第2話 いざ、戦場へ…
昼休み
「マサ。飯にしようぜ」
「学食?」
「ああ。そのつもりだ」
「…」
俺はさりげなくゆきの方を確認する。ゆきは自分のお弁当と大きなお弁当箱を持っていたが、司が俺を学食に誘うのを聞いて、それを自分の鞄に戻していた。
「…悪い、今日は学食って気分じゃないんだ。購買でパンでも買ってくるよ」
「そうか?じゃあ俺もそうするか」
よし。うまく乗ったな。
「じゃあ俺が買ってくるわ」
「サンキュー」
俺は司からお金を受け取り教室から出る。その際にゆきに
「という訳で俺の席を守っといてくれ。あと、どうせ司はパンだけじゃ足りないからな、おかずでも恵んでやれ。」
「!! うん!ありがとう。まさ君」
これぐらいのお節介は許されるだろ。
まぁ、ゆきはいつも俺の分のおかずも用意してくれているからな。
「さて、行くか…と、その前に」
俺はクラスのある人物に話かけ、ある頼み事をしてから教室をでた。
幼馴染達の為とはいえ、俺はこれから飢えたもの達が集まる戦場へ向かう。
「おばちゃん!焼きそばパン!!」
「カツサンド!!」
「タマゴサンド!」
「あんパン!食パン!!カレーパン!!!」
「ジャム、バター、チーズ!!」
やはり売店は混んでいた。若干の出遅れで敗者になる戦場…それが売店だ。
これでは惣菜系統は全滅。菓子パン類もまともなのは残っていないだろう。残っているとしら人気の無い物か変わり種くらいだ。
だか、今回の目的はあくまでも腹の膨れない物で尚かつ、おかずがある前提だ。
ならば惣菜パンと菓子パンは選択肢から外れる
そして俺は目的の物を…
「おばちゃん!!コッペパン4つ!!」
「はいよ!」
やはりこいつは残っていた。
ゆきの事だ、俺達の好物が入っていると予想し、それに合うパン…つまりコッペパンが今回の目的だ。これでゆきのおかずと合体させて惣菜パンにすれば完璧だ。
後は適当に人数分の飲み物を買って教室に戻るだけだ。
俺が教室に戻ると、ゆきが俺の机にお弁当を広げ、その隣にクラスメイトの高瀬渚《たかせなぎさ》が座り、その向かいに高瀬の親友の宮本雫がいた。
俺は教室を出る前に高瀬に頼んでいたのだ。ゆきと一緒に俺の席を陣取といてくれ。と。
高瀬はそれだけで俺の意図を理解し、承諾してくれた。それは、ゆき以外のハーレムメンバーを入れない為だ…宮本は人見知りが激しい。ゆきや高瀬となら問題ないが、他の人がいるとテンパるのだ。
そうなると、お優しい司さまは、ハーレムメンバーに今日は遠慮してくれと頼む。ハーレムメンバーは司の頼みなら聞くからな。
そして肝心なのは高瀬と宮本が先約で、司目当てでは無いという事だ。
だからこそ、ハーレムメンバーは不満はあれど引き下がる。
あくまでも高瀬と宮本はゆきと昼食を食べているのであって司では無い。そしてゆきはたまたま俺に誘われたに過ぎない。
そして俺が飯を食べる時何故か司がいるのだ。
そう、偶然のなのだから誰もゆきが抜け駆けしているとは言えないのだ。
うん、我ながら酷い屁理屈だ。だが、ゆきの嬉しそうな顔を見れたから良しとしよう。
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