第8話 アダムとイヴ
アヌンナキの人口は増え続けた。
開拓団のミーティングは「最高評議会」と名を変え、アヌは新設された「神」という地位に就いた。
アヌンナキには階級が出来ていた。
アヌ達開拓団とその一族は支配階級となっていた。
遺伝子工学研究所のチームが地球に到着した。
遺伝子工学研究所のチームは捕獲されていた猿(ルル)と対面した。
「寿命はどうなんでしょう?」
「1日も持たないのだ。これらのルルはここで生まれた物や新たに捕獲した物だ。地球の公転周期はニビルの3600分の1しかない。寿命も地球の公転周期に連動しているようだ。」
アヌはそう答えた。
その頃地球では大きな問題が発生した。
鉱山労働者による大規模な暴動が発生したのである。
建物は次々と破壊され、多くの店が略奪に遭った。
また暴行や殺人も毎日発生した。
開発の規模は拡大したが労働者は殆ど増えずどんどん重労働を強いられた。
しかし給料は増えなかった。
最初は不満を持ったアヌンナキが待遇改善を求めてストライキを開始した。
しかしそこからエスカレートしていった。反体制派が紛れ込み扇動したと考えられた。
アヌとエアは警察と軍に暴動の鎮圧を命じた。多くの労働者が拘束された。
遺伝子工学研究所のチームによる猿への遺伝子操作が開始された。
ルルに対して様々な動物の遺伝子を組み合わせた。
現在も残る生物の中にはこの作業の過程で誕生したものもある。
まず猿人(アウストラロピテクス)を誕生させた。
二足歩行で直立し歩く能力を持つが、自分で道具1つも作る事ができなかった。
開発作業は続けられ原人(ホモ=エレクトゥス)の誕生に至り、そして旧人(ネアンデルタール人)を生み出す。
ネアンデルタール人の誕生をもって、一旦労働力の誕生とみなした。
「頑丈だが、知能もある程度は欲しい。問題は寿命だよ。」
と言う意見も出されて更なる開発作業が進められた。
「アヌンナキの遺伝子をルルに入れましょう。」
遺伝子工学研究所のチームがアヌとエアに提案した。
「精子と卵子を用いるのはどうでしょう。」
チームリーダーが言う。
「やってみよう。エアよ精子はお前のを使え。卵子はニンフルサグのがいいだろう。」
ニンフルサグはエアの妻である。
エアの精子とニンフルサグの卵子が遺伝子工学研究所チームに提出された。それとルルの遺伝子を混ぜ合わせ、様々な操作がなされた。
しばらくすると遺伝子工学研究所のチームがアヌ、エア、ニンフルサグの元を訪れた。裸の男女を連れていた。
「ついに完成したか!」
遺伝子工学研究所のチームは裸の男女を紹介した。
「知能を発達させています。言語の使用も可能で、ニビル語の読み書きを可能にしました。また生殖能力を維持していますので自己増殖が可能です。寿命もエアさんニンフルサグさんご夫妻のご協力もあり他の地球の生命体より遥かに長持ちするでしょう。」
男には「アダム」、女には「イヴ」と言う名前が付けられた。
ついに「人類」が誕生したのだ。
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