#038 バトルロイヤルに向けての準備
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PN:村人A
メインジョブ:狩人(弓使い) Lv.23
スキルポイント残量:98
スキル生成権:2回
ステータスポイント:0
所持金:1287170マニー
HP:39/62
MP:2/33
STR:75
DEF:10(+40)
INT:10
MGR:10(+30)
AGI:60(+15)
DEX:55(+3)
VIT:40
LUC:30
スキル:【弓使いLv9】【近接格闘術Lv6】【跳弾・改Lv2】【鷹の目Lv4】【遠距離命中補正Lv7】【戦線離脱Lv5】【バックショットLv7】【野生の心得Lv3】【チャージショットLv3】【不屈の闘志Lv1】【ランナーLv2】【跳弾Lv4】
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「はぁ、はぁ……」
乱れる呼吸を戻しながら、膝に手を付く。
ゴブリン達を追いかけ回して早二時間弱が経過していた。その間スキルの同時発動などでスキルレベル上げを行っていたが、これが中々に上がらない。ランナーは二時間走ってようやくレベルが上がったから、この調子だとLv10までにどれぐらい走り込まないといけないかと考えるとぞっとする。まあ気長にレベルが上がるのを待つべきか。
しかし、【不屈の闘志】のレベル上げの条件が厳しすぎる。基本的にスキルは発動すれば熟練度が上がっていってその数値が上限に達するとレベルが上がるという形になる。なので恐らくは状態異常【恐慌】を付与されるような攻撃を受けるか、VITスキル【ド根性】を発動させなければ熟練度が上がらないのだろう。……何それ無理ゲー。
「あんまり狩りすぎるとゴブジェネ先輩来るよなぁ……。ここらへんでいったん切り上げてサーデストに向かうか」
ひとしきり息を吐いて呼吸を整えると木に寄りかかるようにして背中を預けた。
俺がこの森で初めて跳弾検証した際、ゴブリンを狩りすぎてゴブリンジェネラルがやってきたのだ。
今は大体二時間弱狩りを続けているが、狩ったモンスターはほぼゴブリン。またあの悪夢の再来の可能性は十分にある。
アップデートにより出現のインターバルが一時間から三時間に延長されたことは検証班の検証によって判明している。また、同一のモンスターを狩り過ぎず、時折他のモンスターを交えて狩れば大丈夫だという事も。
今の実力を知るためにゴブジェネと戦ってみるのもありかもしれないが、九割九分負ける。残りの一分はなんか奇跡的なあれで打ち勝つとか……。うん、無いな。今の状態でも勝てる気しないもの。あれこそ六人パーティ推奨だろうなあ……(遠い目)
ウインドウを開き、武器や防具の耐久度を確認する。さすがに素材が良いからか耐久度は殆ど減っていなかった。これなら木の弓時代のように買い替える必要もないので安心だ。モーガンさん、いい仕事してるぜ。
「よし、じゃあサーデスト向かうか」
立ち上がって傍らに置いてあった【水龍奏弓ディアライズ】を背中に担ぎなおすと、町に向けて歩き出した。
◇
「お、村人じゃねえか。どうした?なんか不備でもあったか?」
「いや、使用感は非常に満足ですよ。ただ、ちょーっと威力がおかしいだけです」
「俺の最高傑作だって言っただろ。最高傑作がしょぼいもんでどうする」
「完全に今の俺には強すぎる武器なんだよなぁ…」
場所は変わってサーデスト。その商店街の一角、【鈍色の槌】を訪れるとモーガンが出てきた。今日は彼が接客の日か。呆れたようにため息を吐くと、モーガンはニヤッとした笑みを見せる。
「その様子だと気に入ってくれたようだな」
「まあしばらく買いなおす必要が無いから満足ですね」
「おまっ、最高傑作を簡単に買いなおすとか言うなよ…。ごほん。で、今日は何の用事で来たんだ?装備のメンテか?」
「いや、作ってほしい物があって」
「作ってほしい物?」
俺の言葉にモーガンが首を傾げる。装備一式作ったばかりなのにもう新調するのだろうかと思ったのだろう。実際にはアクセサリーとかそういう枠もあるのだが、今回はそのアクセサリー目的ではない。
「この前のアクアリザード素材って残ってます?」
「残ってはいるが……本当に少ないぞ?ちょっとしたもんしか作れないが」
「あるなら大丈夫です。こんな感じのを作ってほしいんですけど…」
そう言って俺は持参した紙に作ってほしい物の簡単な形状を描いていく。それを見ながら、モーガンは顎に手を添えて呟く。
「これは……ナイフか?どうしてこんなものを?」
「弓使いだからこそ敵に近寄られるのが厳しいですからね。その対策としてですね」
俺はついスキルにばかり意識を向けていたが、スキルレベル上げの最中、ライジンの使っていたフックショットがどういうカテゴリなのか気になって調べたのだ。攻略サイトの情報だと、あのフックショットは【サブウェポン】のカテゴリに入るらしく、通常装備である【メインウェポン】枠を潰すことなく装備できるのである。……というかフックショットって武器なのか。……深く突っ込んだら負けだ、そういう事にしておこう。
で、【サブウェポン】のカテゴリに入る条件は、片手で装備出来る武器な上、装備重量が一定以下という二つの条件がある。片手で扱えて軽量な物なら何でもいいので今回ナイフを作成しようと思い立ったのだ。
ちなみに【サブウェポン】は明後日開催のバトルロイヤルの制限内に入っているので持ち込むことが可能なのである。所持品内に持っていたら使用制限が掛かってしまうのでしっかり装備しておこうね。武器は装備しないと使えないぞ!
「なるほどな。分かったぜ。取り敢えずいつまでに完成の希望とかあるか?」
「明日までに作っていただけると助かります。使ってみて使用感とか確認したいので」
「了解。代金は……50000マニーだな。完成までに用意しておいてくれ」
「あ、前払いしておきます」
「……本当にあんたは金の用意が良いな。どんだけ稼いでいるんだ」
商人さんからちょこっとお金を返してもらっただけですよ、ええ(震え声)。
訝し気な目で見てくるモーガンの視線から逃げながら、俺は口笛を鳴らした。
「まあいいけどよ。あんたは悪い奴じゃないだろうし」
「それはどうも」
悪い奴からお金を巻き上げただけだからなんも悪い事はしてないね。
うんうんと頷くと、後ろに振り返り出口へと足を向ける。
「じゃあ、ナイフ作成頼みました」
「おう。明日の昼を目途に作るからその時間辺りに来てくれ」
こうしてナイフ作成をモーガンに頼み、俺は他の店に寄ってからフェリオ樹海へと戻ったのだった。
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