悪い説明を避ける「共感覚」とは何か。
悪い説明とはなんでしょうか。
それはストーリーにおける一連のシーン変化が、物語の動きの平坦な説明や設定の羅列になることです。感情・感覚の想起がなく、読者は、その説明的な文章に共感できません。
共感覚はここで大切な指針となります。一言で言えば、それはあるシーンへの愛情であり、「好き」をシーンに詰め込むことです。
作者がキャラクターやシーンに愛情をこめて、日本語で十分に表現することで共感が生じます。
ここで言う共感は、次のような単純なものが、まず考えられます。
「綺麗な女の子に心惹かれる」
あるいは次のようなスケールの大きいものも考えられます。
「心の救いの本質は、人間の行いによって与えられない。ただ、信仰による」
要するに、このシーンわかるっ!という気持ちをたっぷり詰め込むことです。
これが、第一章の「北風と太陽と旅人から見る起承転結」で言及した「食料と水」です。つまり、読者に対して「魅せシーン」をつくることで、試練に疲れているキャラクターと読者自身を回復させます。
しかも、共感覚にはシーンの説得力としての役割も求められます。ある社会的状況で生きるキャラクターの心情に、読者が共感できることで、物語への没入感を生むのです。
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まとめましょう。
共感覚は、次のようなものを読者とキャラクター双方に呼び起こす社会的状況やシーンです。
・人間的苦悩
・興奮
・喜怒哀楽
しかも作者自身が、その感覚をよく理解しており、しっかりその感覚を言語化できる必要があります。
そして共感覚は、シーンに宿る感情や想いですから、読者をストーリーに没入させ、かつ説得する力として働くべきです。
以前、ある人がこう言っていました。
物語を道として作ったときに、その道中にカオスのようななにかが生じる。これがその人の才能、なんだと。
要するに、書くうえでは、その人の個性が強く求められています。この個性をかたちづくるのが感覚です。
しかも自分の感覚を創作上のキャラクターを通して、他者に伝えて、共感してもらう必要があります。これを「共感覚」と筆者は呼んでいます。
共感覚は創作の本質に近いものだろうと筆者は考えています。
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