第7話「寝起き」

「おはよぉ……」


 謎の時間を過ごした星那、詠、透織、陽華の4人の後に陽菜、陽葵が起きてきて最後にすず姉が目を擦りながら起きてきた。


「ずいぶん眠そうだな」


 俺はがすず姉に問いかけると国際電話並みの速度で反応が返ってきた。


「ん〜〜〜〜…………大学生は、朝慣れてないんだよぉ……」


 いつもはハツラツとしていて元気のいいすず姉が朝に弱いと言う事実がなんでかわからないけど可愛らしく感じる。


 ……これがギャップ萌えってやつ……?


 よく分からないけどこんなすず姉滅多に見れないからとりあえずイタズラしとくか。


「すず姉起きろぉー」


 そう言って俺はすず姉の頬をつまむ。


「ぬぁぐぃすぁやむぇとぅえゆぉ」


 俺が両頬をつまんだせいで何を喋ってるのかいまいち分からない。


 でもおそらく「なぎさやめてよー」って感じだと思う。


「なんか可愛いからやめない」


 やめてと言われてもなんか可愛いからやめられないんだよなぁ…ほっぺぷにぷにで柔らかいし。


 後なんでか分からないけど周りから鋭い視線が突き刺さってる気がする。


 気のせいかな??


「………すぅ、すぅ…」


 ……え?寝た?


「おーい、涼羽さーん?」


 反応がない…


「え?もしかしてすず姉立ったまま俺にほっぺつままれながら寝たの??」


 嘘だろ…一限取ってない大学生でも流石にこんな朝弱くはないだろ。


「すーず姉ー?早く起きないとキスしちゃうぞー??なんつって」


 なんて冗談を言っても起きる気配がない。


 よし、強硬手段だ。


「くらえっ!ほっぺこねくりまわし!!」


 そう言いながら俺が繰り出した技は、両手ですず姉の両頬をつまんだり引っ張ったり縮めたりしてこねくり回す技だ。


 するとすず姉は片目だけをうっすら開いて俺に尋ねてくる。


「早く起きないとキスするんじゃないの……?」

「え?…いや、それはただの冗談っていうかー?」


 するとすず姉は反対の目も開けて悲しそうに視線を下にやった。


「嘘つき……」


 とだけ呟いてそっぽを向いてしまった。


 いやいや、何その可愛いの。ずるいって…ていうかそもそもそんなキャラじゃないじゃんギャップ萌えしちゃうじゃん。


「ご、ごめんなぁー?」


 俺はすず姉の機嫌を取るべくなるべく下手に出て話す。


「後で一つなんでもいうこと聞きますんで…」


 するとその言葉に釣られてすず姉がまた俺の方へ向き直る。


「言ったね?言質取ったよ?」

「そう言われると怖くなってくるんだが?」

「約束だよ?」


 まぁいい、言ってしまったものはしょうがない。男に二言はないしな。


「わかった」


 するとウキウキになってすず姉は洗面所に姿を消して行ったのだった––––––

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