第24話「停学ライフ」
「陽菜っっ!!」
俺は咄嗟に飛び出してしまった。
「待てよ、それ以上近づいたら…分かるな?」
そう言って陽菜を抑えていた奴がナイフを取りだした。
「く…!!」
「な…ぎさ……渚沙……!」
陽菜が泣きながら助けを求めてきた。
「大丈夫だ陽菜、必ず助けるから…!」
泣きじゃくる陽奈を最大限安心させるように声をかける。
「ははっ、呑気なもんだなぁ…お前なんで幼なじみが捕まってるか分かってるのか?」
すると皇成が口を開いた。
「単純に狙ったわけじゃねぇんだよ」
悪寒が走る。
「もともとお前は俺の手の上で踊ってたんだよ」
そこで俺の頭の中に仮説が巡る。
「幼なじみがみんな転校してきて不思議だとは思わなかったのか?」
「っ!!」
「それもこれも全部俺たちが仕組んだことなんだよ、お前が立ち回りづらくするためにな」
そこで俺は全てを理解した。
「つまりこいつが今捕まって俺らの前にいるのも全部お前のせいなんだよ!」
皇成の言う通り俺は立ち回るのが大変だった。
これだとあいつらまで危険に晒されてしまう。
クソっ……、一気に転校してきた時点でもっと警戒しておくべきだった…!
「まぁどちらにせよこいつには少し痛い目あってもらうけどな」
皇成はそう言うと「やれ」と指示を出した。
「いやっ!!」
だが、奴らが陽菜の服を脱がそうとしてナイフを手放した隙を俺は見逃さなかった。
地面を強く蹴り低い姿勢で奴らに近づき、陽奈の一番近くにいたやつの腹に一発入れる。
そして周りにいた奴らは回し蹴りで後方に飛ばし、近づいて追い打ちをかけた。
残りは6人、いける…!
殴りかかってきたやつの拳を避け、アッパーを喰らわせる。そして後ろからも殴りかかってきたやつの拳をしゃがんで避け、足元に回りながら蹴りを入れ、体勢を崩したとこを殴ってとどめを指す。
あと2人、残るは皇成と拳聖。
皇成は変わらず後ろで気味の悪い笑みを浮かべて座っている。
「さぁ、
拳聖は拳を合わせた。
すると力強く地面を蹴り低い体勢ですごい勢いで近づいてきた。
俺は一歩後ろに後退り、近づいてきたタイミングでまた一歩前に踏み出す。
そして背中に肘打ちを喰らわせ一発で仕留めた。
「おうおう、やってくれんなぁ」
すると後ろで殴り合いを傍観していた皇成が初めて立ち上がった。
「そいつ、うちらの中では俺の次に強いやつだったのにな」
すると皇成はまるでゴミを見るかのような目で拳聖を見下ろした。
なるほどな、使えなくなったら用済みってことか。
「てゆうかさ、お前こんなに暴れてたとして証拠がねぇから俺ら捕まんねぇからな?」
「そう言うことなら安心しろ、伊達に停学ライフ満喫してないぞ」
そう、停学で暇な時に俺は奴らの情報を集めまくっていた。
おかげで俺の皇成コレクションを警察に突き出せば一発で奴らは捕まる。
「ほう?なかなか面白いじゃねぇか」
そう言ってやつはまた気味の悪い笑みを浮かべた。
「陽奈、大丈夫か?」
俺は後ろにいる陽奈に話しかけた。
「うん…」
陽奈が発したのは今にも消え入りそうなか細い声だった。
「そこを動くなよ」
皇成と対峙しながら後ろの陽奈に告げる。
そして俺は、足に力を入れて地面を強く蹴り出した———
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます