#082 1st TRV WAR 本選 ポンVS村人A その四


「ぐ……うぅ……」


 身体が痙攣し、ゆっくりと降下するポンに、続けざまに矢を放つ。

 麻痺毒の塗布量が少ないからか、まだ身動きが取れるポンは手足を爆発させて回避しようとする。


「無駄だ」


「あうっ!?」


 だが、一度状態異常にかかってしまえばもうこっちのものだ。移動速度が落ちた彼女は俺からしてみればただの的。再び【空中床作成】スキルで跳弾させた矢を当て、今度は毒の状態異常を付与させる。


「さて、散々いたぶられた分、やり返させていただこうじゃないか」


「ぐぅ……!」


 ふふふふふ、と不敵な笑みを浮かべながら下降を続けるポンへと歩いていく。散々してやられたからな……!ここから形勢逆転といこうじゃないか。

 ポンはそのまま速度を上げて、地面に降り立つと、こちらを睨みながら地面へと拳を構えた。


「近寄らないで、ください!……【水龍爆撃掌】!!」


「おっと」


 足掻くように地面を叩きつけると、爆発と衝撃波がこちらに襲い掛かってくるが、状態異常の影響で彼女の動きは鈍い。それを悠々と回避すると、彼女は表情を曇らせる。


「はぁ……!はぁ……!」


 毒&麻痺のダブルコンボは相当厳しいらしく、苦しそうにこちらを睨みつけるポン。

 正直心が痛い気もするが、これは勝負の場なのだ。甘えは一切許されない。


「詰みだ」


「……まだ、です……!」


 弓矢を構えてポンに向けるが彼女は息が荒くとも気丈に振舞う。正直動きが鈍くさえなってしまえば俺は外さないぞ。状態異常さえかかってしまえばこっちのもんだ。

 だが、そんな俺の思惑とは裏腹に、まだ勝つ気満々なポンは白い歯を見せ。


「村人君、この程度で私を完全に対策しきったと考えているのなら、甘いですよ……!」


「……何?」


「【地雷掃討マインスイーパー】!!!」


 ゆっくりとポンが拳を振り上げ、それを再び地面へと叩きつける。

 嫌な予感がして咄嗟にその場から飛び退くと、自分が立っていたすぐ近くの地面が大爆発を起こした。

 そして連鎖するように地雷がセットされていた地面が爆発を起こし、大地を揺るがす。

 逃がすものかとすぐに矢を先ほどまでポンが居た位置に放つが、手応えはない。


 くそ、爆発は囮か!


「だが、追えない事も無い!」


 すぐさまミニマップを確認、予選のバトルロイヤルで見せたミニマップ射撃を見せてやろうじゃないか!

 だが、ミニマップはポンの姿を指し示すどころか、ノイズが走っていてその姿を指示さない。


「――――EMP電磁パルスか!」


 Aimsでも登場した、EMP電磁パルスグレネード。主に敵のミニマップを妨害し、立ち回りにくくするために用いられる道具だ。


 すぐにその正体に思い至った俺は、冷や汗を流す。

 爆発の時に紛れて投げ込んでいたのか!まさか、ここまで対策を講じているとは思いもしなかった。予選でミニマップ射撃をした時は、ポンはダウンしていたはず。

 ここまでしてくるとは余程俺を叩きのめしたいらしい。どこまでも用意周到な彼女に、思わず賞賛の言葉を送りたくなってしまう。

 そして姿を消して間もなく、風を切って爆弾が飛来するのを見てすぐにその場から動き出す。


「流れるように爆撃……!くそ、やりにくいな!」


 彼女に矢が当たるようになったといえど、状況はあまり変わっていない。

 すぐに状態異常も回復されてしまうだろう。その前に何とかしなければならない。


「脇ががら空きですよッ!」


「お前ならそうくると思っていた!」


 幸運な事に彼女の方からこちらに出向いてくれたのを視認して、俺はにやりと笑みを作る。

 だが、ポンはひと際大きく爆発を起こすと、その姿を隠した。

 内心少し焦りながら煙を腕で掻き切ると、声を上げる。


「ッ、どこだ!?」


「ここ、です!」


 煙から抜け出て繰り出された拳に対して咄嗟の反射で防ごうとしたが、それよりも先にポンの拳がこちらの胴体にめり込む。

 腹部を強打された事による不快感が駆け巡るが、吹き飛ばされながらもお返しとばかりに矢を放つと、見事命中する。


「ぐぅッ……!」


「げほッ、やるな……!」


 あくまで爆撃はフェイク。近接主体で俺をやりに来るつもりらしい。どうして爆発にこだわらずに来る理由についても気になるが、いくら警戒しても攻撃を直撃させ続けるポンに、敬意を示す。

 地面に手を付きながら、俺はポンの方へ視線を向ける。


「これほどまでの気迫……。この勝負に何を望んでいるんだ……?」


 正直を言うと、怖いぐらいこの勝負にのめり込んでいるポンに圧倒されている部分もある。ここまでの全力を出し、ねじ伏せようとしてくるポンの望みとやらも気になる。

 だから、あえてこの場面で聞くと、ポンは無言のままこちらへと突っ込んできた。


「教える気はないって事か……!」


「違いますよ」


 繰り出される蹴りを回避、すぐさまカウンターをするべく腕を掴み取ろうとするが、空を切った。続く攻撃に警戒するが、いつまで経っても攻撃は来なかった。

 突如固まったポンを警戒しながら一度距離を置き、弓矢を引き絞ると、彼女は声を振り絞るように叫んだ。


「私は、ッ!」


 拳をギュッと握り、声を震わせながら言葉を続けるポン。


「だから私は、村人君に勝ちたいんですッ!」


 俺からしたら意味不明過ぎる動機。変人分隊から彼女を除名した記憶は無いし、そう彼女が思っている理由も分からない。

 だが、次の言葉で俺は気付かされてしまう。


 

「勝って、私だって変人分隊のメンバーなんだって!使と証明するんだ!村人君を、超えて!」



 ――――それは、心の奥底から絞り出されたような切実な願い。


 

 慟哭にも似た彼女の叫びは、激しく俺の心を打つ。ギリっと歯を食いしばり、矢を引き絞る指に過剰なまでに力が入り込んでしまう。先ほどのポンの言葉で確信してしまった。



 ――――ああ、そういう事だったんだな。



「ちげえよ、ポン」


 俺は、思わず声に出さずにはいられなかった。


 Aimsでの、グレポン丸の引退。その理由を聞いてもただリアルが忙しくなったの一点張りを繰り返していたグレポン丸。だが、実際はそうじゃなかったんだ。


 悪意あるプレイヤー変人分隊のアンチの声に、耳を傾けすぎて心が潰れてしまったんだな。


 底冷えするような憤怒の感情が身体を支配し、冷たい声が思わず口から漏れ出る。


「ポンが俺を超えようが超えまいが、使えるって事の証明にはならねえよ。そもそも変人分隊に上下の関係もねえしな。使えない味方なんて、誰一人存在しない。みんな形は違えど、その道の超一流のプレイヤーである事に変わりはねえ。一人欠けただけでも俺達の戦術の幅はグッと減る」


 ああ、どうしてこんなに苛立つんだろうな。俺自身が煽られてもこんなに苛立たないのに、大事な友達フレンドが傷ついていたのに気付かなかった事の方が遥かに苛立つ。


「っでも!『花火』なんて誰にだって出来る!私じゃなくてもその役割は務まるでしょう!?」


 違うだろうが。『花火』って技は、正確に言えばただグレネードランチャーを乱射すれば良いってだけの技じゃねえ。正確無比な弾道調整技術と、完璧な空間把握能力が無ければ成し得ない技だ。傍から見れば簡単そうに見えるかもしれないが、プロにも通用する完璧な『花火』を行えるのは彼女しか俺は知らない。


