第5話 エリドゥ

地球から恐竜が絶滅したあと、ニビルからの移住者は増え続け、エリドゥの人口は10000人を超えた。



その中で「アヌンナキ」の意味合いに変化が現れてきた。

当初、最初に地球に移住してきたアヌをはじめとする30人の開拓団の通称だったが、今日地球に移住したニビル出身者の総称になっていた。



アヌは仲間と共にエリドゥの街中を散策していた。


茶色を基調とした街並みが続く。



「ああ、いい匂いだ。」


アヌが立ち止まった。


「どこからだろ?」


「ここからだよ」

仲間のアヌンナキが建物の1つを指さす。中を覗くと女性が何かを一生懸命こねていた。


「おはようございます。」

アヌは作業中の女性に声を掛けた。



「あら、アヌさんたちおはよう。」


「おおパンですね!」

仲間の1人が出来上がったものが何であるかを答えた。


「郊外に麦畑があったんでね。よかったらどうぞ。」

女性がアヌ達に出来立てのパンを提供した。


「うまい!出来立てのパンは地球に来てから初めてだ!」




「麦と言えば…..」

仲間の1人が発言する。


「お?あれですか?」

アヌは何であるのか察した。


「そう!あれ。」

最初に発言したアヌンナキがアヌを指さした。


「ニビルでビール工場に勤めていたんでビール作りましょうか?」



散策を再開してしばらく歩くと若者が何かを掘っていた。

アヌを見て

「あ!モデルだ!」


「モデル?」

アヌの目が点になった。


「僕らアヌンナキが地球に降りたった時からの歴史を粘土版に刻んで、後世に残したいんです。」

若者はそう言う。


「我々の生きた証ですね!」

アヌは笑顔を見せた。


「はい!」


エリドゥでは市長や議会はなく、開拓団として地球に移住した30人がミーティングを行い街の運営を行っていた。


「人口が増えている。治安の乱れが心配だ!」


「法律が必要だし、それこそ警察や消防も絶対ないといけない!」


少しずつ地球に行政が形作られてきた。それに伴い様々な産業も興ってきた。

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