第16話 空中戦、地上戦。
翌日から過酷な訓練が始まったが、誰一人脱落する者は居なかった。
最近、ミルシャよりサシャが良く隣にいるが・・・いつも不機嫌そうだ。
「今日も隣に居るのか?」
「そうだけど嫌かな?」
「不機嫌そうだし自分の隊の元へ行けば良いんじゃないか?」
「不機嫌じゃなくて威厳を保ってるだけなのに。」
「そうなのか?俺のと隣に居なくても良いんだぞ?」
「・・・初めて邪魔者扱いされた。」
「邪魔者扱いはしてないぞ。」
「いつもは呼ばれても行かないのに、わたしから来てるんだよ。それなのに・・・」
「俺は呼んでないがな。」
「・・・うぅ・・・そんな事を言わないでよ。」
「お前は中隊長なんだろ?隊の様子はどうなんだ?」
「副官を用意して見てもらっているから問題ない。」
「そうか。俺はお前の中隊長室を借りて良いか?考え事をしたいんだが・・・」
「別に良いけど・・・わたしも一緒に行く。」
「一人で考えたいんだが。」
「邪魔しないよ。」
「変な噂になっても知らないぞ。」
「構わないよ」
同じ歳の女の子で可愛いんだけど・・・
性格が良くわからない。
サシャの案内で中隊長室に入るとソファーに座り隣にサシャが座った。
・・・・・
「えっと・・・考え事に集中出来ないんだけど。」
「邪魔はしてないよ。」
「隣でそんなに見つめられると・・・な」
「見つめないようにするよ」
「お前は歳は、いくつなんだ?」
「14だよ。」
「そこに座られると話しにくいな・・・」
向かいのソファーに座ったサシャ
「これで良いかな?」
いや・・・良くないな・・・ピンクのパンツが見えてるけど。
「ああ、問題ない」
「大隊長は付き合ってる人は居るの?」
「嫁が2人居る」
「そっか・・・もう一人くらい欲しくないか?」
「要らないな。」
「役に立つ様に頑張る。」
「・・・ああ頑張ってくれ。中隊長としてな。」
「わたしに魅力は、ないかな?」
「可愛くていいと思うけどな。良い男の人はいないのか?」
「・・・大隊長がいるよ」
「俺は無理だって。」
「徐々に好きになって、もらえるように頑張るよ。」
「そうだな・・・会ったばっかりだしな。」
「うん。そうだよ。」
「まず、俺達は飛んで移動して攻撃をするよな?」
「うん。」
「お前は下に何も履かないで飛んでるのか?」
「え?」
「後ろを飛んでいるやつにパンツが丸見えだぞ?」
「あ!?」
「ちなみに俺からも丸見えだぞ。」
何回この同じ様な会話をしてるんだ・・・
「きゃぁ。」
顔を真っ赤にしてパンツを隠すサシャ
「見ました?」
「少しな。」
「・・・恥ずかしいぃ・・。」
まともな反応で良かった。
「明日から何か履いてこいよ」
「うん。分かった。」
「それで、今日の訓練は何をやってるんだ?」
「飛行しながら魔法を放つ練習だよ。」
「そうか、どんな感じなんだ?」
「みんな上達してくてるし、上手だね。」
「今回は、空中戦も出てくると思うから、その練習もしておけよ。」
「え?他の国も魔導士を使って飛行戦術を?」
「まあ、その様な感じかな・・・」
「うん。分かった。練習をさせておくよ。」
数日後・・・
占領地の元ラジエント王国にエンジェル帝国が練習地として選んだのか飛行機の小隊で攻撃をしてきて、すぐに引き返していった。
ハァ。とうとう仕掛けてきたのか・・・
また、戦争の始まりか。
数時間後に飛行機の中隊規模でファンベル王国へ向かってきていると連絡が入った。
「これからエンジェル帝国と本格的に戦争が始まる。相手も飛行戦術を使ってきている。だが、こちらも練習で対処をしているので心配はないと思うが殺られるなよ。地上戦も鉄の塊で攻撃をしてくると思うが、それも対処済みだろ?他は通常通りので恐いものはないだろ。では、これより出撃をする。」
ライトを中心に目撃された付近へ飛んでいく、後ろにはサシャ、ミルシャ、リリア、マーク、クーラント、サーモが付いてきている。
