第8話 まさきくんおかたづけする

 一通り買い物を済ませて家に向かう。家の現状をゆきに見られたら…?間違いなく怒られるな。諦めよう。


 程なくして俺の住んでいるアパートに着いた。ゆきが部屋の鍵を開け(俺は両手に荷物)先に部屋へ入る。その後に続く。


 そして現状に立ち尽くすゆき。そして…

「おにいちゃん…?」

「っひ!?」

 低く、冷たい声


「これは、どういう事…かな?」

「あの、その…」

「……」

「ごめんなさい」

 俺はその場で土下座する。


「確か先週片付けたばかりだよね?」

「…はい」

「まだ1週間経ってないよね?」

「はい」

「これは…なにかな?」

「…ゴミと服と本とゲームです。」

「足の踏み場は?」

「無いです。」

 俺は頭を床にくっ付けたまま答える。何せ今のゆきは恐らく無表情だ。それに言い訳をさせてくれ!服以外は俺が散らかした訳では無いのだ。俺の部屋を溜まり場する奴等が散らかしているんだ!特に司

 と、心の中でゆきに言い訳をする。本人に言え?無理。怖いもん。


「あ、台所は綺麗なんだね。」

 そこで初めてゆきの声に温かさが戻った。


「一応生ゴミ等は溜めない様にしてるし、水回りも綺麗にしているぞ?」

 臭ったり、虫が出たら嫌だからな。そこはちゃんとしている。


「それならちゃんと全部片付けてよ?」

「善処します。」

「お兄ちゃん?」

「はい!ちゃんと片付けます!」

「全く、もう…」

 ゆきはそのまま台所に行き買って来た物を冷蔵庫に閉まっていく。


「今から晩御飯作るから、その間にちゃんと片付けておいてね」

「了解。」


 まさきくん。おかたづけ、がんばる。



 とりあえず服等の洗濯物を集め、洗濯する。その間にゴミを纏める。本やゲーム等を1ヶ所に集める。

 そして洗濯物を乾燥させる。これで一段落かな?


「そうだゆき、今日は風呂入っていくか?」

 ゆきが入るならお湯を溜めておくし、入らないなら俺はシャワーで済ませる。


「う~ん、今日はいいかな。ご飯作ったら帰るから。それに着替えも持って来てないし。」

「わかった~」



 そんなこんなで…


まさきくん。おかたづけ、かんりょう。




「それじゃあ私は帰るからね?」

「家まで送るか?」

 ここから家まで近いとはいえ心配ではある。何せゆきは可愛いからな(贔屓目)


「ありがとう。でも、まだ外も明るいから大丈夫だよ。何か有ったら直ぐに報せるから。」

 ゆきはそう言う。そして…


「それに、この辺で私達に絡む人は居ないよ?まさの関係者に手を出したら…って皆怖がってるから。」

「あ…そうですね。」

 昔やんちゃした頃にこの辺のチンピラ共をボコったせいでここら一帯は俺のシマらしい。

 そしてゆきや母さんに手を出せばまた俺にボコられると思って(確実にボコる)大人しくしている。


「それなら大丈夫か…?まぁ何か有ったら報せろよ?例え風呂に入っている最中で全裸でも速攻駆けつけるからな。」

「それは止めて。恥ずかしいし、捕まるから。」

「冗談だよ。でも速攻駆けつけるのはマジだぞ?」

「うん。ありがと」


「それじゃあ、また明日ね。お兄ちゃん。」

「ああ、また明日な。」




 そしてゆきが帰り、1人になる。この瞬間は少し寂しくなるな。

 と、ゆきの作ったご飯を冷めない内に食べよう。



「いただきます。」

「うん、美味い。」

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