第12話「お姉ちゃん」
「いよいよ明日なの」
昼休み、星那達とご飯を食べながらだらだらと喋っているとふと陽華が口にした。
「あぁ、文化祭のことか?」
「そうなの」
そう言って陽華はこくりと頷く。
「明日は俺は陽華達とは回れないけど2日目3日目は一緒に回ろうな」
あの後無事星那達から一日目煌希達と文化祭を回ることを許可された。
「と言っても2日目の午前はシフト入ってて教室から動けないけどな」
「大丈夫、見に行く」
「いや来なくていいよ、恥ずかしいから…」
普通にメイド服着て女装してるだけってのに恥ずかしいのにそれを幼なじみのみんなに見られたら恥ずか死ぬ。
「渚沙恥ずかしがり屋さんなの。可愛いの」
すると陽華はニヤニヤして言った。
「ばっ…ちょ、可愛いとか男にそう簡単に言うなよ、勘違いするやつもいるって」
「他の人には言わないの。渚沙勘違いする?」
小首を傾げて上目遣いで尋ねてくる。
くっ…可愛いなぁおい。
「俺はしないよ、わきまえてるからね」
「やっぱ渚沙はバカなの」
「え?」
「うん、バカだね渚沙は」
「えぇ?」
「そうですよね、バカですよね」
「えぇぇ?」
「うんうん」
「星那に詠に陽葵まで……なんかひどくね?」
あからさまに落ち込んでみると陽華がポンポンと頭を撫でてきた。
「陽華はお姉さんなの、だから渚沙慰めるの」
なんかわざと落ち込んだの申し訳なくなってきたな…
「あぁ、ありがとな陽華」
「お姉ちゃんって呼んでみてもいいなの」
「あー、それはまた今度な?」
そう言うと陽華が悲しそうに俯いた。
「さいてー渚沙」
「あ、えっと…ごめんな?お姉ちゃん…」
少し恥ずかしくて顔を背けながらになってしまった。
「……許すの」
お姉ちゃん、と呼ぶと陽華は小さな声で呟いた。
「許してくれるの?」
「うん」
「ありがとねぇ〜」
そう言って陽華の頭をポンポンと撫でる。
なんか子供あやしてるみたいだな…
と、思ったがこれは口にしないようにしよう。
「明後日から一緒に回るの楽しみにしてる」
俺はその場にいるみんなにそう告げた。
「明後日は一般公開もあるからすず姉とか陽菜、透織もこれますしね」
「そうだな、詠のクラスのお化け屋敷も楽しみにしてるぞ?」
「全力で怖がらせます!!」
「ほどほどにな」
俺はそう言って軽く笑う。
明日からは楽しい3日間になりそうだ。
ちなみに煌希以外には幼なじみが7人もいるってこと伝えてないしましてやその1人に国民的声優の有栖星那がいるなんて思ってもいないだろうなぁ。
ま、周りが知っていようが知っていまいが俺には知ったこっちゃない。
「明日から3日間、全力で楽しもうな!」
残り少ない学校行事のイベント、全力で楽しまなきゃもったいない!
明日から3日間思い出作りまくるぞー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます