イヴの夜 ～ 3人の運命の絆 ～

第11話 彼女の願い

「悠魅、今日、ちょっと付き合ってくんね？」

「えっ？あ…うん…」

学校帰り、肩を並べて帰る私達。

「どうかしたの？」

「あー…アイツ・綾歌の事なんだけど…」

「綾歌ちゃん？何？何かあったの！？」

「いや何かあったとかじゃなくて…事故の事…両親に話したみたいで…」

「…えっ！？」

「アイツ、どうして話したんだろう？本人に聞いたら話したかったからって」

「……綾歌ちゃんに…話さない方が良かったのかな…？」

「…いや…後々バレるだろうし早い方が良かったと俺は思うけど…」

「そうか…」

「悪い。だけど…悠魅に隠す必要もないし話していた方が良いだろうと思って」

「そっか…ありがとう」

ある日の事、私は遼助の家に訪れた。

綾歌ちゃんの事もあるけど綾歌ちゃんから『遊びに来て』と連絡くれたからだ。

「綾歌ちゃん久し振り。元気そうだね」

「悠魅さん！はい！」

「ところで綾歌ちゃん」

「はい？」

「綾歌ちゃん私達の事、話したんだって？遼助から聞いたよ。どうして話そうと思ったの？」

「…それは…二人が大好きだから…認めて欲しくて…」

「認めて欲しい？」

「悠魅さん以外のお姉さんなんて嫌！」

「綾歌ちゃん…」

「私の我が儘だって分かってる！車椅子生活になったのは私の不注意だって！事故に遭ったのに悠魅さんの家族が関係していても私は関係ないし気にしない！」

「………………」

「周囲が、どう思おうと言われようと私は、これからも一緒にいたいからっ！」

「…綾歌ちゃん…ありがとう。凄く嬉しいよ。でも…人生は、そう簡単には上手くいかないから……だって…遼助にとっては友達以上恋人未満だし私も同じだし…恋愛感情は私達にないから…」

「答えてやれよ」

ビクッ

「お兄ちゃんっ！？」

「りょ、遼助っ！？…こ、答えてやれって…何言って…第一、遼助、言ってたじゃん！友達以上恋人未満だって…」

「言ったけど？」

「だったら…」

「悠魅が言ったから、そう答えただけ。俺ん中では…本気(マジ) なんだけど」

「………………」

「マ、マジ(本気)って…」

「順番違うけど…好きじゃなきゃ、キスしねーし」

かあぁぁぁぁ～

「ちょ、ちょっと…綾歌ちゃんの前で…」

綾歌ちゃんは、ゆっくり席を外す。

「………………」

つまり両想いで

まさかの相思相愛！？

沈黙が流れる中、遼助を見つめ視線がぶつかる。

「…遼…」

遼助は歩み寄ると、グイッと引き寄せ抱きしめる。

ドキッ

「…わ…ちょ…ちょっと…！遼…」

抱きしめた体を離すと、すぐにキスで唇を塞がれた。

唇が離れ────

「悠魅の本当の気持ち教えてくんね？」

「…わ、私は…」

お互い、ゆっくりと体を離す。

「俺にとって大事な妹だし悠魅にとっても妹みたいなもんだろう？綾歌も、すっげー懐いてるし…アイツの幸せが俺達なら、それに答えてやった方が喜ぶ」

「…遼助…」

「改めて言うけど…俺、初めて会った時からずっと好きだった。クリスマスの日、すっげー最悪な日だと思って。でもお前と出逢って、お前の涙見てフラれた者同士だけど俺よりも最悪なイヴかも？って…」

「………………」

「あの日は俺も泣きてー気分だったけど俺の前に現れた女神みてーって…フラれたのが嘘みてーに、一緒に過ごした時間が、すっげー楽しくて…コイツとまた逢えたらって思ってた…そうしたら…また逢えた……」

「…遼助…」

「俺からも両親から話す。だから俺達の傍で俺達の女神でいてくれよ。第一、お前は何も悪くねーだろ？ 家族で、偶々、車で通りがかった。責任感じて病院まで来てくれてんじゃん！あれは俺達の不注意なんだ。もし、悠魅達が通らなくても、俺達兄妹は、そうなる運命だったんだよ」

スッと遼助の片頬に触れる。

「責めないで…自分を…自分達を…だけど…私…」

「逃げんのか？」

「えっ？」

「お前だって自分責めてんだろう？」

「それは…」

「綾歌は嫌いか？俺の事も嫌いか？」

「好きだよ！２人共、すっごい大好きだよ！」

私は遼助に抱き付く。

「だったら俺達の想い止める事は出来ねーだろ？好き合ってんのに離れたら…もう戻れないかもしれないんだぞ。運命は切り拓ける。そうじゃねーのか？」

抱きしめ合った体を離すと私は背を向ける。

「どんなに私達が愛し合っていても…ご両親が良い気しないよ…それは、お互いの両親が思う事だよ…」

スッ

背後から抱きしめられる。

ドキン

「何があっても俺達３人の絆が１つなら何の心配も要らないと俺は思う…改めて言う…俺と付き合おう」

「…遼助…」

私を振り返らせ向き合う私達。

私達はキスをした。

その日。

「それじゃ、お邪魔しました。またね」

「ああ。またな」

「じゃあね！悠魅さん」

その時だ。

カチャ

玄関のドアが開く。

「あら？お客様？」

「こんにちは。それじゃ私は、これで、お邪魔しました」

「あら？ゆっくりしていけば良いのに」

「いいえ。時間が時間ですので失礼します」

「そう？」

「はい。それでは…」

私は帰って行く。

「可愛い子ね？」

「悠魅さんだよ」

「えっ…！？」

「待って下さい！」

呼び止められ足を止め振り返る。

「あなたの事は聞いています！正直、良い気がしません！２度と家にはいらっしゃらないで下さい！」

「待ってよ！お母さん！悠魅さんも知らなかったんだよ！でも、分かった後も相変わらず変わらないまま接してくれたんだよ！」

「例え、そうだとしても娘の…綾歌の人生を変えてしまったのは事実でしょう？同情とか、そんな事でしょう？とにかく！そういう事ですので。ほら！綾歌！家に入りなさい」

「悠魅さん！」

綾歌ちゃんは強制的に家に入るよう車椅子を押され家の中に入って行った。

♪♪～…

『悪い。俺も引き止められた』

『しばらく来る事は出来ないかもしれないけど綾歌とは普通に接してやって。メールだけになるかもしれないけど』

♪～…

『うん。分かった』

引き裂かれる私達。

運命は変えれないのでしょうか？