第10話 休暇を終えて

久し振りに徒歩で帰宅していると大きな木がある丘があって、その木の下で見慣れた顔の可愛い女の子が不安そうな顔をして俯いているのが見えた。


視力強化スキルで、よく見るとミリアだったので木の裏へ転移して


「そこの可愛い子、どこかに遊びに行かないか?」


「え、人を待ってるのでムリですね」


「そんな事を言わないで行こうよ」


「大声で助けを呼びますよ!」


と、目が合い目を潤ませているミリア


「あ、ゴメン。やり過ぎたか。」


「ヒドイよ。もぉ」


「まぁ、俺もヒドイけど、ミリアもサキを頼んだのに、何でココに居るんだよ」


「・・・ライトが心配で。」


と、抱き着かれたので、軽く両手を回し背中を叩き


「もう大丈夫だよ。」


「うん。」


少しは落ち着いたかな。


でも緊張してるような、何か話をしたそうな感じだったので木の根元に座り


「どうしたの?」


「えっと・・・、あの・・ね、私ね、・・・ライトの事がね、好きなみたいなの。」


ん?俺もミリアは好きだけど。サキの妹としてだけど・・・?


「俺もサキの妹として好きだけど?」


「ううん、違うの・・・ライトと結婚をしたいの・・」


「ムリじゃないかな、サキと結婚してるし。妹だし。」


「何でそんな事を言うの?私がキライだから?」


「え?だってサキと結婚してるんだよ?」


「サキ姉と結婚をしてても私とも結婚出来るでしょ?」


・・・え?。そんな事出来るの?


そうだった、俺の常識は通用しないんだった。


ココは異世界だったよな、前世でも一夫多妻制とかの国もあったし・・


「でも、サキが許さないんじゃないか?姉妹の仲が悪くなるのは嫌だしな」


「サキ姉にも相談はしたよ。ライトが良ければ良いよだって言ってた。」


「え?それは嘘じゃないか?」


「こんな嘘付いても帰ったらバレるでしょ。」


「まあ、そうだよな。」


「私の事をどう思ってるの?」


「嫌いじゃないけど急に言われてもな」


「分かった。これから一緒に住んで分かってもらうよ」


「随分と積極的だな。・・・昔のサキみたいだな」


「うん。姉妹だからね。」


「そうだったな。」


これから、また、戦乱になりそうだし・・・ミリアも守ってあげたいしな。


結婚は置いておいて一緒に居るくらいは良いよな。


「分かった。でも、サキと両親の許可が出たら。だからな」


「うん。ありがとね。」


ん?って事はミルシャがアピールしてくるのも納得できるな。


嫁が居るって知ってるのに最近、随分と馴れ馴れしいと言うか色気を使ってくるんだよな・・・


そういう事だったのか。


「俺そういう事が、あんまり詳しくなくて聞くんだけどさ、結婚て何人まで出来るんだっけ?」


「え?養えれば何人までって決まりは無いけど?そんなに結婚する気なの?」


「そんな訳無いだろ。サキだけで十分幸せだ。」


「え、私は?」


「ミリアとも一緒に居れば、もっと幸せだな。」


「えへへへ・・・嬉しい。」


ミリアと手を繋いで帰ると


サキが


「で、どうなったの?」


「お前、言い方が軽いな。」


「え、だって大切な妹だし、家事の分担も出来るし性格も分かってるからね。」


「ああ・・・だから、最近ミリアと一緒に居ても文句言わなかったのか?」


「てっきりライトもその気があるのかなって思ってたから。普通さ歳が近い女の子と手を繋いで帰ってこないでしょ。」


「でも、親が許さないんじゃないのか?」


「え、何で?王様から最高位の勲章を、貰える人に娘を2人も貰ってもらえたら、自慢できるし名誉なことだよ。」


「・・・親も計画に参加してそうだな。」


「・・・内緒だよ。」


「でも、ミリアは無理やり結婚を、させられてないか?」


「え?私は、ライトがホントに好きだよ。」


「なら良いけど、今の話の流れだと、親とサキに無理やり結婚をさせられてる感じだけどな」


「そんな事無いよ。嫌な人だったら私は逃げちゃうって。」


「様子見だな。でも、外でさっきみたいに待つのは止めてくれよ。危ないからな」


「うん。わかった」


「でも、ミリアが俺の嫁にって変な感じだな。」


「そうかな?前から私は、ずっと好きだったよ?」


「え?全然、気が付かなかったけどな」


「ホント、ライトって鈍感だよね。」


「そうか?」


「私の気持ちも、ずっと気が付かなかったでしょ?」


「そう言われると・・・そうかもな。」


それからしばらくして休みが終わった。


 


久し振りに隊舎の小隊長室に入るとミルシャが、朝から書類仕事をやっていた。


「おはよ。朝から書類か?」


「おはようございます。お久しぶりですね。って、あれ?久し振りでは無いですよね。ちょこちょこと盗賊の討伐の手伝いを、してもらっていまいたね。その盗賊の討伐の報告書ですよ。」


