第5話
「にゃーん」
俺たちが家に着いて扉を開けた時、一番最初に聞いた言葉はこれだった。
俺は最初女がふざけて言ったのかと思いそちらを向く。
女は首をブンブンと振りリビングの方へ指を指す。
「にゃぉーん」
もう一度聞こえた。
見るとそこには見知らぬ白と青の美しい猫がいた。
「…猫か?こんな毛色のヤツ見たことないな。というかどうやってここに入った?」
俺はそう言いながら猫の首の皮を持ち外に出そうとした。なんせ猫なんて面倒くさくて金のかかるだけの生き物だと認識しているからだ。
「俺はお前を知らない。なぜ俺の家にいる?出て言ってくれ。」
そう言って外に出して扉を閉めた。
女は数秒の出来事だった事もあり何も言わずに棒立ちしていた。
「さぁ、狭い所だがここが今日からお前の寝床だ。せいぜい俺を楽に過ごさせてくれ」
何事も無かったかのように女を家に入れた。
女が一言。
「あの…あの猫?様はカラ…リアム様のペットなのでは?」
一瞬カラスと言いそうになったことは置いておこう。
そんな事より。
「俺は猫なんて飼ってない。なんであいつは俺の家にいたのか検討もつかん。猫なんて面倒くさいだけだし…」
いきなり女が顔を近づけてきた。
「そんなことありませんわ!!猫様可愛らしかったじゃありませんか!あの美しくも可愛らしい猫様!私1度ペットを飼ってみたいと思っておりましたの!リアム様のペットでは無いということでしたら私が飼いますわ!」
興奮気味に息を荒げながら俺に言ってきた。
「いや…飼うってお前…ここ俺の家。お前居候。おーけー?」
そう。ここは俺の家。なぜ居候の猫まで家に入れなければいけない。
「わかりましたわ。なら私に1つお部屋を貸してくださいませ。そしてその部屋から絶対に猫様を出すことは致しませんわ。リアム様にも迷惑をかけないように猫様の可愛さを分からせて差し上げますわ!」
またも興奮気味だ…そして強引だ…
その強引さに猫を家に入れずにこいつと猫の口論をする方が数倍めんどくさく思い
「あーもーうるせぇなぁ!わかったよ!絶対部屋から出すなよ!」
とやけになり言ってしまった。
幸い俺の家はそこそこ大きく部屋は余っているため俺には猫の世話をする必要はない。
「分かりましたわ♪それでは猫様をお連れいたしますわね♪」
ニコニコで猫を拾いに行く女
俺はデカデカとため息を吐きリビングのソファーに倒れ込むように座った。
ドタドタドタ…
外に猫を探しに行ったはずの女がリビングに走ってきた。
「リアム様!助けてくださいませ!!!」
助ける?こいつは猫を探しに行っただけのはず
「何があった?お前は猫を探しに行っただけでは無いのか?」
思ったことをそのまま伝えた。正直嫌な予感はする。
「私の国の兵士達がこの街に侵入したそうですわ!」
…私の国?兵士?この女、一体何者だ?
少なくとも俺の嫌な予感は当たったようだ。
俺は女に質問する。
「お前の国?兵士?グレース・ノア、お前は何者だ?」
「まぁ!…女(ふっ)ではなく私の名前覚えてくださっていたのですわね!!私嬉しいですわよ!」
下手くそな俺の真似をドヤ顔気味に見せながら話をそらそうとしている。
俺は話を無理やり元に戻すように
「いいから質問に答えろ。お前は何者だ。グレース・ノア」
睨みつけ首元に魔法の水の鎌を回し付ける
1度引けば首をかっ切れる位置に
「…分かりましたわ。お話させて頂きますのでまずは水の鎌をお納めくださいませ。」
俺は魔法を解く
「ほら、魔法を解いた。早く俺の質問に答えろ。お前は何者だ?」
再度問い詰める。
そしてノアは俺の嫌な予感の数倍面倒くさく、この先を考えたくなる答えを言い放つ
「私の本当の名前はグレース・プランド。人間族一番の国、プランド王国の姫…ですわ。グレース・ノアは私の身分を隠す。いわゆる偽名…ということですわね♪」
俺は一言。ただ一言心に思う。
めんどくさい。。。と
人と悪魔と私(猫) アルトん @aruton
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