第6話 エア

地球に移住するニビル人は増え続け、アヌンナキの人口は10万人を超えた。


最初エリドゥは30件の家屋と公会堂を擁するだけの小さな街だったが、人口が増えると同時に拡大を続けた。

しかし、エリドゥだけでは足らず、新たな街が建設された。


「ウル」、「ウルク」の2都市である。


この2都市にもエリドゥと同様に公会堂が建設された。


これらの公会堂は後世アヌンナキを祀る「ジッグラト」と呼ばれる神殿になる。



アヌはエリドゥ郊外にある宇宙港にいた。


「おお!来たか!」


アヌは1人の人物に近づいた。その人物ははアヌの息子のエアである。


エアは一緒に地球にやってきた仲間を父親であるアヌに紹介した。仲間は鉱山で働く労働者である。


「ニビルは荒廃が進んでる。地表を覆うシールドが劣化してきてるよ。」


ニビルは太陽系の惑星であるが公転軌道が楕円形をしている。更には公転周期が3600年であり太陽の恩恵を受けにくい。


生活する為には大気圏に星全体を覆うシールドが必要であり、そのシールドの製作には金が必要とされていた。しかしニビルでは金が採掘されない。他の惑星からの輸入に頼っていた。


しかし、近年他の惑星の金の価格が上昇を続け、輸入に頼るニビルの財政を圧迫していた。

ニビルの一部地域は人の住める環境ではなくなっている。


国内で金を採掘しなければならない。当時地球はニビルの植民地の扱いであった。



「地球で金を採掘したいけど金鉱脈あるの?」


「うん!どうやら金鉱脈があるらしい。」


アヌとエアたちはエリドゥの公会堂に向かった。



エアは公会堂で地球の採掘許可を訴えた。


「金を採掘してニビルに売れば莫大な利益を得られる事はわかる。しかしなぁ、他のアヌンナキを雇い入れるにしても皆んなもう働いてる。鉱山に勤めようとする者はいるのかね?」


ミーティングのメンバーが疑問を呈した。



「最初はお前らで出来る範囲で採掘しろ。ニビルの遺伝子工学研究所のチームを招いて地球上のめぼしい生物を進化させて働かせよう。」


アヌはそう提案した。


エアもその提案に納得した。


「進化した生物を酷使すればいい!まあ奴隷と言うわけだ!給料など必要ないし、死なせても構わないんだよ。」


アヌはエアに耳打ちした。

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