地上では上空からファンベルの兵が航空機から機銃に似た魔道具で雨の様なファイアショットの攻撃を受けて苦戦していた。
「このままでは、全滅です。早く応援を呼んでください!」
「本部からは、そろそろ到着すると報告が有りました!」
「それは本当か?・・・助かるのか・・・?」
「上空に援軍が来たようです!!助かりますよ!」
「あれは!!殲滅特殊大隊だな?!これで・・・助かったな・・・アハハ。これで無事に帰れるぞ。」
ライト達が現場上空を飛んでいると。
飛行していたよりも上空から攻撃を仕掛けられた。
「散解して高度を上げて対抗するぞ。」
「了解です。」
「相手は小回りが効かないので、それも頭に入れておけよ」
「はい。」
俺は、その場でファイアショットに多重スキルと威力20倍スキルと追尾スキルを追加して放つ。
10機は撃ち落とせたが距離があったからか上手く行かないな・・・
『悪いが今回の獲物は俺が頂くことにする。皆、離れてバリアを張って待機だ。』
『了解。』
転移で更に上空から同じ設定でファイアショット放つと今回は15機に当たり墜落していく。
そろそろ自国の町まで着いてしまいそうなので被害が、まだ出ないココで止めを刺さなければ。
『衝撃に備えておいてくれ。』
『了解』
ライトが目標付近に手をかざして白い球を放つと敵の航空戦隊の隊列の中心部分で白い閃光と衝撃波が周りを襲い、その後に爆炎が襲ってくると、しばらくすると周りの酸素を使い果たして火が消えていくと飛行機は跡形も残ってはいない。
隣に気配を感じて振り向くとサシャが居て驚く
「何だよ!?ビックリするだろ。そのうち間違って攻撃するぞ。」
「え!?それは困ります・・・」
「散解して敵を発見したら知らせるように。と、伝えてくれ。」
「はい。」
「それでお前は活躍は出来たのか?」
「えっと・・・2つ落としました。変な飛んでいる物を・・・なんですか、あれは?」
「飛行機って呼んでたな。落とせたのか、凄いな。」
「大隊長が最後の魔法って・・・何ですか?!あの破壊力はヤバいです。離れてバリアを張って待機をしてたけど吹き飛ばされましたよ。」
「オリジナル魔法かな。」
「そんな事も出来るんだね・・・」
「自分の中隊は放っておいて良いのか?そのうち中隊長を外すぞ。」
「えぇ・・・わたし、頑張ってるよぉ。」
『飛行小隊を発見しました。』
「サシャ、俺が行って来るな。」
転移で発見した場所まで行き、先頭を飛んでいる飛行機の上に転移して後続を飛んでいる飛行機を目掛けて、さっきの設定でファイアショットを放つと操縦をしていた者が青ざめている
「き、貴様は何者なんだ?」
「それを聞いても、お前はこれから死ぬんだから意味ないだろ。」
ファイアボールの置き土産をして転移で離れると爆発して墜落していく。
『地上部隊から救援要請です。』
今度は地上か・・・
なぜかいつも隣に居たサシャに
「いつもお前は隣りにいるな?俺の秘書官か?」
「え?!秘書官にしてくるの?やった。」
「お前は中隊長を辞めて秘書官になりたいのか?」
「えっと・・・大隊長の秘書官なら良いよ。」
「その話は後だ。」
『それでは、作戦を伝える。第二中隊は上空で散解して上空を警戒、監視をしろ。第三中隊は敵歩兵、魔導士部隊を殲滅しろ。第1中隊は鉄の塊の足止めをしろ。俺は鉄の塊の処理をしていくが・・・第1中隊の優秀な、お前らが俺の獲物を先に狩ってても問題は無いからな?では、開始だ。』
第1中隊はサシャの中隊だ。
なので・・・当然のように隣りにいる。
「お前も働けよ。」
「・・・大隊長の警護をしていますよ?」
「警護?邪魔してるの間違いじゃないのか?」
「ヒドイです。」
見た所、戦車と同じ感じだな。
でも、主砲がやたらとデカくて恐怖感があるな・・・
そんなにデカイのを撃ってくるのか?
