第11話 微妙な空気の昼休み

昼休み。

「マサ、今日はどうする?」

「今日は学食かな。ノリとタカは?」

「おう。俺達も行くわ」

 俺達は学食に向かう。ゆき達は今日も弁当の様だ。


「よし、タカと司は席を確保しといてくれ。俺とノリで受け取ってくる。」

「了解。俺はA定食な。」

「俺はB定食」

「OK。司がAでタカがBだな?」

 A定食が肉でB定食が魚だ。何かは日替わりだが。




 そして俺達が定食を受け取り、司達を探す。

するとタカが俺達を見つけ俺達を呼ぶ

「おーい。正、成。こっちだ。」

 が、司が見当たらない。というかタカが隅に寄りすぎている。

 「司はどうした?」と確認したら、タカ無言で指差す。其処には…


「はぁ…とりあえず食うか。」

「そうだな。」

「ああ」

 司はいつもの如く囲まれていた。そして女子達はわざわざ弁当を持ってきて学食で食べているのだ。そして

「司あ~ん」

「あ、ずるい。司さんこれをどうぞ」

「司、これも食え」

 いつもの光景なのだが…


 司含め、女子達は周りの視線に気付いていないのか?学食は基本的にだ。理由は単純で席に限りがあり、学食利用者が利用出来なくなるからだ。

 しかも、悪い事にあの場に生徒会長が居るのだ。それでは誰も注意出来ない。

 何せ彼女はこの学園の理事長の孫娘であり、理事長は孫娘を溺愛している。つまり彼女の機嫌を損ねたら簡単に首が飛ぶのだ。生徒も理事長や生徒会から睨まれるのを恐れて誰も反抗しない。


 まさに自分がルールだ、と言わんばかりだ。関わるだけ無駄だ。むしろ関わりたくない。


「ご馳走さん。」

「正、早いな」

「ああ、この空気から早く離れたいからな。」

 俺の一言に周りの奴等が頷く。


「お先に」

 俺はそう言って学食を後にした。



 昼休みもまだ時間があるし中庭にでも行くか、教室に戻るか…



 まぁ教室で寝るか。今なら司も居ないから静かだろ。俺はそのまま教室に戻った。



「ぴゃぁ!?」

 変な鳴き声がした。そちらに視線を向けると…

「ぅぅ~」

 高瀬が赤くなっている。え?まだなの


「?」

 ゆきが不思議そうに高瀬と俺を見比べる。そして…

「あぁ」

 ゆきが何故か、納得顔になり、悪い笑みを浮かべる。ゆきよ、そんな所迄兄の真似しなくて良いんだぞ?


「私、ちょっと飲み物買ってくるね」

 そう言ってゆきはニヤニヤしながら教室から出て行った。俺は知らん顔で自分の席に戻るが、その際に高瀬の前を通る。

 そこで高瀬が俺に

「…変態」

 と、ボソッと呟く。




いや、お前から聞いて来たんやろ!?

 

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