第7話 理想像。オシャレしたくなる休日

それから数ヶ月が過ぎ─────9月




私達は忠告を受けていたにも関わらず前以上に仲良くなっていく。



私にとって本当の妹のように……




「お兄ちゃん。悠魅さんと付き合ったら?」

「えっ?何を唐突に言い出すかと思ったら」

「だって美人だし可愛いし明るいし申し分ないよ」

「綾歌…」



「悠魅さんは、お兄ちゃんが付き合ってきた今までの彼女よりも全然良い!私、悠魅さんが義理のお姉さんになって欲しい!」


「綾歌、それは結婚前提…」

「結婚しちゃえ!」

「お互い選ぶ権利あるし」

「え~~っ!ないよ!ない!」



綾歌も相当、悠魅が、お気に入りのようだ。


悠魅の存在は綾歌にとってもプラスになっているのが伺える。


こんな綾歌は、どれくらいぶりだろうか…?


だけど綾歌が笑顔でいられるなら俺も幸せになれる。






✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




「はあ~~~…」

「大きいタメ息…どうしたの?」と、由佳。


「…恋って…何処で生まれるか…分からないよね…?」

「えっ?何?好きな人いるの?」

「…えっ?いや…いないよ。友達の話」


「へぇー…友達ね~…あんたがタメ息吐く理由が分からない。正直に話しなさい」


「違うってば!」




私達は騒ぐ。





その日の学校帰り─────




「悠魅さん」



私に声を掛けてくる。



振り返る視線の先には



「綾歌ちゃん!」




《遼助と付き合って結婚したら義理の妹。だけど…こんな可愛い妹なら良いよね》



「今、学校帰りですか?」

「うん。綾歌ちゃんは塾かな?」

「はい!」

「そうか」



私達は話をして別れた。





ある日の事だった。




♪♪♪~……



『こんにちは。綾歌です』

『悠魅さん、今、何してますか?』

『良かったら連絡下さい』



綾歌ちゃんからメールが届く。




♪♪~……


『こんにちは。どうしたの?』



♪♪♪~


『もし良かったら家に来ませんか?』



♪♪~……


『良いよ。行こうか?』




♪♪♪~……


『ヤッター!ありがとうございます!』

『じゃあ待ってますね』




♪♪~……



『分かった。用意して向かうね』




♪♪♪~……


『分かりました』




✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




「お兄ちゃん。今から悠魅さんが来るって」

「ふーん…えっ!?悠魅が?…アイツも暇してんな~」


「そういう、お兄ちゃんも暇してるじゃん!部屋の片付けしなきゃ知らないよー」


「別に気にしねーし」


「そうなんだ。まあ、お兄ちゃんが、そう言うなら。じゃあ伝えたからね」



「ああ…本当アイツら仲良いんだな」





✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕





「アイツ…いるのかな…?男友達の一人だけど…一応、男だから…って…何を考えてるんだ…」







遊びに行くだけなのに


オシャレしたくなる


ただのクラスメイト


ただの男友達なだけなのに────





──── でも ────





私の心の中には


アイツが存在していた


一人の男として─────






「こんにちは」


「あっ!悠魅さん、ごめんなさい!せっかくの休日なのに、わざわざありがとうございます」


「ううん!全然大丈夫!」


「本当?」


「どうせ暇してるしな」


「そうって…おいっ!」



振り返る視線の先には



ドキッ



「遼助!」

「買い出しさせられて俺は、お前らのパシりかっ!?」


「召し使い!」と私。



グイッと肩を抱き寄せられた。



ドキッ



《顔…近い…》




早鐘のように胸がドキドキ加速する。



「へえ~…召し使いねー…」

「そ、そう!召し使い!」



グイッと押し退ける。



「お邪魔します」

「悠魅さん聞いて下さい」

「うん、どうしたの?」

「お兄ちゃんの部屋、凄く散らかってたんですよ~」

「へえ~…散らかってたんだ」


「悠魅さんが来るって聞いたら気にしないって言っておきながら片付け始めて」


「そういう理由で片付けた訳じゃねーし」


「またまた~」




私達は騒ぎながら私は、家にお邪魔する事にした。




その日の帰り────



「悪かったな。今日は」

「ううん、別に全然大丈夫だよ」

「男いねーもんな」

「悪かったな!そういう自分だって彼女いないじゃん!」

「俺は、まだ良いの!」

「実は、まだ引きずってる?心残りなんでしょう?」



「いや!あんなフラれ方して女々しくズルズル引きずってねーし!」


「意地張らなくても良い…」





足を止めると私の両頬を摘まんだ。




「痛い…」



そして至近距離に顔が近付く。



ドキッ




「そういうお前こそどうなんだよ」

「…私は…」




《遼助が……好き》



なんて言えるわけがない。




確かに 男友達であるけど


一人の男として


気になる存在ではある



でも……



今の仲が壊れるかも……


そんな事も脳裏に過る





「お前、可愛いんだし、すぐに男、出来そうなのにな」

「でも出来ないんだよね~。遼助、立候補しない?」

「俺が?」


「うん。な~んて嘘。遼助の人生だからね。ごめん、ごめん。気にしないで。あっ!それじゃ、ここで良いよ。寄りたい所あるし」


「ああ…」




私は去り始める。



グイッと腕を掴まれ引き止められ背後から抱きしめられた。


ドキッ



「りょ…遼…助…?」

「考えてみるかな?」

「えっ?」

「な~んて!」

「あのねーっ!」



振り返ると同時にキスされた。




「冗談言った、お返し」



至近距離で言われる。



「だ、だからって、キスする理由、分からないんだけど!」

「減るもんじゃねーだろう?」

「私達は付き合ってないし!」

「友達以上、恋人未満。キス止まりな関係」

「それは…ていうか、私は軽い女じゃないから」

「知ってるし」

「全く!じゃあね!」

「またな!」




私達は別れる。





遼助にとって私は


どんな存在なんだろう?


友達以上恋人未満


彼はそう言ってるけど……


彼に気持ちを伝えたら


私達の関係は


崩れちゃうのかな?









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る