第4話 東城正樹の過去
それは中学1年の冬の出来事だった。
俺の親父が他所に子供をつくっていた。そしてその子供が俺と同い年という事が発覚したのだ。そしてその子供があろう事か小学校からの知り合いだった白崎雪だった。
その事がきっかけで両親は別居し、母親が俺を引き取った。そして雪の家族は離婚した。雪の父親は自分と血の繋がりが無い子を育てていたのか…と、雪の母親と雪に言い残し、彼女の前から消えた。
そして雪の母親は雪に八つ当たりをし、暴力を振るうようになった。俺達は自分の事で一杯一杯でそこまで気が回らなかった。
そこで俺は司に。雪は高瀬に救われた。
「はぁ?何だよそれ!?ふざけんな!!」
「…」
「何で黙ってんだよ!親父!!何で母さんを裏切ったんだよ!?」
ただの一時の気の迷い?ふざけんな。母さんと結婚していたにも関わらず、他の女と子供まで作りやがった。
「すまない」
「っ!」
俺はそのままの勢いで親父を殴った。
「っぐ」
親父は黙って俺に殴られた。
「本当にすまない。私も子供が出来ていたなんて知らなかったんだ…それは本当だ。」
「そんなもん関係ねぇだろ!?結婚していたのに他の女と関係を持ちやがって!!!」
「…本当に…すまない。」
「俺に謝るなよ…謝る相手が違うだろ。」
「…そうだな。」
それから暫くして親父と母さんは別居し、それから母さんは身体を壊し入院した。
そして俺は学校にも行かず、家にも帰らなくなった。行き場の無い怒りをそこら中にぶつけていた。
「おいおい。こんな時間にガキがうろついてるぜ?」
「お、マジだ。ほらボクちゃん。よいこは寝る時間でちゅよ~」
「ぎゅはは」
…っち、うぜぇ
「…」
俺は無言で離れようとするが、1人の男が俺を掴む。
「おい、何シカトこいてんだよ。」
「こんな時間に遊び回ってんだ、金あるんだろ?」
「俺達に恵んでくれよ」
男達はそう言ってゲラゲラと不快に笑う。
「っち…うぜぇ…」
「あ?なんつった?ガキ。」
「うぜぇつってんだよ」
「こんガキ!!泣かす!」
俺を掴んでいた男が拳を握る。
「ご…ごめ"ん"なざい"」
「ぐぅ」
「痛てぇよ…」
「…」
何だよ。たかが中坊にやられんのかよ。イライラが収まらない。
「……」
最初に俺を掴んでいた奴の顎を打ち、側の奴の金的を蹴りあげ、殴る。それでこいつらはこの様だ。
そうして俺は自分の感情を整理出来ずに毎日の様にチンピラ相手に喧嘩をしていた。
昼間は学校に行かず、夜は喧嘩ばかりしている。そんな事ばかりしていた俺は噂になっていた。
「おい!マサ!!どうしたんだよその怪我!?」
うるさいのに見つかった。
「…司か、何の用だ?」
「何の用って…最近学校に来てないし、家にも帰って来てないみたいじゃないか。それに、最近マサが喧嘩してるって噂が…」
「…」
「さつきさんも心配「母さんは今、入院してるよ」え?」
「精神的にやられて、身体を壊した。」
「…ごめん、でも幸樹おじさん「黙れ!!」っ!?」
「ま、まさ?」
「あいつの話はするな。用が無いなら俺は行くぞ?」
「あ…」
俺は司を残してその場を去った。
…………………………………
その場に残された司はそのまま暫く立ち尽くしていた。
「マサ…」
最近、マサが学校に来なくなった。家に行っても留守だった。それから暫くしてある噂が流れた。正樹が不良とつるんで喧嘩している。と…
司は最初何の冗談だ?と思っていたが、未だに学校に来ないし、家にも帰っていないし、直接マサを見たって言っている人まで居た。
そして街中を探し回り、やっとマサを見つけたと思ったら身体中怪我だらけだった。噂が本当なんだと思ってしまった。どうやらさつきさんは今入院しているらしが、幸樹さんの話題になると怒鳴りだした。
「マサ…何があったんだ?」
司は考えても仕方がないと思い、病院へ向かった。
とりあえず最寄りの病院に着いた。
「あの…東城さつきさんって入院してますか?」
「貴方は?」
「えっと…自分、進藤司って言って、さつきさんの息子の友人でして、彼から伝言を預かっていて…でも病院を聞き忘れて。最寄りの病院を訪ねたんです。」
「…少々お待ち下さい。」
そう言って受付の人が何か確認していた。
「はい。東城様の病室は此方です。」
どうやら信じて貰えた様だ。
そして案内された病室にたどり着いき、扉をノックした。
「はい。どうぞ」
「失礼します…」
「あら、司くん。いらっしゃい。」
「……」
そこにいたさつきさんはやつれて居た。
「こんな所までわざわざありがとうね。正樹は一緒じゃないの?」
「えっと…それは。」
司は若干言葉に詰まったが、今日見た正樹の事と正樹の噂を話した。
「そう…正樹が…ごめんなさいね。司くん」
「あの…いったい何が…」
合ったんですか?とは聞けなかった。
「そうね。司くんには話しても大丈夫かな。」
そう言ってさつきは最近の出来事を司に話した。
「……」
まさかそんな事になっていたなんて全く想像していなかった。
もし、自分が正樹と同じ立場なら?自分も正樹同様に行き場の無い感情を振り回すだろう…と思えた。
「私が言えた事では無いけれど…正樹をお願い」
「はい。任せて下さい。マサは親友ですから」
「ありがとう。司くん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます