第8話 真実

「なあ、あんた、ちょっとええか?」



放課後─────



幸斗君に呼び止められ異動する。


向かった先は屋上だ。


私達の後を追う様に遼助も後に着いて来ていた事など知るよしもなく────



「何?こんな所に呼び出して。まさか…愛の告白!?」

「アホ!あんたに興味あらへん!」

「酷っ!関西のノリで冗談言ってくれても良くない?」


「ないもんはない!ないのに嘘ついて期待させる気もあらへんし思わせぶりな態度なんて出来るか!」


「冷たっ!」

「冷徹な男やから!」

「そうだろうね」

「なっ!」

「自分で言ったんじゃん!で?一体、何?」



「前に深く関わらん方がええ言うたやろ?今なら、まだ間に合う」


「えっ?誰の事だっけ?あー、遼助…成宮君?理由は?理由聞かないで “はい、分かりました” って言える訳ないじゃん!」


「理由は…プライバシーの問題やから俺の口から言えへん」


「何それ!キョウダイ…とかじゃないよね?」

「それはない!安心せい」


「…だったら良いけど…だとしても理由言ってくんなきゃ…ハッキリ言って!」




「………………………」




「…アイツに妹いてるやろ?」

「妹?いるよ。えっ!?もしかして妹と姉妹!?」

「ちゃう!」

「じゃあ…何?」


「あんたらの家族と成宮家が関係してんねん。あんた小学校高学年位に接触事故起こしてへんか?」


「接触……事故……?」

「家族で出掛けた記憶あらへんか?」




私は記憶を蘇らせる。




「ねえ、お父さん今日は何処に行くの?」

「今日はな……」




キキーーーッ



ドンッ




急ブレーキの音と共に鈍い音が聞こえた。








一方。




「お兄ちゃん!待って!」

「馬鹿っ!綾歌っ!危ないから飛び出すなっ!」



言い終える前に、一人の少女が飛び出し私達の車と接触。




「綾歌っ!」と、一人の私と変わらない男の子が駆け寄って行く。



「大丈夫ですか?」

「救急車!」


私の両親。




私は、その当時、親に


『車に乗ってなさい』


と言われ車に乗っていたけど、一人の少女が道路に横たわって倒れているのは分かった。


ピクリとも動かない姿に私は恐怖を感じた。




私達家族は出掛ける所か人の命が関わっている、その重大さと責任を感じ病院へと向かう。


命に別状はなかったものの、この事故の後、しばらくして車椅子生活になった事を聞いた。



そして今になって再会してしまった私達。


お互いの家族が既に関わっていたなんて知らないまま私達は出会い、そして私は遼助の事を好きになってしまったのだから────





「これで分かったやろう?これ以上、関わったらアカン」




「………………」




「つまり、そう言う事やから」





幸斗君は去って行く。



そして



「おいっ!」


俺は幸斗を呼び止めた。



「何?」

「どうして、お前が、そんな事を知ってんだ?」

「警察(さつ)の息子やから」



「………………………」



「本当ならプライバシーの事やからアカンのやけど…一回忠告したやん。まあ、つまり、そういう事やから、これ以上は関わらん方がええんちゃう?ほな」



そんな私は、ぼんやりと壁に寄りかかり、ゆっくりと腰をおろす様に体を下に崩していく。




「…ズルいよ…今更…」




✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕♪



「…そんなの…今更…」






私達の各々の想いは



動き始めていた……













































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