第3話

…面倒なことになった。

この女はいったいなんなんだ…

俺への好意、俺への求婚、

そして怠惰な俺はすきにしろと言ってしまった。

そして…

この状況に至る。

俺の唯一静かな寝室。

横に顔をニヤケて寝ている名前も知らない人間の女。

確かに俺は好きにしろとは言った。

いきなり寝るのか…しかも俺のベッドで。

俺の家に入るなり眠りにつくなんて、よほど疲れていたのか、そもそもどこから来たのか。

…ちっ

考える事もめんどくさい…

俺も寝よう、同じベッドに入るのは俺が嫌だしどこかこいつの頭の中はピンク色だし、

何を言われるか想像したくない。

仕方なくソファーで寝るとするか…

そして夜が明ける…

「…重たい」

俺はなにかに乗られている感覚で目が覚めた

モニュッ…

何か柔らかいものに手が当たる

「…んっ」

なにか声も聞こえる

頭の回らない俺はこの柔らかいものがなにかを調べるためにもう一度触ることにした。

モニュッ…

やはり柔らかい。そして何故か心地がいい

俺はなにかに乗られているような気がして起きた。

そして俺の家にいるのは俺だけのはず…

俺だけ…いや、もう1人いるな…

あの女か

女…

柔らかい

…これはまずい

今後の展開は色々と察しがつく

恐る恐るその触ったものを確認する。

あぁ…やはりこれは女の体だ。

しかも手元にあるのは胸部だろう。

そして俺は顔の方に目をやると

少し恥ずかしそうに…いや…ニコニコとこちらを見ている女がいた。

「んッ…ふふっ…やはりあなた様も男の方だったのですね♪」

…うん

これは俺も悪い…が

「…なんでお前が俺の上にいる」

もちろん悪い事をしたとは思っている。

しかし俺のベッドで寝てたはずのこいつが俺の上にいる。

そして言葉を続ける

「あなた様があまりにも可愛らしいお顔で寝ていらしたので…つい近くで観察がしたいと思い、でも…ッ…まさか胸を何度も揉まれるとは思いませんでしたが♪貴方様は変態さんなのですね♪」

一瞬だが女の言葉が詰まった

さすがに少し恥ずかしかったようだ。

「いや…その…なんだ、俺の寝ている上にお前が来たのが悪いとして、それは置いといて…その、すまなかったな、触ってしまって…胸…」

これは俺に出来る誠心誠意の謝罪のつもりだ。

「ふふふっ♪問題ありませんわよ!こうゆう展開もあると思っておりましたから♪」

そういう女。

しかし女はこちらを見ようとはしない。

後ろ姿から見える耳は真っ赤に見える。

「私は貴方様に求婚したわけですし!全然大丈夫ですわよ!ふふん♪」

相変わらず言葉は余裕そのものを見せるがその一方で体は家の外にのそのそと向かっている。

そして続けて

「…ですが今日の所はこれで失礼いたしますわ!また明日お邪魔させていただきますのでお待ちくださいな♪」

また来るのか。

「おい待て!」

まぁ一言くらい言っと…

もう女はいなかった。

どうやら捨て台詞として言いたいことを言って走り去ったようだ。

俺は少し女のことを考えたが色々ありすぎて疲れた。

もう一眠りしよう

そしてまた明日あいつが来たらいい加減名前でも聞いておこう

誰に言い訳しているかは分からないが違うぞ

平穏な俺の日々を奪ったあの女。

あの女を黙らせて服従させてやる

珍しくやる気が出た。

明日から頑張る。

そう。明日から

…俺は眠りについた

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



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