第7話 出撃命令

ミルシャが副官になって数日後に使われていない要塞を使い練習をする事になって20対20で守りと攻めの練習を交互にしていく。


クーラントも副官なので、ミルシャ率いる隊と対戦をしてみらう。


俺はアドバイスを所々入れるだけだ。


練習をしていると伝令が来て本部からの指示が伝えられた。


皆を集合をさせて命令を伝えた。


「本部からの命令だ。どうやら本格的にターボランドと戦争を本格的に行うみたいだな。では、これよりターボランドの国境を超えて敵が集まっている拠点の破壊と殲滅をせよと指示が出た。なので隊舎に戻り準備ができ次第出発する。」


隊舎に戻り着替えや防具を付けたり準備をしているとミルシャが困った顔でウロウロしている。


「どうしたんだ?」


「え、っと・・・着替える場所が・・」


「俺の部屋を使って良いぞ。」


「え、小隊長の部屋をですか?不味いんじゃ・・」


「俺はほとんど使ってないからな」


「それも不味いんじゃないですか?」


「俺は、ほとんど現場仕事だからな。今日からお前の部屋にして良いぞ。その代わり事務作業はお前に任せるな。」


「・・・それって事務作業を任せたいだけじゃないのかな・・・」


と小声で呟く


外に皆が集まりだしてミルシャが


「今日の練習が役に立ちますね」


「今回は実践なのでお前達は現場上空で待機だ。」


「え?では、あの練習の意味が無いじゃないですか。」


皆が集まったので出発する。


ココから飛んでいき40分の場所で隠れられる森の中で待機すると


「俺が行ってすぐに終わらせてくる」


「何を言ってるのですか。一人で乗り込んで行くのですか?」


「そんな無駄な時間と労力は使わないぞ。」


と言って敵の要塞に向かって歩き手をかざすと


「小隊はバリアを張って衝撃に備えよ。」


と小隊長が言ってきた。


白い球が飛んでいき要塞が光に包まれたかと思うと炎と共に爆発し爆風と衝撃波が周りを襲いその後、辺りの空気と煙を中心部分が吸い込むように炎も消えた。


急激な燃焼によって辺りの酸素を使い果たし消火されたみたいだった。


・・・かなり離れた場所でバリアを張って耐えてたけど、周りの森が殆ど爆風で飛ばされてるよ、バリア張ってなかったらヤバかったよ。


・・・要塞も瓦礫の山だしコレなら残敵の捜索も必要無さそうだよね。


・・・って言うかあの魔法って何なの?威力が半端ないよ。


などと考えていたら小隊長が歩いて先に行ってしまった。


クーラント副官が


「どうします?」


「待機ですよね?」


「歩いて行っちゃいましたが。」


「指示があるまで待機してないとヤバい気がします。」


「・・・そうだな。」


遠くの方で戦う声と音が鳴り響いて聞こえてくるが炎の轟音がした後静まりかえって不気味だ。


何事も無かったように小隊長が戻ってきて


「帰るか。」


と、一言。


・・・え、それだけですか?


「何があったのでしょうか?」


「あ、残敵を殲滅をしてただけだけど。」


「え、残敵がいたのですか?」


「ああ、奥にもう1つ要塞があって焼いてきた。」


「・・・お疲れ様でした。」


・・・まるでもう一軒買い物に行ってきたような感じに言うことじゃないと思うんだけど。


「じゃあ帰るぞ」


「あ、はい。」


隊舎に帰還して小隊長室を使って良いと言われているので使わせて貰って一休みをしている。


・・・午後にやっていた要塞の攻防の練習って・・・何だったんだろう?


・・・全く通用しないよね・・・加勢してたら巻き込まれるし


・・・あれは防ぎようがないよね。


小隊長が入るぞと言ってきたので答えて起立して出迎える。


「今日は遠くまで行って疲れただろ。そのまま休んでて良いぞ。」


「え、あ・・はい。」


・・・どうやらバレていたらしい。


「質問なんですが、初めに放った魔法って何なのでしょうか?」


「ああ、あれはファイアボールと闇属性魔法の混合魔法でオリジナルだな。」


「そんな事が出来るのですか?私は魔導部隊でしたけど、そんな事をやってる人を見たことも聞いたことも無いのですが。」


「そうなのか?図書館の本に載っていたような気がするが。」


「そうだったのですね。勉強熱心なのですね・・・」


「大切な嫁を守るために勉強してるだけだけどな。」


「お嫁さんが羨ましいです。」


「まあそれとお前達も守らないといけないしな。」


「頼りなくてすみません。」


「いや、よく頑張ってくれてるよ」


「あと、もう1つ質問なんですが、相手がバリアを張っていても小隊長の放ったファイアショットが敵に当たっていたのですが何ででしょうか?」


「ファイアショットに魔法無効をコーティングして放っただけだぞ」


「だけって・・・魔法無効ってあるんですね?」


「ああ、あるぞ?試しにバリアを張ってみろ」


「はい。」


バリアを張って構える。


小隊長が近づいてくると私の頬を触ってきた。


ん?あれ?バリアが無くなってる?


