第3話 車椅子の女の子

それから数ヶ月が過ぎ────春。4月。高校2年生。



「悠魅。今年も宜しくね!」



親友の由佳と同じクラス。


そして、もう一人・成宮 遼助とも同じクラスになった。




彼の人気は高く


男女問わず友達の多い


フレンドリーなアイツ



男女平等なアイツの存在は


私の心にも大きい存在だった







ある日の事だった。



「あの…すみません…」




一人の男子生徒が声を掛けてきた。




「はい」


「あの…単刀直入に言います。あなたの事が好きです」




ドキッ



「友達からで良いので、お付き合いして下さい!」



「……………………」



「…ごめん…なさい…あの…気持ちは嬉しいんですけど…過去に嫌な事があって…トラウマに近くて…正直…今は、まだ…恋愛に踏み込めなくてて…」



「…そうですか…」


「本当にごめんなさい!」




私は深々と頭を下げた。



「いいえ。分かりました」




男子生徒は去った。





その日の帰り─────




ガシャン


「きゃあっ!」



背後から聞こえる声や音に振り返った。





「…車…椅子…」



私は歩み寄ると声をかけ手助けした。




「大丈夫?」

「すみません…ありがとうございます」

「怪我はしてない?」

「はい」

「そっか」





《ていうか、この子超可愛い~♪》




同性の私も見惚れる可愛さについ見つめてしまった。



「あの…」

「あっ!ごめん!余りにも可愛いくて」

「えっ?」



顔を赤くする女の子。




《やだ!マジ可愛い~♪》



私は話をしたくなり女の子の目線よりも低めに話しやすいような体勢で話し始めた。



「ねえ、いくつ?」

「えっ?あ…14です」

「14歳!?」

「はい…」

「…じゃあ、中学2年生…かな?」

「はい…」


恥ずかしそうに照れながら女の子は返事をしては話してくれた。




「モテるんじゃない?」


「いいえ…告白される事は確かにありますけど結局…この体じゃ離れて行くんです」


「…そうか…差し支えないならだけど車椅子は…いつから?」

「…それは…」

「あっ!ごめん…言いたくないなら言わなくて良いよ」


「…いいえ…大丈夫です。実は小学校の時に事故で…私…お兄ちゃん子で何処に行くにも、お兄ちゃんと一緒で…」


「うん」


「道路挟んだ向かい側に先に渡ったお兄ちゃんの後を追うように左右確認しないまま飛び出してしまって」



「うん」


「そこに、一台の車が来て、ぶつかってしまって…」


「…そうだったんだ…ごめんね…嫌な事を思い出させてしまって…」


「いいえ…そんな…小学生とはいえ…本当…馬鹿ですよね…」


「ううん、馬鹿じゃないよ。小学生は遊び盛りだし、つい夢中になっちゃうから」


「優しいんですね。それじゃ、ありがとうございます」


「いいえ」




私達は別れた。




「お兄ちゃんっ子か…良いな…私一人っ子だから羨ましい…」




「お兄ちゃん」

「どうした?」

「今日、凄く優しい人がいたんだよー」

「そうかー」


「うん。私が車椅子で移動してたら段差で転倒しちゃって…そういえば…お兄ちゃんと同じ学校の制服だったよ」


「えっ?同じ制服?」

「うん」

「誰だろう…?」

「美人よりの可愛い系だったよ」

「そうかー」




俺は まだ知らなかった


彼女が関わっていたなんて



俺にとって彼女は


既に あの日から


気になる存在になっていたのだから────

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