「だから私は爆発はあくまでついでで戦ってきたんだ!私自身の実力であなたを超える事が、使えない味方じゃないって事の何よりの証明になるから!」


 そういう事か。近接主体で俺を攻め続けていた理由はこれか。爆発を使っていれば、それはAimsで『花火』を使っているのと同じ。そういう認識の元で、戦っていたと。

 実際、関係性もなんもないし、むしろ持ってる技術の全てを使っていないという事。


 とどのつまり。


「なるほどな。俺は今の今まで、全力と言いつつ、舐めプをされてたわけだ」


「違ッ!?」


 焦ったようにポンは否定しようとするが、事実だろう。

 彼女が爆発系のスキルを使ってトドメを刺そうとすれば、俺を仕留められそうな場面なんていくらでもあった。片足を損失した時点で、俺は殆ど詰みかけていたのに、彼女のお情けで助かっていたと。


 本当に、腹立たしいよ。


 そんな立ち回りを彼女に強要させていたアンチ共にも、全力で戦っていて拮抗していると勘違いしていた俺自身も。


 弓をそっと下ろしてから、すぅ、と一つ息を吸うと、揺れるポンの瞳を真正面から捉える。


「今から近接のみで俺を倒そうとするの禁止な。アンチ共の声に耳を貸すんじゃねぇ、お前の持てる技術全部駆使して俺を全力で倒しに来い」


「でもそれじゃあは私を認めないでしょう!?爆発を用いた決着なんて、誰も望んでなんかいない!」


「そう思うか?俺はそう思わねえけどな」


「嘘ですッ!」


 ポンは頑なに爆発を用いた決着を肯定しようとしない。

 はぁ、と一つため息を吐いてから、諭すように俺は。


「じゃあ聞いてみろよ。勝負に夢中になるのも良い。散々追い込まれて周りが見えなくなるのも仕方ねえ。だけどさ」


 そう言いながら後方を親指で指す。


「ポンに向けられているこの声援も、全部嘘だって事か?」


「ッ!?」


 ポンの動きがぴたりと止まり、周りを見回し始める。


『ポン選手頑張れー!』


『良いぞー!優勝候補を追い詰めてる!そのまま押し切っちまえー!』


 これまでの戦いを観戦していた観客たちの声に気付かなかったポンは、目を丸くする。


 観客たちの声援は、先ほどからポンに向けられた物ばかりだったのだ。

 予選でポイントMVPを取得した俺を圧倒している彼女の戦いを周囲は正当に評価していたのだ。


『なんかよく分からないけど、アンチなんかに負けんなー!気にすることなんかないぞー!』


『俺達はポン選手を応援してるからなー!』


「あ……」


 声を震わせ、涙を零しながら、ポンは俯く。

 きっと、悪意ある発言ばかりに目を向けてしまっていて、こうした応援の声に気付けなかったのだろう。

 追い込まれてる人間ってのは、視野が狭くなってしまうからな。


「嘘……」


「嘘なんかじゃねえ。これが現実だ。少なくともお前は、ここに居るプレイヤーの大半を味方に付けているんだよ」


 俺の言葉を聞いて、ポンは顔を上げると、こちらへと視線を向けた。


「私は……私がやってきた事は、間違ってなかったんでしょうか……?」


「そうだ。お前が思ってる以上に、グレポン丸ってプレイヤーは好かれてるんだぜ?アンチの数なんてファンの数から見たらちっぽけなもんさ。だからもっと自分に自信を持て」


 むしろ、変人分隊の中で一番愛嬌があるって言われてるぐらいだからな。まあ、誰に対しても礼儀正しいし優しさの権化のような存在だからってのもあるけど。


『いけいけー!そのいけ好かねえクソ野郎をとっちめちまえー!』


「おうてめえ聞こえたぞ!?覚えたからなその顔面アバター!大会終わったら跳弾で遊んでやるから覚悟しとけよコラァ!?」


「……くっ……ふふっ」


 聞こえてきた野次に俺が思わず観客に向けて怒鳴ると、ポンが噴き出して笑う。

 それをジト目で見ると、俺も一つため息は吐いてから苦笑する。


「ポンが抱えている悩みってのは、俺の想像以上なのかもしれねえ。日本一のチームって認識から抱えてしまっている重責、期待に応えないとって焦りを感じるのも分かるけどさ」