いやいや・・・小隊長に頬を触られている。


ドキドキ・・・してる。


「これで分かったか?」


「え、あ・・はい。」


「じゃあ、隊長の所へ報告に行ってくるか」


「お供致します。」


隊長の所へ報告に来た二人。


2ヶ所の要塞の撃破と敵全員の殲滅を確認をした事を報告をして隊舎へと戻ってきてミルシャは報告書の作成、俺はソファーで休みスキルのチェックをして必要そうなスキルをMAXにしている。


魔法の遠距離の使用可能。何だ?このスキルは遠距離で使用できるのか?魔法が遠距離まで届くのか?どっちにしても使えそうだな。これも上げとくか。


追尾型スキル。これも上げとくか。


魔法の多重化。コレも便利そうだな。


魔法の効果2倍。コレ良いな。MAXにしたら20倍になった。


今日はコレくらいで良いか。


ちょっとチート過ぎるな・・・。


さて、昼でも食べるか。


と、立ち上がってミルシャを誘う


「俺そう言えばココの食堂って言ったこと無いんだけど、一緒に昼食食べに行かないか?」


「あ、はい。ご案内致します。」


ミルシャと食堂へ遅い時間に来たが思ったより人は多くいるな、食堂の並んでる物を見ると味より量の方が優先されている感じに思えた。


ミルシャにメニューを任せて持ってきた物を食べてみると味も悪くは無かったけどサキの作った料理の方が断然に美味しいな。


周りからの視線を感じるんだが・・・何でだ?


ミルシャと昼を食べているせいか?


「何か視線を感じるんだが、お前と一緒に食べてるせいなのか?迷惑かけて悪いな」


「多分、違うと思います。連続で多大な戦果を上げられている小隊長を見ているのだとお思います。」


何だ、そんな事だったか・・・無視だな。


食事が終わり隊舎の小隊長室に戻ってきてソファーに座ると同時に隊員がノックして入ってきた。


「軍より新たに支給される事になりました魔道具の通信機をお持ち致しました。大きいのが本部との通信用で小さいのが小隊内で使う物だと聞いています。」


あー通信機ね。やっと連絡が取れやすくなったな。


「距離はどれくらい届くんだ?」


「小さい物は戦場で問題なく使える程としか聞いていません。」


「そうか。ありがとう、下がって良いぞ。」


「だいぶ便利になりそうですね。」


「ああ、コレで細かな指示も出せるようになるしな。」


この日は何事もなく終わり


 


翌日は朝から国境の見回りの指令で国境付近の見回りを空からしている。


「随分と良いように使われているな。」


「それは仕方ないと思います。空を飛べる人材を、うちが殆ど頂いてしまってますから。」


「それだったら仕方ないか。」


 


その頃、近くの敵国の要塞では昨日から攻め落とそうと他の大隊が苦戦をしていた。


要塞に攻め込んでいたら後ろから敵の援軍がやって来て囲まれる形になり退却も出来なくなり孤立状態で夜を過ごしていた。


「援軍はまだ来ないのか?コレだと全滅だぞ!」


「昨日支給された通信機で連絡はとれているのですが、援軍が到着までに1日掛かるとの事です。」


「この状況で1日耐えろと?敵軍に囲まれている状態なんだぞ?」


「要塞に入っている隊から退却の許可をと連絡が入りました。」


「退却の許可を出して本陣へ加わり本陣の防御に参加をするように伝えろ」


「返信が来ましたが要塞から出ることが困難と言うことです。」


「まったく何をやっているんだ・・・要塞を攻めることも脱出することも出来ないとは・・・。まあ、俺達も一緒だがな。ココで終わるなら敵に最後の足掻きを見せてやるか!」


剣を抜き要塞へ攻め込もうと覚悟を決めた時に通信が本国から入った。


「これから特殊部隊が応援に駆けつけるので、それまで耐えしのげとの事です。」


「どういう事だ?助かるのか?特殊部隊と言っても小隊だろ?小隊が来た所で・・・」


「いえ。特殊部隊と言っても魔導特殊部隊です。」


「俺には良く分からないが・・・期待せずに待つか。それまで防御を固めておけ。」


 