「また、盗賊が出たのか?最近よく聞くよな。」


「そんなにターボランド王国って兵が、いたんですかね?」


「かなり兵は、削ったと思うんだけどな。」


「今、出てる盗賊ってターボランドの兵なんですかね?」


「一般人では無いのは確かだよな。剣の扱いや魔法も使えるやつ居るしな。」


「あ〜。そうですよね。」


「大きな声では言えないけどな。って、事はだな・・・他国が盗賊に見せかけた兵って事もあるよな。」


「他国の兵ですか?それって、ヤバいですよね。また、戦争ですか。」


「まあ、俺の想像でしか無いけどな。でも、何で盗賊になろうとするんだ?」


「そうですね・・・仕事が無くて、食べ物や生活が苦しくなって家族の為にって感じですかね。」


「だろ?今までの盗賊は食べる物に困ってる、ようだったか?装備は?」


「・・・食べ物に困ってるような感じでは無かったですね。装備も手入れをされていていました。」


「それに自国が滅んだのに落ち込んでも、いなかった雰囲気だったぞ?酒盛りして上機嫌だったしな。」


「その話が本当だとすると、何処の国が怪しいですかね?」


「他国だとすると、どこの近隣の国も怪しいよな。戦争に勝ったお陰でターボランドも、うちの国になるんだろ?って、事は、うちの軍からも兵を送って、守りを固めたり、治安も維持を、しないといけないだろ?自国の守りも固めないといけないし、維持もしないといけない所に、盗賊騒ぎで・・・今、攻められるとキツイよな。」


「・・・とっても、危ない時じゃないですか!」


「それに、目的は分からないが、自国のお偉いさんかもしれないしな。」


「え?何でですか?」


「普通、盗賊を毎回、殲滅をするか?拠点や他に仲間の規模とか聞きたい事があると思うんだけどな。」


「そう言われると・・・怪しいですね。とっても。」


「俺の想像の話だからな。あまり信じるなよ」


「あ、はい。でも・・・怪しいですね。」


 


その時、兵が来て第1隊に呼び出されたので第1隊の部屋に入ると、他の人も居て隊長が


「忙しい所を呼び出して悪いな。お前には本当は大隊長を任せたいのだが・・・あの小隊長を任せられる者も居ないし、あの小隊を大隊に入れる技量のある奴も少ないしな。なので、大隊長以上の権限を与える事にした。現場では、お前の指示が最優先される事になる、とは言っても本部の指示には従って貰うがな。」


「えっと・・・とても、トラブルが起きそうな権限ですね。」


「階級が中将に昇格だな。指揮官クラスになるわけだ。小隊長の呼称も変えて殲滅特殊部隊隊長とする。」


「有難う御座います。頑張ってみます」


「このあと、各部隊に通達を送っておく。以上だ。」


「では、失礼します。」


小隊長室に帰ってきて


「・・・中将に昇格になったんだけど。」


「大昇格で凄いじゃないですか!・・・って事は、小隊長では無くなるんですね・・・」


ミルシャが俯いて暗い表情をしている。


「いや。ココを任せられる人材が居ないので小隊長のままだそうだ。それで、呼称名は殲滅特殊部隊隊長になった・・・らしいぞ。」


「・・・そのまんまですね。分かりやすくて良いかもですよ。」


「ホントにそう思ってるのか?お前も、殲滅特殊部隊の副官だからな?」


「え、あ・・・そうでしたね。そのまま過ぎてイヤですね。」


「午後から屋外訓練場で訓練でもするか。」


「はい。隊員に伝えておきます。」


「飛行するかもしれないからスカートの下に何か履いてこいよ。」


また、俺のズボンを目の前で履きだす


「いつになったら自分のを買いに行くんだよ。」


「せっかく貸してもらえてるので・・・」


「じゃあ、部屋着で買ったハーフパンツだけど、コレを履いてろ。」


「え、良いんですか?有難う御座います。大切にします!。お借りしていた制服は洗って返しますので。」


また目の前で着替えだすとパンツが見えてる・・・


「急に目の前で着替えるなよ。見えてるぞ。」


「少しぐらい構いませんけど。」


「俺が困るんだけどな。」


「そうですよね。すみません。」


ガッカリした雰囲気だ。


昼を食べ終わり訓練に行く準備が出来て訓練場に整列をしている隊員達が居るが周りが遠慮しているのかスペースが大きく空いていて助かる。


「最近、盗賊の討伐が多いので戦闘訓練をやって貰う。」


と、説明をしようとしていると兵士が来て盗賊の討伐の出撃命令が来た。


「訓練が実践に変わっただけだ。では、出撃するぞ。」


盗賊が出たという地域上空に到着すると、明らかに盗賊と思えない隊列で移動をしている。


「これは盗賊では無いだろ。盗賊が隊列を組んで移動をするか?」


「まぁ・・・敵国の兵の生き残りですから。一応・・」


ミルシャが近寄ってきて小声で


「皆の前で言ったら不味いですよ。」


「そうだな。不注意だった。」


小声でミルシャに返す。


「では、訓練通りに討伐をしてもらおうか。行動を開始してくれ。」


ミルシャが率いる隊が、横2列並び上空からファイアショットを打ち込んでいき。


クーラントが率いる隊が、上空で周りを囲み、逃げる盗賊を討伐していて問題は無さそうだ。


普通なら拠点に着くまで追跡して拠点の捜索をするんだがな・・・


今回の「指令は見つけ次第殲滅せよ。」だったので、それに従った。


で、何処に向かおうとしてたんだ?


さらに高度を上げて、向かっていた方向を見ると、軍服らしき服を着た奴が見えたので、探索魔法で探索で調べてみると、5人その周りに潜んで居るのが分かった。


視力強化を使い、潜んでいる場所を見ていると、ラジエント王国の軍服だった。


ターボランド王国から攻撃を受けていた王国だったよな、なんでファンベル王国の領土に入ってるんだ?


助けた国の、はずなのに・・・


元々、そういう計画だったのか?


ターボランド王国とラジエント王国と、自作自演をしてたのか?


計画が狂ったのか?それとも計画通りなのか分らないけど、ラジエント王国は疑わしいな・・・


報告するべきか?


相談出来るのがミルシャくらいしか居ないのが辛いな。


リュークとデューイも早く昇格して欲しいんだが。


泳がして様子をみるか?


・・・いや。それはサキやミリアが危険になるからダメだな。


それだったら捕えて情報を聞き出すしか無いか・・・


 

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