 一つ、間を置いてから。


。うちのクランのモットーは『』だろ?馬鹿どもが集まって、楽しくプレイするのが第一だ。日本一っていう実績も、その結果に過ぎねえ」


 そうなのだ。変人分隊というクランが結成されたのも、ひと際個性の強い変人達がバカやって騒ぐためだけに作った、その場のノリのクラン。

 日本一を取っただけで、そのスタンスは今も昔も変わらない。

 だから、日本一のチームに相応しくないとか、変人分隊のアンチが騒ごうが何しようが、別の世界の話のように受け流す。だってそもそも俺らプロゲーマーじゃないから責任とか一切無いし。

 きっとポンは根が真面目だから、アンチの話を真に受けてしまったんだろう。


「なんならポンが悩まねえで済むように、俺が全部重責を担ってやる。期待に押しつぶされないで済むように、俺が日本一にしちまった責任を取ってやる」


 俺が胸を叩きながらそう言うと、顔を紅潮させてギッとロボットのように極端に動きがガチガチになるポン。

 あれ?俺今なんかおかしい事言ったか?……まあいい。


「だから、何も気にせず笑って楽しもうぜ。俺は、ポンが楽しくゲームをしてるのが一番好きだから。きっと変人分隊のメンバーも、全員そう思っている」


 にっと笑ってサムズアップすると、ポンは目を閉じてから……盛大なため息を吐いた。


「ああもう、本当にあなたって人は……。どうせ、その言葉に深い意味なんてないんでしょうけど……。……はあ、なんか悩んでたのが馬鹿馬鹿しくなりました」


「おい」


 馬鹿馬鹿しくってなんだ馬鹿馬鹿しくって。

 結構これでも真面目に考えたんだけどなー……。


 俺が突っ込みを入れると、ポンは涙を指で拭い、口元を緩めた。


「でも……。なんか胸の奥でつっかえていたものが無くなったような感じで……すっきりしました。ありがとうございます」


 だが、これまでの試合で見せていた、必死な表情は抜け落ちた。

 ただ、純粋にゲームを楽しもうとしている彼女の笑顔がそこにあった。


 一つ深呼吸をすると、ポンはこちらに微笑みかけて。


「これで、終わりにしましょうか」


「ああ。俺もそう思っていた所だ」


 ポンがそう宣言すると、俺もそれに同意する。


 長いようで短い、そんな楽しい勝負の時間ももう終わり。


 最後の攻防が、始まる。





 こちらの空気を感じ取ったのか、観客たちの声は静まり返っていた。

 集中しやすいからその方がありがたいのだが、先ほどまでずっと聞こえていたものだから違和感が激しい。

 集中力を切らさずに、互いににらみ合いを続ける。

 

 拳を構えて牽制するポンに向けて、弓を引き絞ると。


「【爆発推進ニトロブースト】!!」


 そんな中、先に動き出したのはポンだった。

 ポンの手から噴出されたのは爆発というよりも、バーナーのような火が噴き出す。

 赤く染まる火はやがて青白い物へと変わり、その存在を主張するかのように飛行機の音のような甲高い音を鳴らし始める。

 嫌な予感がした俺はすかさず矢を放つが、矢はポンの頬を掠め赤いポリゴンを散らすと、遥か後方へと飛んで行った。それを見て舌打ちを一つ鳴らす。


「【限界拡張出力リミット・エクステンド】ォ!!!!」


 ポンが咆哮すると、ドンッ!と凄まじい爆発を起こした。次の瞬間にはポンの姿が消え、過ぎた地面を溶解させながら一瞬でこちらの懐へと潜り込んでいた。

 反応する事は不可能、ただ、懐へ入り込んだポンに向けられるのは視線だけだ。


「ッ!」


「【爆裂アッパー】ァァァァァァァアアアアアアアア!!!!!」


 急速ブレーキから繰り出される拳。俺の腹部を容赦なく捉えると、そのまま上空の遥か彼方へと吹き飛ばす。


 加速しながら上空に打ちあがり、続いて巻き起こる【爆裂アッパー】による爆発。急速に減っていく俺のHPバー。そのまま身体は炎上し、爆発の影響で俺の身体は両断され、下半身は空中でポリゴンへと還元された。


