは突然起きた。

夜中に視線を感じて目が覚めた。1人暮らしの部屋に誰かがいる。

ベッドに横たわりながら、右側を見ると知らないオジサンが正座していた。

僕は逃げようとしたが、身体が動かない。

声も出ない。

そのオジサンはあろうことか、僕に抱きついて来た。

そこで、気を失った。

精神科でありのままを話すと、主治医は体感幻覚と言った。精神安定剤を増やされた。

それから、オジサンは出てくるが慣れてしまった。

ある晩は、女性が笑いながらベッドの周りを走っていた。

最近は怖かったが、その女性にも慣れた。

幻覚は色んなのを見てきたが、幻聴も怖い。

耳元で誰かがささやくのだ。

「死んでしまえ!」

「バカ」

「生きてる価値はない」

と。否定的な言葉ばかり。応援するような幻聴なら嬉しいのだが。

統合失調症は以前は精神分裂病と呼ばれていた。

だから、脳の伝達物質が狂っているのだろう。

閉鎖病棟に3回入院した。

今はちょっと楽だが、それでもたまに人が現れたり、幻聴で文句言われている。

でも、薬が効いているのか、苦しくはない。

統合失調症とは、厄介な疾患である。

だから、こんな体験をしないと精神障がい者とは呼べないのだ。

2級は思考の歪み、幻覚、幻聴がある人しか認定されない場合が殆どである。

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