というのもバスケットボールぐらいの大きさの主砲だった。
「試しに魔法で攻撃でもしてみて、様子を見るか。」
「衝撃に備えた方が良いかな?」
「そこまでのは放たない。」
試しにファイアボールを、正確な場所に撃ち込む為に追尾スキルを追加して放ってみると、主砲の中に入って戦車の中で爆発して見事に撃破出来た。
「これくらいで大丈夫そうだな」
「わたしの中隊にも伝達してくるね。」
どうやら主砲は砲弾ではなく、魔術具を使用して魔法を放つ筒の様で、ファイアボールを放ってきている。
なので、コチラもファイアボールに魔法無効化を周りにコーティングして、追尾を追加して、さらに徹甲弾2段式炸裂弾を仕込んでみた。
徹甲弾2段階炸裂弾は、貫通力もあり戦車の車内で炸裂するように設定をしていて戦車の車内で炸裂をして、炸裂した弾が更に衝撃が、あると炸裂するのだ。
なので・・・戦車の狭い中で爆発で爆炎で包まれ酸素が無くなり更に爆発と共に炸裂して、戦車内は散弾の嵐になるので、爆発と散弾を防いでも酸欠で生き残るのは厳しいだろう。
バリアで防いでも魔法無効化で貫通して、盾や主砲を密閉しても貫通弾で貫通して戦車内に入り込んでくるのだ。
しかも、この戦車は主砲が大きいので、撃ち込みやすくしてくれているので助かる。
エンジェル帝国の兵が
「貴様ら、何処から情報を聞いて対策を立てたんだ!?卑怯だぞ!!」
と外に向かって叫んでいたり。
「なぜ飛行部隊は攻撃を仕掛けていないんだ!!」
「飛行隊と連絡が付きません!」
「他の戦車とも連絡が・・・付きません。」
「何だと!!最新鋭の飛行隊と戦車隊なんだぞ!!そんなに簡単に殺られる、はずは無いだろ!!」
「ファンベル王国は・・・化け物を隠していたのか・・・クソがぁ!!」
戦車は30輌の隊列だったので普通なら脅威的な戦力だったがどんどんと削られていく・・・
残りが10輌になって気が緩んでいたのか、主砲の攻撃を喰らいそうになった所を、サシャが身を盾にして守ってくれた。
サシャはバリアを張っていて重症では、あったが大丈夫そうだが・・・スイッチが入ってしまった。
サシャを治癒魔法で治癒をして。
「サシャ助かった。ありがとな。」
と、つい・・抱きしめた。
頬を赤くして照れてるサシャ
「あ、え、う、うん・・。わたしが護衛って言ったでしょ。」
これまでは周りに被害が出ないように抑えて戦車内で終わらせていたが・・・
戦闘モードで戦闘系のスキルが自動でオンになった。
残りを殲滅してやる・・・
『この周りから直ちに至急、全力で退避せよ。これからこの一体を吹き飛ばすので、退避したらバリアを張って衝撃に備えて耐えてろ。』
サシャを、背負って飛行して上空から、他の隊も逃げたのを確認して。
戦車に向けて手をかざすと、白く輝く小さな球体が現れ、戦車に向かってゆっくりと飛んでいき、途中で10個に増えて各戦車に向かって飛んでいくと、戦車の車体もすり抜けていき、戦車の中で大爆発が起きる。
戦車から、閃光を放ち次に爆炎と衝撃波が周りを襲い、遅れて爆風が襲うと、戦車があった場所にクレーターが出来ていて、それを中心に更地となっていた。
勿論、敵の部隊は全滅しているのは、明らかで更地になっているので隠れる場所もない。
「もしかして・・・わたしを傷つけられて怒ってくれたのかなぁ?」
「・・・まぁ・・な。」
「ありがと。」
「服がボロボロになって・・・胸が見えてるぞ。」
「え?あ・・きゃぁ。」
と上空で暴れるサシャ。
「落ちるぞ。俺の服を貸すから安心しろ。」
上着を脱いで渡す。
「・・・大隊長の匂いがして安心するなぁ。嬉しい。」
「そうか。」
「これを着てたら、大隊長に見えますよねぇ。似合いますか?」
サシャも中に浮いて回って見せてくれた。
「ああ、大きめで可愛く見えるな。」
「え、あ、ありがと。初めて褒められた・・・」
「そうか?」
「うぅ・・・嬉しい。」
「悪いが。後にしよう。」
と言うと。
サシャが勝手に、背中に抱き着いてきて、背負う事にまたなった。
『今回の、作戦は無事に完了だ。残敵も居ないのも確認済みだ。これより殲滅特殊大隊は帰還する。』
『了解』
「あんまり胸を押し付けるなよ・・・」
「こうしてないと落ちちゃうよ。」
「そうか・・・」
「大隊長に、抱き着けるなんて思ってもなかったよ。」
「俺も、お前に抱き着くと思ってなかったな・・・」
「死ぬかと思ったけど・・・今、幸せだから良いかな。」
「次からは無茶はするなよ。」
「あ、お願いがあるんだけど・・・良いかな?」
「ん?なんだ?」
「えっと・・・頬にならキスをして良いかな?」
「・・・ああ。今だけだからな。」
頬をサシャの方に向けると、サシャが顔を赤くして後ろからキスをした。
「うぅ・・・最高だよ。」
「満足してくれたか?」
「うん。大・大・大満足だよ。あぁ・・・幸せだよぉ。」
「ちょっと大袈裟じゃないのか・・・」
隊舎に着いたので、他の隊員の帰りを部屋で待つか・・・。
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