第12話 まさきくんはやればできる子
今日も授業が終わり皆帰り支度をしている。俺もさっさと支度して、席を立つ。
「じゃあ、俺は帰るな」
「おう。またな~」
部活の無い奴等は皆この後遊びに行く話しをしている。何せ今日は金曜日だからな。休みの前の日の放課後ってテンション上がるよな。
そして俺はあの喫茶店に向かう。そう、親父と会ったあの喫茶店だ。
「お疲れ様でーす」
「あらぁ正ちゃんお疲れ様ぁ」
相変わらずのムキムキピチピチのスキンヘッドメイドの店長。
「それじゃあ着替えて来ますね。」
そう、おれはこの喫茶店でバイトをしていたのだ。
学校終わりのこの時間は主に買い物帰りの主婦や学校帰りの学生が多い。
値段もリーズナブルな物から高級な物まで幅広い。
俺は制服に着替え、髪も整髪剤で整える。勿論無香料だ。
ちなみに俺がここでバイトはゆきと母さん、親父しか知らない。司は知らないのだ。
まだ時間に少し余裕があり、ホールの様子を伺う。
「あ、店長。今日は誰が担当なんですか?」
客の女性が店長に訪ねる。
「今日は正ちゃんよ~」
「きゃー」
「やったぁ」
「健治さんじゃないのね…」
「巧くんではなかった…」
と、女性達は盛り上げっている。ちなみに健治さんは渋いイケおじで、巧さんは可愛い系の男(年上)だ。そして俺が…ワイルド系の正…らしい。何それ恥ずい。
「お嬢様方。ご注文を御伺い致します。」
一礼し、彼女達下へ向かう。
「す、スマイルを…」
「…(ニコ)」
「「きゃーーー」」
どうやら俺にも需要はあるらしい。だが、こんなん恥ずかしくて知り合いに見せられねぇよ。
あ、ちなみに執事服とかは完全に店長の趣味でメイド・執事喫茶て訳ではなく、普通の喫茶店だ。 このサービスは会員限定だ。それ以外は普通の対応だ。
店長の趣味でたまにコンセプトが変わる。今はメイド・執事らしい。ちなみに前はネコミミ、イヌミミだった。
これコスプレ喫茶だろ。
「いらっしゃいませ。3名様ですね。此方に…」
「ご注文を御伺い致します。」
「水はセルフサービスになっております。」
と、てきぱきと仕事をこなしていく。それを見ていたとある客が
「普段からそのくらいしっかりしてよ…」
「普段とのギャップが凄まじいわね。ちゃんと髪整えて、お洒落すれば普通にイケてるんだけどね。この子」
とぼやいていた。ゆきと母さんだ。
「いや、何で居るんだよ。」
「あら、私達は客よ?」
「あ、お兄ちゃん私これ…」
そしてゆきと母さんはある物を俺にかざす。会員証だ。
これを提示するって事はつまり…
「…ご注文を御伺い致します。お嬢様方。」
お嬢様呼びしなければならないのだ…ぐぬぬ
「でも、本当に普段のぐうたら具合からは想像出来ないわね。」
「お兄ちゃんはやれば出来る子だよ?やらないだけで…」
そう。まさきくんはやればできる子なのだ。だがな、ゆきよ…それはフォローになってないぞ。
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