第9話 イナンナ
アヌはルクブ・イラニと言う神の専用機に乗りこんだ。
このルクブ・イラニは2頭立ての神々の戦車であると、後のシュメール神話では語られているが、いわゆる飛行機といえる。
飛行機の形状はある程度固定されたイメージとなろう。だからUFO(宇宙船)を想像すれば良いと思う。馬は護衛機と考えられる。それが2機あったのだろう。
アヌを乗せたルクブ・イラニはウルクに到着した。
出迎えた1人の女性が跪いた。
「偉大なる我らが神アヌよ。」
アヌは困惑した。自身の神の称号は偉大なものとされていたが、アヌ自身はそんな考えは持ち合わせていない。
「イナンナ、その〜、神はよしてくれ。私はお前の前ではただのアヌでいたいんだよ。」
イナンナと呼ばれた女性はアヌの愛人である。
アヌとイナンナはウルク公会堂の屋上にいた。
公会堂は街の高台にあるのでウルクの街が見下ろせた。
「アヌ、地球の生物を進化させて労働力にしたみたいね!私、心配してるよ。」
「何を心配してるんだ?」
「私たちのように文明を持ったらどうするの?私たちより成長が早いから、文明を持つのも早いかもしれない。」
ウルクの街中には、様々な衣装に身を包んだアヌンナキと全裸の人類が街路を歩いていた。アヌンナキと人類の様々な活動がウルクの街を混沌とさせていた。
噂によると「ソドム」、「ゴモラ」の2都市ではアヌンナキと人類の間で性交渉まで行われているという。
更なる治安の悪化が懸念されていた。
「人類に我々を崇めさせればいい。アヌンナキは人類より遥かに高い地位にあると教え込んでいるんだ。もちろん脳もそう思わせるように操作してるよ。」
「アヌは賢い思ってたけど、悪い人でもあるよね。」
「イナンナ、お前の目は誤魔化せないな。ふふふ。」
「きっと人類は我々の真似をするだろうな。ソドムとゴモラの様子には注意しておく。最悪の場合は人類など絶滅させればいいだけだよ。」
アヌは長い髭を撫でていた。
「もう人類って何万もいるのよ。絶滅させるのって大変よ。」
イナンナは呆れていた。
「方法はもう考えてるよ。」
アヌはイナンナの肩を抱き寄せた。
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