伏線の定義。

伏線とは、ストーリーのうち、すでに以前に現れたシーンの表面的説明を新しいシーンで、より深く説明するものです。以前のシーンと新しいシーンには、因果関係があります。


有名な児童小説「ハリーポッター」を例にとりましょう。


ハリーはおじさんとおばさんからいじめられています。両親は自動車事故で亡くなったと二人から聞かされています。おじさんは時折、ハリーを虐待し、なにかを叩き出そうとします。そしてハリーは、ガラスを消したり、蛇と話したりできました。




これらのシーンは、ハリーが魔法使いの子どもという事実と関係があります。物語の冒頭でこれはすでに説明されていて、因果関係が生じています。


また、ハリーが蛇と話せるのは、ヴォルデモート(トム・リドル)の魂の一部が、彼に移っていることの伏線です。


ヴォルデモートは、選ばれし者の予言を恐れて、ハリーを殺害しようとしました。彼の生家に侵入した際に、まずハリーの両親を殺します。


しかし、肝心のハリーに死の呪いを放った際に、母リリーが掛けた愛の守護魔法が発動。死の呪いはヴォルデモート自身に跳ね返りました。しかし、ヴォルデモートが分霊箱を作っていたことによって、彼は半死半生の状態となるのです。そのうえ、ハリー自身もヴォルデモートの分霊箱になってしまうのでした。


このように伏線とは、いくつかの事実がつなぎあわさって、あるシーンに表面的な説明として現れたものです。


ですから、伏線にはある種の演出が不可欠です。そのシーンですべての因果関係を説明してしまったら、それは伏線にはなりえません。







また、伏線をつくるには物語全体の見通しがある程度できている必要があります。


たとえば、上の例で言うならば、


・選ばれし者の予言

・愛の守護魔法

・ヴォルデモートの分霊箱


これらが見通しになります。これらが原因として機能して、ハリーはおじさんとおばさんのもとに来るわけです。


ちなみに、おじさんとおばさんのもとで育てられたのは、愛の守護魔法も関連しています。血の繋がった親族なので、ハリーの母が掛けた守護の力を強められるのです。


このように、一定の社会的状況のもとでいくつかの因果関係が絡み合うことで、一つの表面的なシーン描写が伏線として機能します。


伏線は物語への没入感や説得力を生むうえでとても大切です。

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