第8話 大隊の救出

翌日、朝から訓練をしているとまた出撃の命令がでた。


最近は毎日こんな感じだ。


だが今日は、他の隊も出撃をする大規模な作戦のようで、報告をしてきたミルシャの表情は緊張している。


「今回の出撃命令は、大規模侵攻を、してきている敵軍の殲滅で3大隊と合同作戦です。3隊が侵攻を妨げ上空から敵軍を殲滅せよとの事です。すでに3大隊は昨日から出撃をしています。」


「分かった。が何で今、言ってくるんだ?事前に知らされても良いと思うんだが。」


「はい。そうですよね。」


「で、何でそんなに緊張をしてるんだ?」


「え?緊張してるように見えますか?」


「ああ、見えるな。」


「・・・3大隊ですよ?かなり大規模じゃないですか。」


「そうか?規模が大きくなるだけで、やる事は変わらないぞ?」


「・・・はい。そうですが。」


「まあ、心配な事といえば。その大隊さんが、ちゃんと仕事をしてくれて、追い詰めてくれると有り難いな。最悪なのが、乱戦で敵味方が入り混じってると、攻撃がしづらくなるからな。」


「そうですね。」


「今回は、山間を利用して追い詰めて叩くって感じだろうな。追い詰めるのは任せたぞ、配置は副官お前達に任せる。山間に溜まったのを俺が叩く。美味しい所を頂くが、そっちも追い詰める時に、叩いて殲滅させても良いぞ。」


「了解しました。」


「注意点は敵を叩こうとして、その場に留まらないように気を付けることだな。矢に当たるバカは居ないと思うが・・・魔法に気を付けるようにな。」


「ちゃんと伝えておきます。」


「準備ができ次第に出撃だな。それとお前はスカートの下にズボンを履いた方が良いな。後ろと下から丸見えだぞ。」


「え?・・・何で今頃言うんですか!?もっと早く言ってくださいよ。もぉ」


「いや。普通気付くだろ。」


「ズボンですか・・・持ってないです・・。」


「俺のを貸してやるよ。大きいと思うが」


「え、ホントですか?嬉しいです。ありがとうございます」


「じゃあ。隊舎に戻るか。」


隊舎に移動してきたので皆、準備を進めている。


俺はミルシャにズボンを貸して外で待とうとして部屋の外に出ようとすると


「小隊長に外で待たれると皆が慌ててしまいますので・・・恥ずかしいですが・・ズボンを履いてしまいますので後ろを向いててください。」


「・・・ああ、分かった。今度から簡易的に着替えられるように考えるか。」


「すみません。」


「謝ることじゃないだろ、気にするな。」


「お待たせしました。」


「では、出撃だな。」


目的地に向けて飛び立つが、いつもミルシャの後ろを飛ぶ隊員はミルシャがズボンを履いていてガッカリしている表情だ。


しばらく飛んで向かっていると、遠くに山が見えてきて土埃が舞っている場所が、力負けして随分と手前の方で食い止めきれていないのか、時間が遅れて間に合わなかったのか・・・