「最後の最後でとんでもない技見せてきやがったな……!」


 あれほどまでに初速から最高速までの加速が早いスキルは見た事が無い。きっと、予選終了後に作成したのだろうがそれを物にするには相当苦労したことだろう。

 本来の彼女の実力の片鱗を見れて、俺は笑みを作る。


 体力は二割を切って、【炎上】の状態異常の影響で今も減少を続けている。これでは地面に着こうが着くまいが、タイムリミットは近いだろう。


 刻一刻と減り続けていくHP。下ではポンが待ち構えていて、生憎俺はこの状況から逃げおおせる事が可能なスキルを持っていない。


 このまま落下して地面と幸せなキスをして終了?いやいや。


 まさしく絶対絶命の状況。最後の最後で見せてきたポンの本気の一撃に、俺は。


「【彗星の一矢】!」


 目下でこちらに腕を構えるポンに向けて、弦が引きちぎれんばかりに矢を引き絞ると。


 、大技を使用することにした。



 こっから先は俺の領分だ。お望み通り真正面からねじ伏せてやるよ、ポン。





「はぁ、はぁ……!」


 息が荒い。視界の焦点が定まらず、限界を超えた肉体の酷使に悲鳴を上げている仮想の肉体。

 汗が吹き出し、身体から震えが生じ始める。


 これまでの戦いで無茶をし過ぎたせいでその代償を負う事にはなったが、それでも先ほどの一撃は完璧に決まった。

 彼の不意を突いた文字通り最高の一撃。下半身が吹き飛び、炎上の状態異常になったであろう彼が助かる手立てはもう無いだろう。

 だが、試合終了を告げるゴングが鳴ったわけではない。彼はきっと、完璧に決まったと思うような状況でも、それを上回る動きを見せてくるだろう。


 ――――だから!


 荒い息を吐き出してから、空を仰ぐ。そして震える両腕を上空に向けて構え、正確に狙いを定める。


 遥か上空から、下半身を失いながらもまだ勝負を諦めずにこちらへと青と白のエフェクトをまき散らしながら弓を構える最強の友人村人Aへと。



「《闇夜を切り裂く音の華》」


 私は、最後の最後まで手を抜かない。きっと、彼はそれを望まない。


「《鋭い音は魂に轟く》」


 これまでの戦いで、最大限に威力を発揮させる条件は整った。


「《闇夜を飾る紅蓮の華》」


 彼を絶対に超えるために生み出した、私のスキル。


「《美しき紅は心を彩る》」


 私自身を象徴とする、私だけのスキル。


「《さあ、今宵も打ちあがれ》」


 これを外したらもう後は無い。


「《一度限りの大輪の華》」


 だけど、きっと、彼は真正面から受け止めてくれるだろうから。


「《咲き誇れ》!!!!」





 目をカッと開き、膨れ上がったエネルギーを解き放つその瞬間、喉が潰れんばかりに咆声する。





「【花火ハナビ】ィィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイッッッッ!!!!!!!!!!」





 打ちあがれ、私の花火アイデンティティ




────


【後書き】

そのスキルに、きっと彼女の全ての思いが乗っている。




ポンの願いはAimsへの復帰。そして、また変人分隊として活動すること、でした。


ポンが潰れた理由は、変人分隊のアンチによるもの、というのが答えでした。

花火は比較的練習すれば誰にでも出来る技ですが、逆に言うと、誰にでも出来る技だからこそ対策されやすい技という意味でもあります。

そんな中、彼女はプロにすら通用してしまう花火の駆け引きが取り柄のプレイヤーでした。

だから、花火が一般プレイヤーにすら通用しない妬みを持ったプレイヤー達に、悪意あるメッセージを飛ばされ続けました。言ってしまえばただの嫉妬です。

彼女はそのメッセージの言葉を真に受け、自分は使えない存在、足を引っ張っているにしか過ぎないと錯覚し、引退に追い込まれてしまいました。

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