第3話 東城正樹と白崎雪
俺は自分の席に向かい
「待たせたな」
「お帰り。出遅れたけど買えたか?」
「おかえりなさい。まさ君」
「やほ~」
「こ、こんにちは…」
司、ゆき、高瀬、宮本の順で返事が返っきた。
「ああ、コッペパンを4つ手に入れたぞ」
「コッペパンかよ!」
皆に飲み物を配る。
「文句を言うな。お、ゆき。これ貰っていいか?」
「うん、大丈夫だよ」
俺はゆきの大きなお弁当箱から唐揚げを貰う。そしてその唐揚げをコッペパンで挟む。
「ほれ、これでコッペパンが唐揚げパンに早変わりだ」
「マサ…お前は天才か!?雪、俺はコロッケを貰っていいか?」
「うん!勿論だよ」
ゆきは笑顔で弁当箱を司に差し出す。
それをニヤニヤと見守る高瀬と温かく見守る宮本。
そうして俺達の昼は過ぎた。
「高瀬」
俺は昼休みの終わり際に高瀬に話しかけた。
「ん?なした?」
「ゆきの事、助かったよ。ありがとな」
「雪の為だからね。助けるさ」
高瀬とゆきは中学から仲が良かった。ゆきは中学の頃にある出来事で塞ぎ込んでいた事がある。それがきっかけで高瀬と仲良くなったのだ。
その出来事は俺も無関係では無いのだが…それはまぁ、今はいいだろう。
「せっかく昨日の夜から準備してたんだ…どんな形であれ司にも食べさせるべきだ」
「もし、失敗してたら?」
司が学食の気分だった場合か。
「そんときは俺が食うだけだ。無駄にはならないよ。と、これは礼だ」
「ん、ありがと」
俺は彼女にある店の割引券を渡した。それが協力に対する対価だった。
「本当は雪の為なら無料で良いんだけどね。せっかくだから貰えるなら貰うよ」
「ああ、こんな物で良ければ幾らでも」
そしてお互自分の席に戻った。
「まさ君、その…ありがとう」
ゆきがわざわざ礼を言いに来た。律儀だな。
「何の事だ?俺はゆきの弁当が美味しそうだったからあわよくばって思っただけだよ。」
「ふふ、うん、でもありがとうお兄ちゃん」
…そう、俺がゆきに肩入れする理由がこれだ。ゆきはただの幼馴染ではない。
俺達は半分だけ血の繋がった兄妹だった。
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