コレでは山間まで追い込むのは難しいだろうな。


「では、散解して山間まで追い込んでくれ。」


『了解』


しばらく追い込んで来るまで上空で待機か・・・


はぁ・・・逆に押されている所が見えてきたので、そこに向かい加勢をして押し返して戦力も削っていく。


他の所も加勢をして回って行くか・・・


ミルシャと空中ですれ違った


「あれ?小隊長どうしてこんな所に?私が心配で来てくれたんですか?」


「・・・押されている所がちょこちょこと、あったので加勢して回ってるんだ。」


「そうだったのですね。ありがとうございます。」


「山間まで距離があるからコレだと作戦の変更か。」


「作戦の変更ですか?」


「山間まで押し返せるのか?」


「・・・かなり厳しいですね。」


「作戦の変更というより、このまま殲滅だな。俺は後方から殲滅していくからお前達は、このまま継続して前方から殲滅をしていけ。」


「了解です。」


後方に魔法を3発放つといつも通り閃光と爆炎と衝撃波が周りを襲い敵軍の大きな戦力を削れたがこれ以上放つと味方にも被害が出て後で怒られそうだ。


ファイアショットに多重化と追跡を掛けて放つと、1回の魔法で分裂を繰り返して数十発になるのと、命中が良いので味方には当たらないので気にせずに撃てる。


自分の上級に魔法陣を、いくつも現して多重、追跡を追加して撃つと、数千のファイアショットが放たれ、多重も加わり数万となって敵軍に降り注ぎ殲滅は終了だ。


残敵捜索は大隊に任せて帰りますか。


ミルシャがやって来て


「お疲れ様でした。ただいま下で救援要請が入っています。」


「は?大隊が居るだろ?」


「そうなんですが・・・手に負えないと言ってきています。」


「・・・使えない奴等だな・・」


「どこだ?案内してくれ。」


「はい。」


そこには傷を負った小隊が大隊を相手に頑張って切り抜けようとしている・・・


味方をかき分けて進んで行き剣を抜き交代をして剣を構え軽く打ち込んでみるとバリアを張っているのか攻撃が通らない。


バリアでさっきのファイアショットが効かないで生き残っていたのか。


剣に魔法無効を追加して斬りつけ吹っ飛ばしファイアショットに多重、追尾を付けて放つと動かなくなった。


「これでだけか?他に救援は?」


「これだけです。」


辺りを見回して偉そうな人に


「救援もう無いな?」


「あ、はい。助かりました。」


「・・・一応上官ですよ。」


と、ミルシャが小声で言ってきた。


「一応ってなんだよ。」


と小声で返した。


「それでは帰還する。」


飛び立つとミルシャも続き飛び立つ


上空で本国に帰還する事を伝え帰還しようとした時に山間から潜伏していた大群が現れ大隊へ向かっているのが見えた。


『小隊は衝撃に備えてバリアを張って必死に身を守れ。』


大隊とは距離が離れているので、いつも使っている魔法に威力20倍を追加して放つと山のふもとに着弾して閃光が放たれ爆炎と衝撃波が辺りを襲い山が吹き飛び無くなっていた。


味方の軍は吹き飛び転がる程度で無事みたいだ。


ミルシャは敵に気付いていなかったみたいで


「いきなり、なんて魔法を放つんですか!味方も吹き飛んでるじゃないですか。うちの小隊の何人かも吹き飛んでましたよ!」


「そんな事する訳無いだろ!潜伏してた大群が出てきたんだよ。それに吹き飛んだ小隊の隊員には再教育だな。」


「はい。確かに大群が襲い掛かろうと攻めて来ていました。」


「え!?そうだったんですか。すみません。てっきり腹いせに魔法を山に放ったかと・・・」


「・・・おい。そんな事するかよ。まったく。帰るぞ。」


「はい。・・・すみません」


帰還して報告も済ませて小隊長室のソファーに寝転がり向かいのソファーでミルシャが座る。


「お前の定位置も、そこに決まったんだな。」


「はい。ココが落ち着きます。お茶も用意して、おきましたので飲んでください。」


「気を使ってもらって悪いな。」


「先程は失礼な事を言ってすみません。」


「気にするな。と言いたいが・・周りをもう少し警戒をしてくれ。」


「はい。気を付けます。」


お茶を飲んでやっと一息ついてたらミルシャがソファー座りながらズボンを脱ぎだした、スカートを履いてるから見えないと思っているのか・・・


「やっぱり小隊長のズボン大きくて歩き難いですね、飛んでる時は気にならないですけど・・・」


「・・・こっからだと丸見えだぞ。」


「え!?すみません。」


ズボンを膝の上に乗せて隠している


「報告済ませたから今日は、ゆっくり出来るな。」


「はい。ゆっくり出来て幸せです。」


「幸せって大袈裟な奴だな。」


「あはは・・すみません。」


「さっきから謝ってばっかりだな。この部屋を使って良いって言っておいて俺も使っちゃって悪いな。邪魔だったら出ていくぞ、遠慮なく言ってくれな」


「邪魔だなんて思ってませんよ。一緒に使いませんか?」


「俺は休憩の時しか使わないけどな。」


「はい。それで良いですよ。」


「仕事もしてくれって言われるかと思ったんだけど。」


「書類仕事は任せて下さい。」


「十分休んだし書類仕事を邪魔しちゃ悪いから、そろそろ行くか。」


「え、もう行っちゃうんですか?」


「俺も仕事が残っているしな。」


部屋を出ると小隊もくつろいでいたが皆、慌てて起立して敬礼をする。


「さっき最後に放った魔法で吹き飛んだ奴はバリアの再特訓だな。他のやつは自主練習だ。」


皆を外に出してバリアの特訓で3人を初級魔法で攻撃を10分間続けるのを5セットで止めておいた。


次のメニューで全員参加のウォーターショットでの撃ち合いをしてバリアと魔法の練習をして楽しく鍛えてみた。


最後に俺対全員での訓練で皆を、びしょ濡れにしてあげたらミルシャが参加していないと言われた。


「ミルシャ副官が参加してません。」


「ミルシャは書類仕事をしている。」


「訓練に参加をするべきだと思います。」


「ただ単にミルシャの服を透けた下着を見たいだけじゃないのか?」


「・・・」


「なんだ当たりか。」


「いや・・・その・・・」


「ミルシャは遊んでる訳じゃないぞ。書類仕事やっているんだ邪魔するなよ。」


「はい。」


兵士が連絡に来て明日にまた出撃で敵国の城の近くを攻撃すると伝えられた。


今回は、小隊のみでの攻撃で、こっちの方が気楽で簡単だ。


それを皆に伝えると顔が緊張の表情に変わった。


それじゃ終わりにして帰るかな。


 


帰宅してサキが夕食を作っているが暗い表情だ。


「ただいま。」


「おかえりなさい。」


ソファーに座りくつろいでいると、サキがお茶を入れてくれた。


「なかなか休みが取れなくて悪いな」


「大丈夫だよ。忙しいの分かってるし」


「サキの両親にも挨拶に行かないといけないのにな。」


「あ。全然、大丈夫だよ気にしないでよ。親も忙しいの分かってるから」


「そうか。助かるな。」


「早く落ち着くと良いね。」


「ホントだよな〜」


そんな感じで1日が終わっていった。


 


 


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