国境の見回りに行っていたライトの部隊は本国からの緊急の通信が入った。


「本国から緊急通信が入りました。ココの近くの要塞に昨日から攻め込んでいる大隊が後方からも攻められ孤立状態となり救援を求めているので至急救援に迎えとの事です。」


「は?攻め込んで逆に返り討ちにあって逃げ出せなくなったのか?」


「・・・はい。その通りだと思います。」


「ハッキリ言って余計に時間と手間が掛かるので止めてほしいよな・・・魔法で1発で終わるのに救出もしないと、いけないんだろ?」


「・・・はい。要塞へも侵入に成功していると言ってましたし。」


「成功してないしな。侵入したんじゃなくて捕えられたの間違いじゃないのか?」


「うぅ・・・そんな事を私に言われましても。」


「ああ、そうだな。悪いな。」


「お前達が適当に遊んでやれよ。」


「そんな適当な・・・」


「分かったよ。小隊は大隊の撤退の援護をしてくれ。俺が後方の敵を殲滅をした後に要塞へ侵入を試みる。追って指示を出す」


『了解。』


要塞と敵が見えてきたので


「小隊は上空で待機。ミルシャは付いて来い。」


「はい。」


適当に仲間との境界に範囲バリアを張って仲間を守り魔法を放つと後方から攻め込んいた敵が吹っ飛び閃光と共に爆炎と衝撃波が広がり爆心地に収束して炎が消火されバリアの中にいる者たちは腰を抜かしてその場に座り込み動けない。


「バリアを解くから撤退の手伝いをするように小隊へ連絡を。」


「はい。」


「俺は要塞へ侵入し敵を殲滅してくる。後はお前が指揮を頼む」


「はい。お気をつけて。」


要塞まで行くと双剣を出して敵を切り刻んでいく魔法のファイアショットの多重化、追尾もセットして放つと周りにいた敵が倒れていく。


今の所は順調で味方に被害は出していない・・・と思う。


残敵捜索の魔法で探索して魔法のファイアショットを多重化、追尾でロックして放つと思ったより簡単に片付いた。


味方の救出も出来たのでコレで任務が終わったかな。


大隊の隊長が騒いでいると通信が入ってきたので向かうと


「ココの指揮権は俺にある。ココは攻めるべきだろ。」


「俺が受けた指令は大隊の救援だぞ?行きたいなら勝手に行ってくれ。救出は完了した。」


「お前も大隊にいれてやる。付いてこい。」


ライトは頭に来て戦闘モードになると周りが凍りつき大隊長を威圧してしまい大隊長も黙り込む。


「そうだ。要塞の破壊が残ってたのくらい手伝って上げますよ。」


『小隊は衝撃に備えてバリアを張って自分の身を守れ』


と言い魔法を放つと要塞が吹き飛び衝撃波が辺りを襲い大隊も衝撃はで転がる。


「本国に連絡を入れろ。大隊の救出には成功したが大隊が攻め込むと言っているので我々は帰還する。以上」


「お前達はそれで良いのか?チャンスだぞ?」


「本国の命令は救出せよだ。大隊に加われではない。我々は帰還する。小隊は帰還する行くぞ。」


大隊から離脱して帰還すると隊舎の小隊長室に入りソファーに横になり一緒に入ってきたミルシャに


「ホントに悪いんだけどお茶無いかな?」


「はい。持ってきます」


走って何処かに取りに行ってくれた。


・・・あ、たしか元小隊長なんだよなミルシャって。


違ったっけ?もう記憶が曖昧だな・・・


すぐにお茶を持ってきてくれた。


「ありがとう。一息ついたら報告に行かないとな。ミルシャも来るか?」


「勿論、ご一緒致します。」


「ミルシャって、ホントに働き者だよな。それにこんな小隊長に使われて文句も言わずに付いてきてくれるし、尊敬するよ。」


「いえ。小隊長の方こそ働き者じゃないですか。1日に要塞をいくつも破壊なんて出来ませんよ。」


「ミルシャも座って休んで良いよ。」


自分の机の椅子に座ると思ってたら向かいのソファーに座った。


まあ、ソファーの方が休めるしな。


「いや・・・ついさ、頭にきて大隊長にキレちゃって威圧しちゃったけど・・ヤバイよな?」


「私も大隊長にキレそうでしたよ。見ていてスッキリしちゃいました。」


「アハハ・・。そっか良かった。ミルシャとは仲良くなれそうだな。」


「え?あ・・はい。嬉しいです。」


頬が赤くなった。


「少し休んだし怒られに行くかな。ミルシャは、やっぱり休んでて良いぞ。怒られるのは俺だけで良いしな。」


「ご一緒致しますよ。」


二人で隊長室に向かい報告した。


「良く無事で帰ってきた。大隊長には困ったものだな。良く引き止めてくれた。感謝する。」


「大隊は戻ってきてるんですか?」


「ああ、お前が引き返してきたんで戦力が居なくなって何も出来ないだろ。」


「今日はもう休んで良いぞ」


「では、失礼します。」


小隊長室に戻り


「怒られなかったな。」


「はい。褒められちゃいましたね。」


「さて、帰るか。」


 

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