第6話 彼の連絡先、交換

● 成宮家




「お兄ちゃん」

「ん?どうした?」

「今度、悠魅さんを家に招待して欲しいんだ」

「今度?」


「うん!まあ今度じゃなくても悠魅さんの都合もあるだろうけど…私、悠魅さんと、もっと話して仲良くなりたいんだ♪」


「お前が、お兄ちゃんに、お願いとは珍しいな。ずっと同性の人呼ぼうとしてなかったし今までの彼女の事も毛嫌いしてたじゃん」


「悠魅さんは違うって、そう思えるから。今までの彼女は…私の事、好きじゃなかったみたいだし…でも悠魅さんは助けてくれたり対等に接してくれるから」


「綾歌」


「だからお願い!」



両手を合わせて頼む綾歌の姿。



「確かにアイツの都合もあるし聞いてみる。ハッキリ分かったら教える」


「うん!」





とは言ったものの


『深く関わらない方が良い』



転入生が言った言葉が


脳裏に過った




だけど


アイツが


妹が自ら俺に頼むのは


今まで付き合っていた


元彼女(カノ)と別れて以来だろう


今まで連れて来て


最初は話すも


後半は全くと言って良い程


交流をしようとせず


心を閉ざすかのように


妹の綾歌は


部屋に閉じ籠っていたのだから────







私達は




少しずつ




少しずつ





ゆっくり



ゆっくりと




距離が縮んでいく





まるで嘲笑うかのように・・・・・










そして私は招待され、初めて成宮家に行った。



「悠魅さん」

「綾歌ちゃん」

「すみません…」

「えっ?どうして謝るの?」

「無理言って」


「えっ?大丈夫だよ。別に無理してないし。私、一人っ子だから妹が出来たみたいで嬉しいよ。招待してくれてありがとう!」


「良かった♪来てくれてありがとうございます」




私達は1日を楽しんだ。




「悠魅さん、それじゃ」

「うん!またね」




私達は別れる。



「悪かったな今日は」

「ううん。全然楽しかったし」

「男もいねーから暇してるからな」

「そう…って…ちょっと!!」




微笑む遼助。


ドキン



「つーかさ…俺達の間に何があるんだろうな」

「えっ?」

「幸斗言ってたじゃん」


「あー…確かに言ってたね…私も詳しく聞いてないからね。……ま、まさか兄妹とかじゃないよね…?」


「流石にないだろう?」


「だよね~」



私達は色々と話をしながら遼助に近くまで送ってもらう。



「あ、ここで大丈夫だよ。今日は、お邪魔しました」

「いいえ」



私達は別れ始める。



「あっ!」



グイッと遼助に腕を掴まれ引き止められた。



「うわっ!何?」

「ほら!俺の連絡先」




ドキン



「えっ?」



スッと紙を差し出された。



「いらねーなら良いけど」



手を引っ込め始める。



「い、いるよっ!」



受け取ろうとする私の、もう片方の手を掴み引き寄せると抱き寄せ抱きしめた。



ドキッ



「ちょ、ちょっと!遼…」

「良かったら、また遊びに来てやって」

「…遼助…?…う、うん…」



抱きしめた体を離すと頭をポンポンとすると片頬に触れる。





ドキン……



ドキン……





瞳の奥から見つめる遼助の眼差しに胸がざわつく。





「遼助…?…どうか…し…」




キスされた。



ドキッ




「………………」




突然の出来事。


不意のキスに言葉が出ない。




「悪い…キスしたくなったから…」



ドキッ



「えっ…?」



グイッと抱き寄せると顔を埋めさせる。

私は遼助を抱きしめた。




「アイツの事これからも宜しく頼むな」

「遼助…うん!勿論!」




私は抱きしめた体を離す。



「だって私の妹みたい」


「綾歌は俺の妹!でも、アイツ、お前の事、気に入ってるみたいだし」


「そうなんだ!嬉しいな~♪」

「アイツの連絡先聞いた?」

「うん!聞いたよ」

「良かった。気軽に連絡してやって」

「うん!分かった」

「じゃあな!」

「うん」



私達は別れた。

























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る