第10話 あの頃の君に……
私は久し振りに成宮家に行く。
まだ何も知らされてない彼女は
いつも通りに話をしてくれてる
その時、ふと写真に目がついた。
《写真》
「綾歌ちゃん…あの写真」
「あー、あれは、まだ車椅子になる前の写真なんです」
「…そっか……綾歌ちゃん……ごめんね…」
「えっ?どうしたんですか?急に」
「…私達が…綾歌ちゃんの人生…狂わせちゃったんだ…」
「えっ…?あの…悠魅さん…話が…」
「綾歌…入るぞ」
「うん」
「綾歌…小学生の時、交通事故遭ったの覚えてるだろう?」
「うん。私が夢中でお兄ちゃんの後を追って飛び出した事故でしょう?」
「ああ。実は、あの事故は俺達だけの問題じゃなくて…悠魅の家族も関わってるんだ」
「あの車には…私の両親と私が乗っていたんだ…」
「だから関わっている以上…悠魅と俺が話し合って、しばらくは会わないようにして距離を置こうって」
「…どうして…?」
「えっ?」
「関わってるからって何?」
「綾歌?」
「綾歌ちゃん…?」
「確かに驚いたけど、私は悠魅さんと、お兄ちゃんの事が大好きだし、2人が一緒にいて仲良くしてる姿も好きだし…私に許可なく勝手に話し合って会わないなんて言わないでよっ!!」
「………………」
「第一、あれは私の不注意だし気にする事ないよ。お兄ちゃんも、悠魅さんも気を遣わないで今まで通り接して!変に距離取られたら逆に寂しいから」
彼女・綾歌ちゃんの本心だったのだろう
家族が絡んでるから何?
自分達が良ければ
そう思った瞬間だった
でも────
どんなに私達が良くても
周囲の目も 周りも
良い気しないんだよね─────
「私…嫌われたのかなって思ってたし…」
「えっ!?それはないよ!だって私、綾歌ちゃんの事、大好きだし妹みたいだし…」
「うわ~♪嬉しい♪じゃあ、私のお姉さんですね♪」
「えっ…?お、お姉さんって…」
「ちなみに悠魅さんは、お兄ちゃんの事、どう思ってるんですか?」
ドキッ
「えっ…?」
と、一瞬、遼助を見るも、すぐに綾歌ちゃんを見る。
「おいっ!綾歌、そんな事…」
「わ、私は別に友達!友達以上恋人未満みたいな。好きとか、そういうのは無いし!」
「お兄ちゃんは?」
「俺?俺も一緒!友達以上恋人未満だけど。でも…嫌いってなると嘘になる。つーか…この話は終わり!ごゆっくり!」
そう言うと部屋を足早に出ていく。
「悠魅さん…本当の所どうなんですか?」
「えっ?」
「お兄ちゃんの事」
「…それは…」
「お兄ちゃんも、あー言ってるけど満更じゃないと思いますよ」
「まさか!」
「そのまさかですよ」
「………………」
「私…今まで、お兄ちゃんの彼女とはウマが合わなくて最初は話をするも私が車椅子だから、私のいない所で文句言ってるの知ってたし、何度お兄ちゃんに、その事を話したかな?」
「…綾歌ちゃん…」
「だから…最初は悠魅さんの事も正直疑ってた部分あったけど…対等に接してくれたりして今までの人とは違うなって…だから…それに……仲良くなりたいって思って…お兄ちゃんも悠魅さんの事は良く話をしてるし良い風に言ってたから…」
「そうか…」
「だから前向きに考えましょう!絶対上手くいきますよ」
「…ありがとう…」
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